みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

『週刊東洋経済』4月4日号 -「優秀な企業にベンチャーキャピタルは不要」藤田晋

2015-04-03 | 『週刊 東洋経済』より
今週の『東洋経済』のメイン特集はいまひとつだった。
普段、歴史を意識していないで急拵えで組んだ記事に見える。
「労多くして功少なし」と編集部でも思っている向きが少なくないだろう。

世界の動乱の原因は常にパワーバランスの変動であり、
それは今も昔も変わらない。軍事や安全保障の基本である。

また、人口動態を全く扱っていないため今日的課題に対し余りにも迂遠に見える。
ソ連崩壊の予言が的中して世界を驚嘆させたエマニュエル・トッドは当然、取り上げるべきだし
今話題の「ユース・バルジ」を唱えたグナル・ハインゾーンも登場していない。


メイン特集以外には、巻頭の阿部彩女史のコラムもがっかりした。
日本国民は「同情より対策」を望んでいるのでは全くない。
貧困問題に単純化できないと知っていて同情している」のである。
神奈川の事件を我田引水論に利用するのは寧ろ被害者への冒涜ではないのか。
貧困対策を行えば事件を防止できるという証拠がどこにあると言うのか。
加害者の親はメディアに暴言を吐き、少年グループの周辺者はメディアにカネを要求したと報じられている。
この幾重もの要因が絡んだ事件と普遍的な貧困問題とを峻別しない限り、世論は背を向けるだけだ。

『週刊東洋経済』2015年4/4号ビジネスに効く 世界史&宗教/佐藤優の世界史の極意/宗教がわかると世界がみえる/出口治明/[第二特集]スカイマーク破綻続報/[第三特集]ベンチャー投資の舞台裏


予想通り、メイン特集よりサブ特集「活況ベンチャー投資の舞台裏」の方が質は高い。
特に、「明らかなバブルで緊張が緩んでいる」と題した
サイバーエージェントの藤田晋社長へのインタビューは素晴らしい。
(では自社はどうなのか、という問題も当然あるが)
エントリーのサブタイトルはこちらから引用した。
優秀な企業はベンチャーキャピタルの協力がなくても大きくなる」には激しく同意。

匿名座談会「ベンチャーバブルに踊らされるな」は期待通りの出来で、
IPOでぼろ儲けしようとベンチャーをおだてる中小証券の醜態は、バブルの明白な証拠だ。
第二のグミ懸念として名前が挙がっているのが案の定ながら●●シーと●●●ドワークス。
(矢張り衆目は一致していると言えるだろう)

「ベンチャー経営者がバブルに踊らされている」
「CVC(大企業によるベンチャー直接投資)はリスクを取りたがらない」
といった指摘も的確であり、藤田インタビューよりこちらの方が価値が高いのでは。

あと大企業の将来を不安視する見方と起業コストの低下で
ベンチャーに以前より良い人材が入ってきているとの話は数少ないポジティブ材料だ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

今週の『週刊エコノミスト』の株式特集は懸念したほど悪くなかった。
特にP37「景気減速の影響は米の3倍」、P38「先物買い漁る年金ファンド」が良い。

前者ではTOPIXの半分が海外景気敏感株である点を指摘し、
(成程、だから東証はNYよりもボラティリティが高い訳だ)
後者は先行指標であるダウ輸送株価指数が高値を更新していない米株の危うさを指摘している。

但し後者は東京オリンピック前にバブルが来るのではと書いているが賛成できない。
昨年ですら追加緩和がなければ東証はマイナス圏の可能性があった。
愚かしい人為的な株価操作は市場の女神の裁きを受け、崩壊するものである。

『週刊エコノミスト』2015年 4/7号


当ウェブログで毎回のように取り上げている富国生命の市岡繁男氏は、
P118で日本企業が海外で儲けても国内投資には向けず、
国内設備投資が低迷したままである現状
を明らかにしている。
(だから営業益と経常益の差がかつてない規模に拡大しているのである)

安倍政権になっても国内設備投資は殆ど増えず、
我が国の経済団体の見え透いた利益誘導が日本経済を成長させないのは明白だ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊ダイヤモンド』の英語特集はかなり良かった!
英語上達のニーズがあれば、の話だが。
(学生や新卒向けの英語学習コーナーを設けた方が良いのでは?)

