○メンデルスゾーン 序曲「フィンガルの洞窟」
○モーツァルト フルートとハープのための協奏曲
○シューマン 「マンフレッド」序曲
○シューマン 交響曲第1番「春」
○シュトラウス兄弟 ピチカート・ポルカ
小山裕幾(Fl)、平野花子(Hrp)、山下和仁/群馬交響楽団
シューマンの「春」が大変素晴らしかったです。
シューマンらしい厚みのある、それでいて繊細な弦、あじあいのあるホルン、随所随所で引き締めるティンパニ、特に最後は盛り上がりました。
フリッチャイの「春」の録音が骨と皮だけのような薄っぺらい演奏で不満が多いだけに今日の演奏は感動、「ブラヴォー」の気分でした。(恥ずかしくて叫べませんが・・・)
また、フルートとハープの協奏曲もよかったです。
こちらもフリッチャイとの対比になってしまいますが、フリッチャイの厚みのある演奏に対して、軽やかで早めのテンポが清々しかったです。この曲はこうであるべきと思います。独奏者は二人とも20代前半と若いですが、素晴らしい演奏でした。
「フィンガルの洞窟」はあまり聴く機会がなく、印象に残りませんでした。「マンフレッド」は、早めのテンポで(これが普通なのかも)、ジュリーニの遅いテンポに聴きなれている私にとって新鮮でしたが、ちょっと無理があったような気がしました。
(前橋市民文化会館)
○ビゼー カルメンから「闘牛士の歌」
○グノー ファウストから「故郷の土地を離れる時」
○ビゼー 真珠とりから「おーナディール、なつかしい幼友達」
○ロッシーニ ウィリアム・テルから「動いてはならぬ」
○ヴェルディ 運命の力から「わが使命の小箱よ」
○ヴェルディ 椿姫から「プロバンスの海と陸」
○ジョルダーノ アンドレシア・シェニエから「祖国の敵か」
○レオンカバルロ 道化師から「プロローグ」
F=ディースカウ(Br)、フリッチャイ/ベルリン放送交響楽団 1961年4月17~21日
F=ディースカウとフリッチャイによるフランス、イタリア・オペラのアリア選集。
F=ディースカウはこのときの録音を「(フリッチャイは)献身的な熱意をもって私のオペラ・アリア選集のレコードのためのオーケストラ伴奏に打ち込んでくれた・・・最初は戦々恐々だったが、その後は楽しむことができ、ずっと愛着が持てるようになった。」と回想しています。
また、F=ディースカウによれば、フリッチャイはレコード録音に際して、オーケストラが細部にわたって透明に響くように時には拍子ごとに弦楽器奏者の数を変更していたとのことです。
この録音、確かに見通しのよい透明感あふれる響きが特徴といえると思います。反面、濃厚さ、ふくよかさには欠ける感は否めません。
もちろん、F=ディースカウの歌唱については素晴らしいの一言に尽きます。
○モーツァルト ドン・ジョバンニ フリッチャイ/ベルリン放送交響楽団他 1958年9月15~26日、10月9日
今日は2幕を聴きました。
2幕もエルヴィーラのアリアが好きです。
オーケストラの素晴らしいバックのもと、ドン・ジョバンニに裏切られても、でも彼を忘れられないという気持ちをシュターダーが歌います。
あと、ドン・ジョバンニが地獄に落ちたあとの終幕にかけてのアンサンブルも素晴らしいものがあります。
○モーツァルト ドン・ジョバンニ フリッチャイ/ベルリン放送交響楽団他 1958年9月15~26日、10月9日
ADFディスク大賞を受賞したスタジオ録音。
1961年秋のベルリン・ドイツ・オペラとのゲネ・プロ、ライヴ録音での重厚さはないものの、よく弾む、ピチピチした演奏といいましょうか、弦楽器、木管楽器がとても活き活きしています。
今日は1幕を聴きましたが、1幕では、ドンナ・エルヴィーラの登場からレポルロが「カタログの歌」を歌うまでの場面が好きです。
エルヴィーラのシュターダーは、ベルリン・ドイツ・オペラでのローレンガーのような可憐さはないものの、悩める淑女を好演していると思います。
シュターダーは、フリッチャイの指揮について「単に伴奏するのではなく、声部の旋律的な展開に対して全くぴったり息の合った基底を作ってくれたのです。」と回想しています。でもこれは決して控えめということではなく、オーケストラが主張するところは主張し、しかし歌手を圧倒してしまうということではなく、まさにバランスよく溶け合っているという感じがします。
特にエルヴィーラが歌う場面で、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロと動機を順に演奏する部分は絶妙です。
○マルチェッロ ソナタ第1番(Cb、G)
○M.ハイドン ディベルティメント(Va、Vc、Cb)
○バッハ ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ(Cb、Pf)
○ブルッフ コル・ニドライ(Cb、G)
○ボッテシーニ エレジー(Cb、G)
○フォーレ エレジー(Cb、G)
○ピアソラ リベルタンゴ(Cb、Pf)
○ピアソラ オブリビオン(Cb、Pf)
○ピアソラ ル・グラン・タンゴ(Cb、Pf)
○ピアソラ ブエノスアイレスの冬(Va、Vc、Cb、G、Pf)
○ピアソラ コントラパッシモ(Vn、Vc、Cb、G、Pf)(アンコール)
山崎 実(Cb)、R.グルチン(Vc)、池田美代子(Va、Vn)
町田文善(G)、熊田 洋(Pf)
毎年、前橋テルサで開催されている群響メンバーらによる室内楽の演奏会、今年は首席コントラバス奏者の山崎実さんを中心とした「バロックからピアソラまで~山崎実と素敵な仲間たち~」と題した演奏会。
池田美代子さんも毎年出演されています。
最初のマルチェロの曲、どこかヘンデルを思わせる曲でした。
フォーレのエレジー、ピアソラのオブリビオンが印象に残りました。
でも一番よかったのは、なんといっても「ブエノスアイレスの冬」でした。池田さんのヴィオラがとてもとても素敵でした。この曲、ヴィオラによく合っていると思いました。
池田さんが出演されたもう一つの曲、ミヒャエル・ハイドンのディベルティメントは、ヴィオラというよりヴァイオリンを演奏しているのではと思わせるような曲でした。
そして、アンコールでサプライズが!
