昨日11日の東京時間後半のドル円は、主に97円台後半でのもみ合いとなりました。
一方で、当初目立っていたのは、ユーロの弱い地合でした。ヨーロッパ市場が参入すると、ユーロは売り基調を強め、一時対円で136.60円水準、対ドルでもNY市場が本格参入する前には、一時1.3945ドル水準に下落しています。
ヨーロッパの一部中央銀行が発表した定例レポートに対しては、特段の反応は無かったように見え、堅調なヨーロッパ株式市場に向かう資金の流れと、アメリカの債券利回り上昇をにらんだドル買いなどが交錯していた模様です。
NY市場は、注目されていたアメリカ小売売上高の発表から始まりました。
結果は予想通りの前月比プラス0.5%と、まずは安堵感からか、一時ドル買いが持ち込まれた模様で、ドル円は98.50円水準まで上昇しました。しかし、指標を好感したアメリカ株式市場が強含(つよぶく)むと、ドルは買相場から売り相場へ一転。アメリカ国債の入札が好調な展開に、こちらにも資金が戻ってきた様子で、債券相場は上昇して利回りが低下しています。
こうした展開に、資金源となるドルは売り傾向を強め、一時、対ユーロで1.4170ドル水準、対ポンドで1.6615ドル水準、対円で97.30円水準まで下落。その後はやや調整的に穏やかなドル買い戻しとなっています。
おおむねドル安相場でNYを引けた為替市場ですが、本日の東京時間に入ってここまでは、調整気味な動きを継続してややドル買いに小動きとなっています。
早朝にはオーストラリアの小売売上高の発表があり、こちらも好調な数字となりオージードルが一時買われましたが、ドル円がドル売り圧力にやや下押された形となったため、オージー円での動きはほとんど見られていません。
昨日の海外市場では、株式、債券、原油、金などの各相場はともに上昇し、為替相場ではドルが売られるなど、キャッシュに還流していた資金が、いっせいに各投資先に戻っていった模様です。ただ、気になるのは、投資意欲が上昇した場合、これまではファンディング通貨としての円も、ドルに合わせて下落する傾向があった中で、今回はドルの動きに支配されています。円が出遅れているのか、あるいは既に円に回避していた資金はさほど積みあがっていなかったのか。あるいは日本株へ向かう海外資金の流入が上値を抑えているのか。
いずれにしても、ドル円はやや動きづらい展開を継続しそうです。