福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

仁王護國般若波羅蜜多經卷・・6

2022-03-06 | 諸経

仁王護國般若波羅蜜多經卷下
護國品第五(護国の法を説く)
爾時世尊、波斯匿王等諸大國王に告げたまはく、「諦聽諦聽、我汝等が為に護國の法を説かん。一切の國土、若し亂んとする時、諸災難あり、賊来りて破壊せん。
汝等諸王、応に當に此般若波羅蜜多を受持讀誦すべし。
道場を厳飾し百の佛像を置き、百の菩薩像・百の師子座を置き、百の法師を請じ、此經を解説せしめよ。諸
座の前に種種の燈を燃やし、種種の香を焼き、諸の雜花を散じ、廣大供養し衣服・臥具・飮食・湯藥・房舍・床座、一切を供事して、毎日二時に此經を講讀せよ。若しは王・大臣・比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷、聽受讀誦して如法修行せば災難即滅す。大王よ、諸國土中に無量鬼神有り、一一に復た無量眷屬有り。若し是の經を聞かば汝が國土を護せん。若し國亂れんと欲するときは先ず鬼神亂る。鬼神亂るが故に即ち萬人亂る。當に賊起りて百姓喪亡することあるべし。國王・大子・王子・百官、互相に是非し、天地變怪し、日月衆星時を失い、度を失い、大火・大水及び大風等、是の諸難起らば皆な應に此の般若波羅蜜多を受持講説すべし。若し是經において受持讀誦せば一切所求の官位・富饒・男女・慧解、行來隨意なり。人天果報皆な滿
足するを得る。疾疫・厄難は即得除愈す。杻械枷鏁が其身を撿繋するも皆な解脱するを得る。四重戒を破し五逆罪を作り、及び諸戒毀の無量の過咎も悉く消滅することを得る。
大王よ、往昔、過去に釋提桓因あり。頂生王と為りて四軍衆を領し來りて天宮に上りて帝釋を滅ぼさんと欲す。時に彼の天主、即ち過去諸佛の教法により、百の高座を敷き百の法師を請じ、般若波羅蜜多經を講讀
せしに、頂生即ち退して天衆安樂なりき。
大王よ、昔、天羅國王に一太子あり名けて斑足という。王位に登る時、外道師あり名て善施と為す。王のために灌頂し、乃ち斑足をして千王の頭を取りて以って塚間の摩訶迦羅大黒天神を祀らしむ。自ら王位に登り、已に九百九十九王を得て唯だ一王をかく。北行萬里に乃ち一王を得る、名て曰く普明。其の普明王は斑
足に白して言さく、「願はくは一日をゆるして三宝を禮敬し沙門を飯食沙せしめよ。斑足は聞已りて即便ち之を許す。其王は乃ち過去諸佛所説の教法に依りて、
百の高座を敷き、百の法師を請ひ、一日二時に般若波羅蜜多八千億の偈を講説す。時に彼の衆中の第一の法師、普明王のために偈を説いて言く
「 劫火洞然として  大千倶に壞る  須彌巨海
磨滅無餘なり  梵釋天龍  諸有情等
尚皆殄滅せん  何況んや此身をや  
生老病死 憂悲苦惱  怨親逼迫し  能く願と違う
愛欲結使  自ら瘡疣を作す  三界は安きことなし
國に何の樂しみか有らん  有爲は實ならず  因縁より起る
盛衰電轉じて  暫く有て即ち無し  
諸界の趣生は 業縁に随って現ず  影の如く響の如く  一切皆空なり
識は業に由って漂い  四大に乗じて起る  無明愛と縛は 我・我所より生ず  識は業に随って遷る  身は即ち主無し
應に知るべし國土の幻化なるも亦た然なり」
爾時、法師、此偈を説き已る。時に普明王は聞法してて悟解し空三昧を證し、王の諸眷屬は法眼空を得たり。其王即便ち天羅國に詣で、諸王衆中にして是の言を作す。「仁等今者、就命時の到れり。悉く應に過去諸佛所説般若波羅蜜多の偈を誦持すべし」と。諸王聞き已りて亦た皆な悟解し、空三昧を得、各各誦持す。時に斑足王は諸王に問いて言く、「汝等今者、皆、何の法を誦するや」と。
爾時普明、即ち上の偈を以て斑足王に答う。王、是の法を聞きて亦た空定を証し、歡喜踊躍し諸王に告げて言く、「我外道邪師のために誤またる。汝等の咎に非ず。汝ら各の還國し、當に法師を請じて般若波羅蜜多を解説すべし」と。
時に斑足王、國を以て弟に付し、出家して道となり、無生法忍を得たり。
大王よ、過去に復た五千國王有り。常に此經を誦し、現生に報を獲る。汝等十六諸大國王、護國法を修せば應當に如是に此經を受持讀誦解説せよ。若し未來世の諸國王等、國を護し、自身を護せんと欲する為には亦た應に如是に此經受持讀誦解説すべし。是法を説く時、無量の人衆、不退轉を得、阿修羅等天上に生ずることを得、無量無數の欲色の諸天は無生忍を得たり。

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