外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

円の売り越しが一段縮小し、買い越しは微増で円高を示唆するも動きは逆-IMM分析活字版

2014-07-29 16:14:04 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析活字版をお送りします。

今回の番組で使用する最新データは、7月22日のIMM市場が終了した時点のものです。
締切までの過去1週間の為替市場はユーロ安が一段と進む中、ドル円相場は、101円台後半から前半への下落となり、前週の上昇を帳消しにする動きとなりましたが、安値更新とはならず、ちょうど半値付近まで反発して引ける展開でした。値動きから予想されるIMMポジションは、あまり大きな変化は期待できませんが、実際はどうだったのか早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>

先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフです。

折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、前週と殆ど同じ水準となり、大きな変化は期待できない状況でしたが、ドルのネットポジションは買い越しが53,916コントラクトと、前週から9000コントラクト近くも減少する結果は意外でした。これは2012年10月23日週にドルが買い越しに転じ、そのまま9万コントラクトを越えた以降の間で、本年5月20日週の53,787コントラクトに次ぐ低い買い越し額になっています。

変化だけを見ると円高を連想し、実際の相場も一時は前週安値を試す101円前半まで下落しており、少なくともデータ締切時点の地合いは、円高を見据えた対応だったことが判ります。しかし、買い越しはピークに比べると既に5分の2程度に縮小しているにも関わらず、相場は殆ど水準を変えていない状態は不自然であることには変わりありません。

<各通貨別ネット残高推移>

次に、各通貨のネット残高のグラフです。

ユーロと円のみが大きく売り越され、その他は買い越されている構図に変化はありません。
スイスが僅かな売り越しを維持しているのはユーロの先安観が継続している現れでしょう。
細かく見ると、円売り傾向が継続した今回は、その度合いがやや加速した様子や、ユーロの売り越しが大きく加速したこと、そしてポンドの買い越しを調整する動きが強まったこと等が判ります。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>

続いてこちらのグラフは、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したものです。買い越し高と売り越し高の詳細な変動など、このグラフと一緒に見て参ります。

先ず円ですが、
先週に続いて円を買い越す動きとなり、度合いを強める結果でした。ブレークダウンを見ると、前週に残高規模を縮小し市場から撤退するムードを見せた地合いから、円買いへと明らかにシフトしたことが判ります。ここまで一貫して懸念してきた円高へのセンチメントが証明される結果でした。ブルベアも円のロングが15%に回復しています。

次にユーロですが、
売り越しが急伸したことが判ります。ネットで2万コントラクトを越える動きは明らかに強いものですが、ブレークダウンを見ても、買い越しの取り崩しは限定的であり、売り越しの純増による結果であることが判ります。買い越しと売り越しを合せた市場規模は20万コントラクトと圧倒的に大きいユーロが一度動き始めると、逆になかなか止まりにくい側面があるはずです。ブルベアはユーロのベアが前回の67%から72%へと急成長しています。

前回調整売りの度合いを緩めたポンドは今回、
再び売りを強めたようです。ブレークダウンを見ると、ポジションを縮小したのは買い越しのみならず、売り越しも僅かに手仕舞う動きとなり、ポンドの市場規模全体が縮小した形となりました。それでも買い越しがネットで1万コントラクト以上縮小した事実は比較的強い動きではありますが、相場は1.71台中盤から1.70台中盤へ軟化した程度で留まっているのは、地合いそのものが強い可能性は否定できず、一旦縮小した市場がどちらへシフトするのか、注視したいと思います。

最後に、高金利通貨としての色彩が強い豪ドルは、
その割に方向感が出ていません。ブレークダウンを見ると、買い越し売り越し共に残高が増えており、揉み合う中でも積極的な状態にあることが判ります。これで3週連続して市場規模が拡大しており、次にシフトする方向が目先のトレンドになる可能性は高いように思われます。

<総括と考察>

さて、締め切り後のドル円相場は、意外にも円安方向へと進んでおり、積み増した円買いが手仕舞いにあっている状況は推測できる範囲です。問題なのは、円買いが進まない理由として言えることが、アメリカの株式市場が強い状態を維持している程度しかなく、特に円買いを否定するような材料は見当たらない、という事です。

現在の円安は、データに反した動きであることは、こちらのグラフでもよく判ります。
円買いが殆ど増えていない状況に加えて、円売り残高はピーク時の半分以下に縮小しており、それでも全く円高に振れない現状は、どんどん不気味さを増しています。

こうした動きを見ると、本邦機関投資家がドル円を買い支えているとの噂は真実味を帯びており、もし、市場がドル買いで同調した際の動きは大きくなる可能性も否定できなくなってきました。いずれにしても、次にどちらのポジションが増え始めるのかで目先の方向が見えてくることは明らかになりつつあり、引き続き残高の動きを注視したいと思います。


<<IMM分析番組を最大に楽しむ方法>>

(1)ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/59b225ac8b7014b34ab9c5210ad0c194

(2)各通貨のネット残高
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/7cb368373c8e9008ae738dd9750d06d5

(3)前週と比較したネット残高増減推移
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/c631b370f8906b33a7c8d81569bbcecd

(4)各通貨のネット増減比較をブレークダウンする
http://blog.goo.ne.jp/gaitame-univ/e/18a50c30c204d61aa068d50ceb619b22

 



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