こんにちは、今日は台風一過の良い天気に恵まれました。想定よりは相当軽い規模で関東を通過しましたが、台風8号の直接被害よりも梅雨前線を刺激したことによる被害の方が大きい模様で、停電も浸水もなく過ごせたことに感謝したいと思います。
さて、今週は結局IMM番組をお送りできずお詫びいたします。そこで、作成したグラフを使って普段説明しきれない部分を補足し、今後の番組理解と楽しみ方をご理解いただこうと、思い立ちました。
上のグラフは第一章に登場するグラフです。通常、我々が通貨を取引する場合、FX取引のようにドル円、ポンドドル、ポンド円、ユーロポンドといったペアとして取引されますが、シカゴにあるIMM市場は基軸通貨であるドルの本場ということもあってだと思いますが、ペアとしてではなく単一通貨に対して先物取引が行われているようです。
勿論、レバレッジは効いていますが、確かにペアとして取引しなくても、相対通貨がドルだとすれば、円の取引はドル円、ポンドの取引はポンドドル、ユーロの取引はユーロドルといった具合に、ドルのストレートペアを取引しているのと同じです。
従って、ここではドル円相場に合わせるために、円のポジションをそのまま逆にしたものをドルのポジションとして取扱い、実際のドル円相場とドルのポジションの増減とを比較しやすくしたものになっています。ですから、ドルのポジションが増えればドル円はドル買いとなって上昇するはずですから、もしドルのポジション(正確にはコントラクト数)の増減とドル円相場が一致しない動きになれば、相場転換を意識したり、逆に相場が反転してもドルのポジションが変わらなければ、基本的にトレンドは元に戻る可能性があるなどを予想することができます。
IMM市場は確かに全ての為替取引から見ればごく一部であり、その影響力は極めて小さいとの考えも成り立ちます。しかし、参加者の多くは依然として影響力が強い機関投資家である場合も多く、彼らの分析・調査能力を加味すれば十分に参考に値するばずです。実際、相場の変動とポジションは概ね一致しており、最も重要なことは、しっかりとロングとショートが入れ替わる動きを見せていることです。つまり、基本的に彼らの取引概念には無暗に長期保有をする選択肢は限られているため、ポジションは相場の方向に対する相場観として把握することができます。
幾つかの問題点
先ず一つには、毎週IMM市場が火曜日の取引を終了した時点でデータが締め切られ、その週末金曜日の取引が終了した以降に、CFTCからそのデータが発表されるため、水曜日から金曜日までの取引結果は一切データに含まれません。
従ってその間の相場を加味してポジションの動きを想定する必要があり、次回のデータでその想定を検証するという側面が要求されてきます。
もう一点は、このグラフに特有の問題点ですが、ここではネット残高をこの通貨のポジションとして把握している点です。ネットとは買い越し(ロング)と売り越し(ショート)を相殺して余ったポジションを表示することになるため、例えば買い越しのネットが増えた場合、
A:ロングが増えたケースと
B:ショートが減ったケース
が考えられます。Aの場合は上昇に対する相場観が増えたと考えられる半面で、Bの場合はそれほど強気ではない状況も考えられ、ネットの内訳を見ることは稀に重要な意味を持つことがあります。結果的にBの場合も下落見通しが減少したことで上昇見通しが増えたことにはなりますが、既に相場が伸びきっている場合は、買いで追いかけられないという状況を考慮する必要があります。
そこで、この部分を補足するために作成したのが下のグラフで、ロングとショートの動きも同時に確認できます。
毎回必ず掲載しているわけではありませんが、目立った動きがある時にはご覧いただいておりますので、今後は以上のような観点で是非、ご活用ください。
この2点のグラフで注意するのは、主語がドルか円かで分かれている点です。ドルのロングは円のショート、ドルのショートは円のロングになりますので、残高の伸びが逆転しています。