内容としては、売れるのも当然という印象。
ニーズがあればP46やP64あたりをしっかり読んでおきたい。

『週刊ダイヤモンド』2015年4/4号特集1 NHK英語の秘密 TOEIC®の謎 禁断の英語攻略/ NHK英語徹底解剖「おとなの基礎英語」「実践ビジネス英語」…制作現場に潜入!超人気4講座の作られ方/前代未聞の逆解析で判明!TOEIC®最速学習法/最小コストで最大成果!驚異のオンライン英会話


一方、サブ特集「春闘狂騒! 遠い景気回復への道」はいま一つだった。
春闘も竜頭蛇尾で実質賃金低迷が変わらないのは大方の予想通りであり、
藻谷浩介氏に依頼して内需の沈滞が一貫して続いている事実を図表にして貰った方が良かっただろう。
(アベノミクスは生産年齢人口減少のもたらす消費減退に全く無力であるから)

女性就労率と出生率を引き上げない限り内需の沈滞は続く。
日本経済と消費は非常に強く人口動態と結びついているからだ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週は東洋経済に注目。反貧困関係者の話に引っ張られ、負担とモラルハザードの問題を忘れないよう願いたい。

▽ 東洋経済新報社も一般の水準から見たら裕福であり、貧困対策にカネを出すべき層であるが。。

『週刊東洋経済』2015年 4/11号


▽ ダイヤモンドは地政学にフォーカス、今週の東洋経済よりも鋭い視点を期待

『週刊ダイヤモンド』2015年 4/11号


▽ エコノミストはタイトルに工夫が必要では?(例:「不動産は「売り」か」)

『週刊エコノミスト』2015年 4/14号

エコノミストレポートでは、FRBの利上げ後退観測を扱っているようだ。
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再稼働を「権利」と勘違いしている原子力関係者、日本の非効率の元凶 - 大企業と結託し有権者を脅す

2015-04-03 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
原子力利権勢力は、全く反省なくいつも通りの情報操作と
国民を小馬鹿にしたマインドコントロールに熱中し始めた。

民意は無視、原子力規制委員会の結論も公然と否定し、
再稼働をごく当然の権利のように語る利害関係者の傲慢不遜は
原子力に対する有権者の強烈な不信の念を強めるだけである。

そんなに再稼働が必要と言うのなら、賛成する連中が
福島原発事故の賠償金を負担して払うがいい。
原発で儲けながらリスクは国民に転嫁する薄汚い根性が透けて見える。

原子力がロシアンルーレットのような投機的電源であり、
過酷事故が起きたら国民に負担を強いる無責任の塊であることは既に証明された。
稼働率の数値を見ても凶悪な「不安定電源」であるのは明白だ。

そもそも史上最悪の速度で人口老化が進む日本において、
エネルギーロスの権化である原子力の必要性など最初からない。
一部の連中だけが稼げるから自分の利益のために執拗に再稼働を叫んでいるだけの話。
(その証拠に、再稼働賛成派はほぼ全員が再稼働でカネをもらえる連中である)

原子力は「レント」に他ならず、日本経済にとって有害である。
原子力比率が高まるとともに我が国の成長率は低落し、
原子力比率が最も高まった時期に日本はゼロ成長に突入している。

「もし原子力が経済成長に寄与するのであれば、
 原子力大国フランスの成長率はもっと高い筈であり、
 合理主義のアメリカで原発の廃炉が進む訳がない」

「原発再稼働を巡る対立の本質は「利権 vs 反利権」の戦いであり、
 原子力でエネルギーを垂れ流して利権構造を温存するか、それとも
 再生エネ省エネで賢く投資を増やして経済成長を選ぶかの二者択一なのである」

