こんにちは、今週のIMM取組残高分析活字版をお送りします。
今週番組で使用するデータは、2月25日のIMM市場が終了した時点のものです。
今回、データの対象になった期間のドル円相場は、ウクライナ情勢の緊張からくるリスク回避の円高と、株価回復による安堵感からくる円売りとが交錯する中、底堅く推移する展開でした。102円台を維持できればどうにか…というムードの中、IMMの残高はどのような変化あったでしょうか。
では早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。
<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
前回に引き続き、ドルの買い越しを取り崩す動きは収まり、過去2週の微増から頭一つ出た印象があります。相場はやや上値が重く見えるものの、85,090コントラクトのドル買い越しと、前週に比べて約5000コントラクトが増加し、売り越し再開のムードが芽生えていた様子がうかがえます。
<全通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。
まず円は僅かずつ売り越しが再開していることが判り、円以外で売り越しが目立っていた、豪ドル、カナダ、ペソは売り越しが取り崩される傾向が見て取れます。一方で、買い越し気味に推移していたユーロとポンドは、その流れを継続しています。
つまり、25日が終了した時点では、ドルが全面的に売られた経緯が読み取れることから、新興国リスクの後退が一段と進む一方、ドル金利の先高観が後退したことによるドル売りとも考えられ、米国の株価が回復以降も底堅い要因になっているとの見方もできるでしょう。
ブルベアを見てみますと、
円は、売り越しが増え、買い越しが減少したことで、再び買い越しが13%へと低下し、
ユーロは、買い越しが増え、売り越しが減ったことからブルの微増となっています。
またポンドは、ブルが6対4を上回る程度まで伸び、前回から3ポイント上回っています。
豪ドルは、売り越しが減少し、買い越しが微増となり、ブルが前回から2ポイント上回りました。
<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフです。
今回はどの通貨も、ネットで10,000コントラクト以上の変化はなく、目先に対する見通しには、迷いが暗示される結果となりました。ただ、ユーロ、ポンド、豪ドルの買い越しは継続しており、このグラフからも円を除いた各通貨が買い戻されている傾向が見て取れます。
円のブレークダウンでは、前回僅かに膨張した市場はその規模を保ったまま下側(円売り側)にシフトした様子が判り、短期筋の一部が円高から円安へと再び見通しを変えた可能性が示唆されています。
ユーロは、少しずつ市場規模を拡大しながら、ロング寄り(つまりブル方向)へとシフトしており、ユーロの先高観が育ちつつある状況が伺えます。
また今回のポンドは、前々回に市場規模が拡大し過ぎた反動からか、市場規模が縮小する中で、売り越しの取り崩しが優勢だったことが判ります。こちらも次第にポンドの先高観が育ちつつあるようにも見えています。
最後に豪ドルは、売り越しの手仕舞いが進んだ以外は大きな変化はありません。上昇しつつある最近の相場ですが先高観にまでは至っていない可能性が在りそうです。
<総括と考察>
さて今回のデータまでは、アメリカの株価も順調に回復し、世界経済も順調な兆しが散見されていたことから、一部にはリスク回避を解消する資金の流れも観測されていたように思います。
しかしその後、仮想通貨相場の暴落や人民元の急落、或いはウクライナの情勢不安から、一部の通貨に対してはドルが買われるなど、データ以前とは逆行する展開になっています。
ウクライナ政権はロシアよりからユーロ圏よりの政権に交代し、一旦ユーロは歓迎ムードになったものの、これに対して週末にはロシアの軍事介入が議会承認され、再びリスク回避ムードへと傾きつつある展開です。
地政学リスクの影響が強いユーロは、いまのところ比較的冷静な対応となっていますが、円がギャップを空けて買われたり、金が急速に買い戻されるなど、既にリスク懸念の兆しは出ています。
今週は、ユーロやポンドの下落が対円の下落に因るものなのか、リスク回避のドル買いに因るものなのかを、見極める週となりそうです。
以上、このIMMの取組残高分析は、動画でもご視聴いただけます。
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是非一度ご覧いただき、いわゆる投機筋として代表的なシカゴ筋のポジション動向をご確認ください。