人類学のススメ

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古病理学の本19.日本らい史

2011年05月12日 | J1.古病理学の本[Palaeopathology:Jap

Yamamoto1997

日本らい史
価格:¥ 9,450(税込)
発売日:1997-12

 この本は、東京大学名誉教授の山本俊一[1922-2008]さんが、日本におけるハンセン病の歴史についてまとめたものです。1993年に初版が、1997年には増補版が、東京大学出版会から出版されました。全生園の機関誌「多摩」に、1985年12月号から1991年2月号まで61回にわたって連載された原稿が元になっています。

 本書の内容は、以下のように、全3章からなります。

  1. 発生の起源と患者の救済
  2. 対策と法制定
  3. 予防法制度と患者

 古病理学には、第1章の「発生の起源と患者の救済」で、古代及び中世のハンセン病の状況が説明されており参考になります。

 ハンセン病と確定された古人骨は多くはありませんが、由比ヶ浜南遺跡で1体出土しています。また、2010年8月26日には、国立感染症研究所ハンセン病研究センターの鈴木幸一さんと国際医療福祉大学の滝川 渉さん等により、青森県八戸市の畑内遺跡から出土した江戸時代中期(18世紀)の人骨からハンセン病の病原菌のDNAの抽出に成功しています。

 この畑内遺跡のSK26土坑墓から出土した、約30歳~50歳の男性人骨は、ハンセン病に罹患していたと鑑定されており、東北大学総合学術博物館に収蔵されていました。この人骨から、約0.01g以下の微少サンプルを採取し、DNA分析を行っています。ハンセン病のDNA抽出は、欧米では事例があるそうですが、東アジアでは初めてだそうです。


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