○ショパン ピアノ協奏曲第1番 A.ブライロフスキー(Pf)、フリッチャイ/RIAS交響楽団 1952年9月8日(ライヴ)
フリッチャイ初めての、そしてこれだけであろうと思われるショパン。
ティタニア・パラストでの演奏会の録音です。ラジオ放送を録音したと思われ、結構ノイズがありますが、聴いているうちに気にならなくなりました。
そして、これも聴いていくうちに、中々、良い演奏ではないかと思ってきました。
ショパンを好んで聴く方ではないので、演奏会で聴いていても特に2楽章などはほとんど記憶に残っていないというのが実態ですが、このCDを聴いて、とても美しい楽章であることに気づかされました。今度、演奏会で聴くときは、もっとよく聴けるのではないかと思います。
1楽章と3楽章は、フリッチャイらしいきびきびした畳み込むような演奏で、特にティンパニを含む全合奏では、地の底から鳴り響くような轟音です。
残念ながらカットされている箇所があり、私が気づいたのは、1楽長の出だし、第一主題が呈示された後、例の「あなた変わりはないですか・・・」を思わせるメロディに移ることなく、間もなくピアノ・ソロに入ってしまいます。
ピアノのブライロフスキーという人は、私はまったく知らないピアニストでしたが、ウィキペディアによると、1896年キエフ生まれ、第2次世界大戦後、アメリカに帰化、1976年没。「大音量で聴衆を圧倒するより、透明な音色と洒落た味わい、個性的な解釈によって聴衆に親密に語りかけるもの」だったそうです。特にショパン弾きとして有名だったとのことで、そのことからベルリンの演奏会でもショパンが採り上げられたのも頷けます。ここでの演奏も、確かに圧倒されるようなダイナミックさはありませんが、とても美しい音を奏でているのではないかと思います。