Gikuri

ギクリのブログ。たまに自意識過剰。

「よそれる」

2008-08-03 | どうでもいい知識
オカンが買ってきたしゃもじのパッケージに、
「よそれる」という言葉がありました。
意味としては「(ご飯を)よそうことができる」と考えられます。
オカンはこの言葉に違和感を持ったそうですが、オカンの友人に
聞いたところ、「普通に使う」と言われたそうです。

オカンは関西人なので、「よそれる」が標準語では正しいのか
正しくないのか今ひとつ自信が持てないとのこと。
私も「よそれる」ではなく「よそえる」を使うものの、
私の使う日本語にはオカンの影響が少なからずあるので
自分の経験論ではなく文法的に考えてみました。

「よそう」という動詞はワ行五段活用です。
よそわず、よそいます、よそう、よそう時、よそえば、よそえ。
五段活用動詞は、普通は助動詞「れる・られる」で可能を表さず
「よそえる」「食える」「会える」「言える」「買える」のように
「~eる」の形(下一段活用型)で表すことが多いです。
ラ行五段活用だと「走れる」「作れる」のように結果的に
「れる」音が入りますが(助動詞「れる」ではない)。

で、最近使われないだけで、五段活用動詞でも可能を表すのに
「れる」を使うのは間違いじゃないとのことで。その場合は
尊敬の「れる」を使う時と同様、動詞の未然形に接続します。
「よそえる」なら「よそわれる」ですね。

ということで、「よそう」の可能を表す場合は、「よそえる」または
「よそわれる」という形になり、「よそれる」とはならないわけです。
しゃもじメーカーがこの動詞の原形に「よそう」を想定していれば
これは間違った日本語ということになります。


ただし、「よそる」というラ行五段活用動詞が存在する場合は別です。
「~eる」の形で可能を表す場合、「よそる」は「よそれる」と
なりますから、「よそう」と同義の「よそる」という動詞が存在し、
メーカーが「よそる」を想定していれば正しいことになります。

で、「よそる」って言葉本当にあるの?と調べてみたら
NHK放送文化研究所のサイトで詳しい説明を発見。
「よそる」は、「よそう」と「盛る」が1つになったもの(混交語)で、
比較的新しいことばです。新しいとは言っても100年以上前の
辞書にはすでに載っており、現代では「よそる」が誤った
言い方だとはもはや言えないでしょう。
30年近く生きてきて初めて「よそる」という言葉を知りました
(いやオカンは60年近く生きてきて今まで知らなかったわけだが)。
どこぞの若者言葉ではなくて100年前にもあったんですね。
「よそう」と「盛る」の混交語ですか…。へ~。
関西は「よそう」圏だそうなので、おそらくオカンは「よそう」を
使い続けて「よそる」に触れたことがなく、私もオカンの影響を受け
「よそう」が普通だと思って生きてきたってことでしょう。
関東では「よそる」を使う人も結構いるんですかね。

ちなみにGoogleの検索結果では、「よそれる」233件、
「よそえる」2,620件で、「よそえる」派が多数です。
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2 コメント

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う~~~~~む・・・ (伊織)
2008-08-04 22:08:34
ワタクシも関西人ですが、確かに『よそう』って言いますよね。
でも、『よそれる』と見ても自然に『あー・・・ご飯がよそれるのね』と。

よそえる、だよな・・・orz


発音としては『よそれる』のほうが言いやすいから、かな?
返信する
同じく「よそう」派です (戯玖璃)
2008-08-05 00:19:04
メーカーの社員が「よそる」派だったんでしょうねえ。

あるいは日本語が苦手な社員が
「できます!ってのを言うにはー、『喋れる』とか
『食べれる』とか(←すでにら抜き)、『れる』ってのが
くっ付くみたいだしー、『よそう』ができるんなら、
よそ…れる…『よそれる』じゃね?」と勘違いして「よそれる」にしたという可能性もあるかもしれませんが、
どこぞの海賊版じゃあるまいし大事な商品に対して
ちょっとそれじゃいい加減すぎますので(爆)。
返信する

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