山崎さんが曲を紹介後、「池田さんは小さいヴィオラで演奏します!」と紹介。
それってヴァイオリンではありせんか。なんかヴァイオリンがとても小さく感じました。とても素晴らしい演奏で、得難い経験をさせてもらいました。
でも池田さんは、やはりヴィオラが似合っていると感じました。
(前橋テルサ)
○ストラビンスキー エディプス王 フリッチャイ/ベルリン放送交響楽団他 1960年9月29日(ライヴ)
ギリシャ三大悲劇の一つ、エディプス王をストラビンスキーがオペラ・オラトリオとして作曲した曲。
テーバイの王ライオスは、子供を作るとその子供に殺されるとの神託を受けていたが、子供を作ってしまう。そこで、その子供を山中に捨てたが、別の王のもとで育てられる。
大人となったその子供、エディプスは神託で両親を殺すであろうと告げられ、旅に出た。その途中、出会った老人をトラブルで殺してしまう。それが実の父、ライオスであったわけである。エディプス自身はまだ気づいていないが、これで神託が実現してしまった。
その頃、スフィンクスに悩まされていたテーバイでは、謎を解けば王にするという布告を出した。エディプスはスフィンクスに挑み、見事、謎を解き、王となり前王妃、実は実母と結婚し、子供を設ける。
テーバイでは、スフィンクスはいなくなったが、不作と疫病に悩まされるようになる。
ここから物語が始まります。
神託は、不作と疫病は、前王を殺害した者の穢れが原因であり、その者を捕えて追放せよというものでした。
エディプスは、その者の推理を重ねていくうちに、それは自分であることに気付き、妻は自殺、エディプスは自らの目をくりぬくという結末になるわけです。
フリッチャイは、引き締まった活き活きとしたテンポで、この悲劇を見通し良く演奏しています。特にティンパニが効果的に鳴り響きます。
2幕から妻イオカステ役のテッパーが出演しますが、非常に色っぽくこの曲一番の聴きものと思います。
○サラサーテ ツィゴイネルワイゼン ツァハリアス(Vn)、フリッチャイ/RIAS交響楽団 1954年1月
○フバイ チャルダッシュの情景第4番「ハイレ・カティ」 ツァハリアス(Vn)、フリッチャイ/RIAS交響楽団 1954年1月
○フバイ チャルダッシュの情景第2番 テルマーニ(Vn)、フリッチャイ/ブダペスト管弦楽団 1942年
○フリッチャイ メライ・マーチ フリッチャイ/第9陸軍軍楽隊 1938年10月27、28日
○フリッチャイ Werth Henrikマーチ フリッチャイ/第9陸軍軍楽隊 1938年10月27、28日
○ピーター Szent Laszloマーチ フリッチャイ/第9陸軍軍楽隊 1938年10月27、28日
○アラジョス A volt kassai 34 フリッチャイ/第9陸軍軍楽隊 1938年10月27、28日
○ドヴォルジャーク Piros feher zoldマーチ フリッチャイ/第9陸軍軍楽隊 1938年10月27、28日
ツィゴイネルワイゼンは多少おとなしい感じがしますが、3部のところでフリッチャイは、3つの和音をくっきり遅く演奏して速い独奏ヴァイオリンとの対比を際立たせています。
フバイはハンガリーのヴァイオリニスト、作曲家でハイレ・カティは時々演奏される曲です。テルマーニはフバイの弟子にあたります。
マーチは、フリッチャイがセゲドの軍楽隊長を務めていた頃の録音。音質はそれほど悪くなく、貴重なものです。
○シュクロウプ チェコ国家
○スク 祖国新生へ向けて(ソコル行進曲)
○フィビヒ 牧歌「たそがれの中で」から詩曲
○スメタナ シェークスピア祭のための祝典行進曲
○ネドバル 「ホンザの物語」から悲しきワルツ
○フチーク フローレンス行進曲
○ドヴォルジャーク 交響曲第2番
○フチーク 剣士の行進曲(アンコール)
佐伯正則/ナズドラヴィ・フィル
チェコ音楽を愛するアマチュアが集まってできたナズドラヴィ・フィルの第2回定期演奏会。
前半は、チェコの作曲家の行進曲などの小品。総じてマーチがよかったです。金管が素晴らしかったです。
メインはなんといってもドヴォルジャークの第2交響曲。
プログラムによれば、日本では2004年に名古屋フィルが演奏した(確かCDが出ていた)だけで2回目の演奏とのこと。
第2交響曲は、1865年作曲、1888年に初演されましたが、作曲者自身によるカットが行われています。
今日もカット版での演奏でした。
私自身は、ドヴォルジャークが初恋に燃えていた1865年のままの方がよかったのですが、カット版が主流であることは否めません。
演奏ですが、素晴らしかったと思います。
第1楽章と第4楽章の第2主題の出だし、テンポを落としていて、とても印象的でした。
また、1楽章展開部の終わりのところのホルン、3楽章スケルツォの終わりでの金管、終楽章の終わりでのティンパニが素晴らしかったです。
欲を言えば、1楽章序奏の終わりでホルンが動機を吹く部分、もっと強調してほしかったと思います。
(日野市民会館)