「前者を選べば原子力利権勢力にばかり湯水の如くカネが流れて日本経済は停滞し、
 後者を選べば日本のエネルギー効率は向上して輸入燃料は大幅削減、成長率は改善する。
 日本経済のために、どちらを選ぶのが正しいかは自明であろう」

当ウェブログで書いたように、事実は明らかである。
日本経済のために、利権は排除されなければならない。

▽ 彼らの得意は策謀と裏工作で、国民を騙すのも何とも思っていない

『東京ブラックアウト』(若杉冽,講談社)


▽ 原子力関係者の言う「安全」など、全く信用できない

『原発と大津波 警告を葬った人々』(添田孝史,岩波書店)


当ウェブログは経済合理性に基づいて主張してきた。
従って利権勢力の利己的動機に対しては当然、厳しく批判せざるを得ない。

「日本は資源制約が大きかったからこそ世界に冠たるエコカーの国となった。
 従って、経済面から見れば原発利権に完全にとどめを刺して
 省エネと再生可能エネ投資で飛躍するのが当然の道である」

「洗脳と情報操作を次々と繰り出す利権勢力の胡散臭さを有権者が鋭く感じ取り、
 原発再稼働に関しては過半数が反対しているのは幸いなことである」

「昨年末の読売の調査ですら再稼働反対が優勢であり、
 大多数の有権者は少なくとも原子力利権勢力が信用できないということはしっかり理解している」

「原子力関連の学者は余りにも深く原子力を巡る利権に結びついており、
 そもそも「中立的な学者が殆ど誰もいない」という状況である。
 彼らを信用しない有権者の方が的確と言ってよい」

「今でも洗脳されている連中は「原子力を理解しない愚民大衆が悪い」と考えている筈だ。
 そうした傲慢不遜な考えが残っている限り、永遠に信頼されることはない」

「原発再稼働が公益のためでは全くなく、
 一部の利害関係者が儲けるためのものであることは事実が証明している」

原子力によって日本経済が成長したことなどただの一度もない。
原発稼働率や原発の発電量と、日本の成長率の推移を比較すればすぐに分かる話だ。

 ↓ 参考

科学を歪め、信用度を暴落させた原子力利害関係者 - 有権者が再稼働の薄汚れた動機を疑うのは当然である
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/816d5f6cb10596e23a0eae7eabb3c950

原発のおかげで「毎日遊んでいられた」- 民意に敵対して再稼働を進め、リプレースを狙うのはカネのため
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8aa569efe7d53715a6422b243bc82688

電力各社「事故の賠償は無理、原発費用は消費者に転嫁させろ」-証明された「原子力は高リスクでコスト高」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d121c9b7403f1918e88f81a7dfd7cf43

▽ 原子力に経済的合理性がないからこそ、カネで政治家を買収するのである

『原発利権を追う 電力をめぐるカネと権力の構造』(朝日新聞出版)


電源構成比率:関経連会長「おかしな話、原発再稼働を」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150317k0000m020038000c.html
”関西経済連合会の森詳介会長(関西電力会長)は16日の定例記者会見で、「(原発比率を)20%などに決めて、(稼働させるとそれを超えるため)新安全基準に適合したプラントを再稼働させないのはおかしな話。審査を加速し、適合するプラントは再稼働させるべきだ」と、国の総合資源エネルギー調査会で行われている電源構成比率の議論に関わらず、安全が確認された原発の再稼働を早期に認めるよう訴えた。
 同調査会の議論について森会長は「今年末のCOP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)で、日本のCO2(二酸化炭素)の排出目標を示さなければならない情勢だ。そのために原発をしっかり位置づけてほしい」と要望した。佐藤広士副会長(神戸製鋼所会長)も「安全性が確認された原発が動かないことによる(電力料金高騰などの)リスクが広がっており、産業界にとって危険な状態だ」と、再稼働の必要性を強調した。〔中略〕【山口透】”

