○プッチーニ トスカ デ・サバタ/ミラノ・スカラ座管弦楽団 1953年4月10~14、16、18日
録音が古いながら、カラス全盛期の録音で、この曲の決定盤とも評されています。
私自身はこの曲を多く聴いているわけではありませんので、その魅力をうんぬん言える状況にはありませんが、1幕の終わりの部分で徐々に盛り上がっているところは印象的でした。
有名な曲「妙なる調和」、「歌に生き、愛に行き」、「星はきらめき」のうちでは、フリッチャイも録音していて馴染みが深いせいか、「妙なる調和」が好きです。
録音は、フリッチャイのこの頃の録音の明晰さと比べると、少し遜色があるように感じます。ダイナミックレンジが狭く、音が圧縮された印象を受けます。
○ヴェルディ 椿姫 レヴァイン/メトロポリタン歌劇場管弦楽団他 1982年(映画)
フランコ・ゼッフィレッリ監督によるヴェルディのオペラの映画化です。
この映画では、なんといってもアルフレード役のドミンゴが素晴らしいです。張りのある声に加え、まさにこの役にぴったりと言ってもよい若々しくりりしい容姿、惚れぼれします。ヴィオレッタ役のストラータスは映画制作時、43歳(又は44歳)、とても美しい容姿で、表情豊かな演技と、美しく澄んだ声が魅力的です。
1幕では、当たり前ではありますが、「乾杯の歌」が素晴らしい歌唱で、見どころ、聴きどころです。
2幕では、第2場の舞踏会の場面が楽しいです。特にマドリードの闘牛士たちによる踊りなど見ごたえがあります。でもそれからは悲劇が始まっていきます。最後には、アルフレードがヴィオレッタを侮辱し、パトロンの男爵から決闘を申し込まれてしまいます。手袋を投げつけられて。
それにしても3幕は悲しすぎます。思わず涙が出てしまいそうです。
レヴァインは活き活きと推進力のある演奏で全体を引き締めています。
○ロッシーニ 「コリントの包囲」序曲
○レスピーギ ローマの噴水
○ロッシーニ スターバト・マーテル
M.ラドエヴァ(S)、澤村翔子(Ms)、鈴木准(T)、青山貴(Br)
T.チェッケリーニ/群馬交響楽団・合唱団
どの曲も素晴らしい演奏だったと思います。
1曲目の序曲からして力の入った演奏でした。
スターバト・マーテルは、第1曲が最高に素晴らしかったです。遅めのテンポで聖母マリアの悲しみがひしひしと感じられ、思わず涙がこぼれそうになりました。が、しかし、第2曲になって曲の雰囲気はガラリと変わり、オペラの勇壮なアリアになってしまいました。これには愕然。こぼれかけた涙も乾いてしまいました。
この曲はフリッチャイが好んで採り上げた曲で、わかっているだけでもベルリンで3回演奏したほか、ケルン、ミュンヘン、ウィーン、ハンブルクでも採り上げています。またベルリンで商用のスタジオ録音のほか、ラジオ放送用の録音も行っています。
そのフリッチャイのアプローチは決してオペラチックでなく厳かな宗教色の濃いものです。
第2曲の解釈は別として、演奏自体は素晴らかったです。声量豊かなソプラノ、陰影のあるメゾ・ソプラノ、バリトンというよりバスといった感じずっしり太い声、ただ、テノールはちよっと性格がつかめなかったような・・・