Gikuri

ギクリのブログ。たまに自意識過剰。

中国地方に見られる大黒天の鬼瓦について

2020-05-16 | どうでもいい知識
今回岡山県と広島県を旅しまして、
以前鳥取県琴浦町で見かけた「大黒天の顔が
嵌められた鬼瓦」を何か所かで見かけました。
見かけたのは以下の広島県・岡山県内陸部です。

・広島県福山市(御領駅近くの内陸)
・広島県世羅町
・広島県尾道市
・岡山県高梁市
・岡山県吉備中央町
・岡山県真庭市
・岡山県鏡野町
・岡山県津山市

拡大してるので画質よくないですが写真を1枚。


インターネット情報ですと島根県でも見られるとか。
顔の正体が大黒天だとしたのは、鏡野町で
この顔の鬼瓦のある住宅のそばで
「打出の小槌」の鬼瓦を見かけたからです。
以前の琴浦町の記事では恵比寿としてましたが。

(1) 屋根瓦はテカテカの黒か赤褐色の釉薬瓦
(2) 農家で見られ、商家では見られない

という共通の特徴もありました。
(2)は大黒天が主に豊穣の神様だからかもしれません。

(1)の瓦ですが、調べたところ石州瓦のようです。
石州=石見国=島根県西部で生産されている瓦で、
凍結や雪に強いため日本海側でよく用いられてきたとか。
石州瓦工業組合の「赤瓦の街並を歩く」p18によると、
この石州瓦は北前船で日本海沿いに伝搬しただけで
なく、当時の街道を伝わり陸路でも運ばれたとのことです。
現代の感覚だと岡山県の内陸が島根県に近いイメージが
湧きませんが、出雲街道というのが今のJR姫新線と似た
ルートを通っており、真庭や津山はこの街道沿いです。
瀬戸内海に近い地域での「大黒天の顔が嵌められた鬼瓦」
の目撃件数が少ないのは、日本海側や内陸部に比べて
温暖なため必ずしも石州瓦を使わないといけない状況に
なかったからというのもあったのでしょうか。

大黒天は出雲大社で祀られる大国主との習合があり
島根県では親しまれる神様だろうと推測されますが、
出雲文化圏ではなく吉備文化圏に当たる地域でも
鬼瓦に用いられている理由は石州瓦にあるのでは
ないかと思います。

※島根県内で確認した続編記事はこちら
※京都府内で確認した続編記事はこちら
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