原子力依存度を高めて電力の安定供給を危機に晒した関電は、
本来なら責任を取って経営陣が総退陣すべきであろう。
それなのに業界団体と癒着して再稼働を強硬に主張するのは、
多くの顧客や有権者を欺き、自分達がカネを稼ぐためである。

いま日本では再生可能エネルギーの比率が高く、
電気料金が相対的に安い北陸に投資が増えている。

風力やコージェネ、省エネへの投資を怠っているなら、
電気料金高騰の直撃を受けるのは自業自得である。

COP21の目標など、淡路や敦賀に全力で風力発電を増やし、
あらゆる熱需要地でコージェネや地中熱を推進すれば容易に達成できる。
我が国は大型発電所でエネルギーを無駄に垂れ流しているからだ。


原電「当然無効だ」=敦賀「活断層」評価に(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201503/2015032500439&g=eco
”日本原子力発電は25日、敦賀原発2号機(福井県)の下に活断層が存在する可能性を指摘した専門家の評価書が原子力規制委員会に報告されたことに対し、「重大かつ明確に信義則および適正手続きに反すると認識しており、当然無効だと考えている」とするコメントを出した。”

正しくは「我が社が倒産しかねない評価書は、絶対に認められない」の誤りである。
下の報道を見れば誰が考えても分かる話だ。


仏原子力大手アレバ、6400億円の赤字に(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150304-OYT1T50173.html
”【パリ=本間圭一】フランスの原子力大手アレバは4日、2014年12月期の連結決算を発表し、純利益が48億3400万ユーロ(約6400億円)の赤字となった。
 同社の赤字額としてはこれまでで最高となった。
 理由について、11年の東京電力福島第一原発事故などの影響で、世界の原発市場が引き続き低迷している点を挙げた。

 アレバは、仏国外での活動を強化し、13年には三菱重工業とともにトルコの原子力発電所建設を受注したが、収支改善には至っていない。 ”

原発は「政治」であり経済合理性に基づいていれば存続すらできない。
アレバ史上最悪の赤字は、原子力が企業経営にとっても重大なリスクであることを示している。


4割超「国内投資減らす」 製造業、電力料金高続けば(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H8U_R00C15A4PP8000/
”経団連はエネルギー政策と電力料金に関する緊急調査を実施した。東日本大震災以降続く電力料金の上昇を懸念し、このままの状況が続けば「国内向けの設備投資を減らす」と答えた製造業が4割超に達した。円安に伴う国内への生産回帰の動きを相殺しかねないとして、経済界は国内で停止中の原子力発電所の早期再稼働を重ねて求めている。
 電力料金は震災以降、家庭向けで約2割、企業向けで3割上がった。〔以下略〕”

高度成長期には原子力など存在しなかった。
国内で稼げなくなったから投資を減らしたのである。

国民のカネを使った原子力による真のコストを隠した安い電気で
企業収益を底上げしたいというだけの話でしかない。余りにも見え透いている。

このような利権癒着企業を優遇したところで日本経済は成長できない。
効率的な省エネや再生可能エネに投資する意欲的な企業が日本経済を前進させるのだ。
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長引く消費停滞に慌てる安倍政権、低次元なアベノミクスの当然の報い - 60%の家計が「消費抑制」継続

2015-04-03 | いとすぎから見るこの社会-全般
安倍政権は経済合理性から見る必要な施策を全く行っていない。
このような次元の低い政党に票をくれてやったために、
日本経済の深刻な低成長は確実に続くことになった。

