ドル円は相変わらず101円台を跨ぎ、反復横跳びを繰り返しています。
その尻目を縫って、概ねドル売りが先行している様子で、ユーロはいつの間にか史上高値を更新。その他の通貨も対ドルでは上昇を強め、クロス円は下値から遠ざかるばかりです。
ドル円がハッキリしない動きを継続することで、クロス円を買う勇気が出ません。ストレートでのドル売りが影響して計算値での上昇が始まっている様子です。
ただ、クロス円は上昇すると売りが断続的に持ち込まれているせいか、上値も重たいといえばそうも感じる場面が多々あり、当面はやはりテーマが明白な対ドル(ドル円を除く)が考え易いと思います。
夕方にドイツZEW景況感指数が強かったことで、一気に1.5450に乗せると史上最高値に挑戦するかたちとなり、あっさりと1.5494まで上昇しています。
ドイツはEUR圏では、一大経済大国ですが、どうやら本来の欧州経済圏が機能してきたように見えます。
周辺国家のいわゆる準ユーロ国の景気も良さそうです。
ZEW指数発表に前後して、スロベニア(ユーロ参加国)の貿易収支が発表されましたが、輸入が前年比15.4%UP、輸出が前年比9.5%UPと堅調な伸びを示しています。1月データなのでやや古く足元景気の判断には遠いものの、それらの影響を受けて、ハンガリー、チェコなどの準ユーロ国の通貨もここ数年での史上高値を、対ドルで更新しています。
日本の食糧の自給率が異常に低いことは、このところの農産物価格上昇の中でメディアにとりあげられ、ご存知の方も多いと思いますが、記憶が正しければ、輸入食料にかかる燃料コストもそのウエイトがダントツであったと思います。つまり、こう原油高が長引き下落の様子もないようですと、輸入価格の燃料価格の占める割合が危惧されます。
そんな中で、欧州は陸続きの隣国が寄り集まっており、たとえ輸出入を伴ったとしても、近場で調達できるものは輸送費コストが格段に安いはずです。
さらに文化的に高い欧州各国はエコや環境に対しては気遣うという感覚があり(一部かも知れませんが)、原油が高くなってもその影響は非常に限定的(少なくとも日本より)かもしれません。
そんな意味でも、欧州経済圏は上手く機能し始めている可能性を感じます。
問題は、EURという世界流動性が高い通貨に対する中央銀行として機能しているECBは、サブプライム問題を考慮し無ければならない一方で、インフレ問題の解決に苦しんでいます。
正直ベースでは利上げしたいように見えて仕方ありませんが、ここでの利上げはドルに対して引導を渡す可能性もあり、世界金融市場を鑑みれば切り札は切り辛いでしょう。一方で、周辺の国家の景気は非常に良さそうであり、金利は上昇傾向にある中で同一域内での金利格差をこれ以上拡げたくないのは、本音だと思います。
金価格も持ち直しており、援護射撃も効いているようです。