○モーツァルト 交響曲第41番「ジュピター」
セッション録音2種、放送録音1種の3種があります。
(1) RIAS交響楽団 1953年9月9~11日(セッション録音、DG)(M)
(2) ウィーン交響楽団 1961年3月12、13日(セッション録音、DG)(S)
(3) RIAS交響楽団 1951年12月10日(RIAS放送録音、Jube Classics)(M)
演奏時間
(1) Ⅰ 7’45 Ⅱ 7’40 Ⅲ 4’12 Ⅳ 6’05
(2) Ⅰ 8’25 Ⅱ 9’42 Ⅲ 4’54 Ⅳ 6’25
(3) Ⅰ 7’52 Ⅱ 8’49 Ⅲ 4’11 Ⅳ 6’29
演奏について
(1)は速めのテンポの流れるような演奏です。弦楽器の音は、切れるような鋭さがある一方、艶やかさもあります。管楽器も同様に艶やかで、とても美しいです。特に、終楽章の出だしの推進力は迫力があります。
(2)は第1楽章の出だし、フォルテの全合奏のあとにヴァイオリンで奏される物静かで優美な旋律を、若干テンポを落として演奏しています。(3)も(2)ほどではありませんが、同じ解釈をしています。佐藤菊夫は、この解釈を「あまりにのびすぎていて、第一主題の前半と後半が調和を失っている」(『レコード芸術』1962年8月号)と否定的な評価をしていますが、私は逆にそこが魅力的であると思っています。また、極めてゆったりしたテンポの美しい第2楽章((1)と比べて2分遅くなっている)は、この演奏の白眉と言えます。終楽章はバランスよく整っていると思います。
(3)は、若干粗さはあるがダイナミックな演奏で、私はこれが一番好きです。
音質等について
(1)は少し遠くから音が聴こえるような録音ですが、聴いていくうちに気にならなくなります。(2)は第1楽章が瘠せた感じの音です。(3)の録音が一番臨場感を感じられます。なお、(3)はMP3による販売です。