大企業と高所得層が儲かったところで、我が国の経済低迷は変わらない。
彼らはそもそも労働分配率や消費性向が驚くほど低く、
少数派の彼らに日本経済全体を繁栄させる力はないし、そうした意思も持っていない。
彼らの言う「成長政策」の正体は、「自分の利益成長政策」でしかない。
(発言者の利害関係を詳細に調べればすぐ分かる話だ)

また、歴代自民党政権は選挙で権力を握るため
有権者の圧倒的多数を占めている高齢層にカネをバラ撒いてきた。

間接税の税収を育児支援と積極的労働市場政策に殆ど投入していないため、
「政策先進国」スウェーデンに成長率で惨敗し、
相変わらずの経済停滞に苦しむことになるのは理の当然である。

当ウェブログの警告は、数値によって次々と実証されている。
悲しいことであるが、これが我が国の苦い現実だ。

「2015年の日本の成長率下方修正は確定した。
 2016年の成長率も、能天気な楽観論者の語る数字を更に下回るであろう」

「原油安の恩恵を声高に語らなければならない理由は、
 異次元緩和がしょぼい失敗に終わり効果が出ていないからだ。
 その失態を取り繕いたい欲望のなせる悪あがきに過ぎない」

「実質賃金についてロイター企業調査の語る真実は明白だ。
 円安・増税による実質賃金低下は続き、賃上げは2%を下回る。
 原油安の恩恵は一部の業種だけにとどまり、円安による輸入コスト上昇が多くの企業を苦しめる」

「円高で六重苦と言っていた企業は、
 円安になっても海外投資のペースを緩めず、
 海外M&Aの金額は2007年を超えて過去最高となった。
 (しかし言う迄もなく、国民所得は2007年の水準に達していない)」

今日の事態を驚くほど的確に予言していたのが吉本佳生氏である。

氏は、日本経済の本格回復の鍵は若年層・女性・非正規労働者の所得増であると指摘し、
円安によって寧ろそうした層が輸入コスト増で苦しむことになること、
円安で大企業や高所得層が稼いでも経済全体に恩恵が及ばないと指摘した。
まさに今日の事態を数年前の段階でほぼ完璧に予見していたのである。

▽ 日本では円安期に高所得層の所得が上昇しても、圧倒的多数を占める中低所得層の所得は伸びない

『日本の景気は賃金が決める』(吉本佳生,講談社)


経済界に媚び諂い、その走狗と化してレントシーキングに協力する
恥知らずのエコノミスト達は、自らの不明を自覚して国民に謝罪すべきであろう。
まともな良識と責任感を持ち合わせているならば、の話だが。

「株価と配当利回りは高いのに、成長率は低い。
 これこそが自滅的で「次元の低い」政策の結末であり、
 ジム・ロジャーズが言う通り最後には「アベの背中に矢が突き刺さる」以外にない。
 8年前よりも日本の成長率も財政状況も明らかに悪く、
 これから生じる危機はリーマンショック時よりも更に深刻なものとなろう」

「安倍政権の太鼓持ちエコノミストは2%成長だの3%といった数字を公言したが、
 彼らが昨年や一昨年に述べていた日本経済回復シナリオは見事なほど外れまくっている」

「日本経済新聞の世論調査が、今の日本経済の病巣を象徴する結果となっている。
 主要企業の社長は7割以上が「景気拡大」と回答しているが、
 国民の7割以上が「所得は増えない」と回答している」

「実質的な通貨切り下げを行ったためドル建てで日本が一気に貧乏になり、
 労働コストを大幅節減でき輸出競争力を高めた輸出関連企業と
 株価操作政策の恩恵を受けた金融業が「神風」で大復活、
 その代償として輸入価格インフレにより国民は貧しくなったからである」

「所詮アベノミクスとは、国民から大企業への所得移転に過ぎないのだ。
 大企業だけ景気が良く、国民が貧しくなっている(実質賃金と購買力の低下)のは
 見え透いた利益誘導政策の当然の帰結と言える。
 (唯一の成果は失業率低下だが、労働コストを切り下げたのだから当たり前だ)」

「景気がいいのは社長だけであり、
 上積みされた収益も賃上げには殆ど回らず株主利益の増大に費やされる。
 衆愚メディアや御用メディアの喚く「賃上げ」は、既に竜頭蛇尾に終わると決まっている」

「毎日新聞の世論調査でも、日本経済の実態が分かる。
 はっきり予言しておくが、来年も再来年も同じように一般国民に恩恵は及ばない。
 安倍政権が国民全体に恩恵のある経済政策を実行していないのだから当然の結果である」

「毎日報道では「国の政策に民意が反映されていない」との回答が7割近くを占めるのだから、
 国民が望む「国民全体の利益」を安倍政権が無視しているという解釈となる」

以上の当ウェブログの予言も事実が立証するだろう。

 ↓ 参考

77%の国民が「所得は増えない」と回答、アベノミクスを完全否定 - 利益誘導で喜ぶのは大企業ばかり
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/06d9b5232b4ef4a8ed506c67573e6d42

2015年も実質賃金の下落は確定、70%以上の企業が増税分を補えず - 企業収益は配当とM&A原資に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/2dab93e457c6119343648b9cfe58f55f‎

日本企業の収益は海外企業買収と配当に使われる、労働者には「お情け」程度 -「製造業の国内回帰」も虚妄
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/037cab51febbe7e385313cbc6edd3a79

▽ アベノミクスなどという次元の低い愚劣な政策の結果、着々と日本の中間層は没落している

『中間層消滅』(駒村康平,KADOKAWA/角川マガジンズ)


焦点:増税から1年、消費停滞の裏に構造変化(reuters)
http://jp.reuters.com/article/top/idJPKBN0MR0HO20150331
”消費税率が8%に引き上げられて、あす4月1日で1年が経過する。政府は2014年末には増税の影響が軽減すると予想していたが、足元の個人消費は活発さを取り戻していない。背景には物価高に所得増が追い付いていないことだけでなく、未婚率の上昇による大型消費の先送りや貧困化率の上昇する高齢者層の増加が、日本の消費に大きな影を落としている可能性がある。

 <非正規雇用と未婚化、大型消費に影響>
 「なぜ、ここまで消費の停滞が長引くのか」──。政府関係者は企業収益や消費者マインド指標の改善にもかかわらず、個人消費に力強さが戻らないことにいら立ちを募らせている。
 特に自動車や家電、住宅といった大型耐久財の販売は、足元でも低調なままだ。
3月月例経済報告では、消費マインドの弱さへの言及は削除したものの、消費自体の判断は引き上げなかった。
 大型消費の落ち込みが続き「消費総合指数」が12月、1月とも前月比マイナスとなったことが主因の1つだ。
 政府が開催する「政策コメンテーター委員会」(会長・伊藤元重・東京大学教授)でコメンテーターを務める「インフィニティ」代表の牛窪恵氏は「住宅や大型消費が最も発生しやすいは結婚・出産前後。未婚率の高い非正規労働者にセーフティネットを築くべき」と指摘する。
 実際に内閣府の調査では、30歳代前半男性の未婚率(2013年)は非正規労働者で7割にのぼり、正規の2倍となっている。しかも、学歴を問わず次第に増加している
 30歳代の支出抑制は、家計調査からもうかがえる。20歳台から60歳台のうち、昨年4月の消費増税後に実収入の落ち込み以上に消費支出を減らしたのは、30歳代だけだった。
 就職氷河期世代でもある30歳代では、非正規雇用比率が高いこともあり、金融資産が少ないことも影響していると、内閣府ミニ白書(今年1月公表)では指摘している


 <高齢世帯の貧困化も影響>
 もう1つの構造変化が、高齢者の貧困化の進行だ。第一生命経済研究所・首席エコノミスト・熊野英生氏は「家計が高齢化するほどに、シニア世帯に及んでくる消費税増税のダメージは、否応なく大きくなる」と分析する。
 年金収入だけで暮らす高齢世帯は、14年時点で全世帯の38%にのぼり、消費動向にかなりの影響がある。
 熊野氏によると、高齢化の進展でこの世帯の構成比は前の年より1%上昇し、増加傾向にある。増税はまさにこの世帯を直撃し、増税分が加わった名目ベースで、昨年の年金世帯の消費支出は昨年1.5%減少した。
勤労者世帯や事業主世帯などで、前年比で増加したのとは対照的だ。
〔中略〕
 日銀資金循環統計によれば、家計が保有する金融資産残高は、3月末時点で1630兆円と前年比3.3%増となっており、高齢者世代でも同様の傾向にあるとみられる。
 しかし、この点についても、政策コメンテータの1人であるセイコーマート社長の丸谷智保社長は「年金層とその予備軍世代である50歳代以上の消費者の売り上げの落ち込みが激しい。とりわけ消費増税後と電気料金の値上げ後に顕著」と指摘する。
 金融資産が増加傾向にあるとしても、寿命が延びるほど、先々への備えの意識が強まり、日々の支出抑制意識が高まることは容易に想像される。
〔中略〕
 一方、勤労者世代では、春闘での賃上げが広がりを見せていることもあり、政策当局者にも、消費意欲の高まりを期待する声が多い。
 2014年は、労働者数の増加と賃金上昇の両方を加味した「総雇用者報酬」は前年比1.8%増えたものの、物価高には追い付かず、実質では1.0%の減少だった。
 今年は消費税に伴う物価上昇分が一巡するほか、原油安により消費者物価上昇率も年前半に前年比ゼロ%近辺で推移すると予想されている。
 政府部内には、春闘賃上げやボーナス、手当の増加により、総雇用者報酬が3%近く上昇すれば、増税で上昇した物価に対して国民の総所得が追い付くだろうとの見方もある。
 しかし、雇用者数は労働人口が減少傾向にある問題もあり、これ以上の増加は難しく、3%の総雇用者報酬の増加の実現は不透明だとの声が多い。
 連合によると、今年の春闘の賃上げ率は、3月25日までの連合の集計で、ベースアップが0.6%弱と、去年の0.4%を上回っている。
 非正規雇用についても、正社員化への動きもあり、賃金底上げの期待がある。勤労者世帯の実質賃金の改善が、消費のけん引役となれば、安倍晋三政権の目指す経済好循環への道が見えてきそうだ。 
 とはいえ、ニッセイ基礎研究所・経済調査室長・斉藤太郎氏は「消費税率引き上げによって、個人消費の水準は大きく落ち込んでおり、駆け込み需要が本格化する前の水準に戻るのは、16年までずれ込みそうだ」とみている。 (中川泉 編集:田巻一彦)”

消費停滞に焦る政権関係者は、政策リテラシーが低過ぎる。
このような愚か者に税金から給料を払うなどとんもでもない話だ。

消費税引き上げの税収は、全てを経済成長に直結する政策に投入すべきであり、
労働力不足分野での給付付き税額控除と、育児・教育バウチャーに全額使えば良かったのだ。
確実に消費が増え、今のような経済低迷には陥らずに済んだであろう。

また、年金の目減りに苦しむ高齢層には、非営利セクターや観光関連の就業を促進すべきである。
高齢層の就労が医療費を減少させることは研究で実証されており、一石二鳥である。
そのための予算は、カナダ並みのクローバック制の適用、マイナンバーによる資産捕捉などにより
富裕高齢層にバラ撒いている巨額の公費を全額カットすることで容易に調達できる。


家計の6割が消費増税で「支出抑制」、多くが現在も継続=日銀調査(reuters)
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPKBN0MT0BI20150402
日銀が2日発表した3月の「生活意識に関するアンケート調査」(第61回)によると、昨年4月の消費税率引き上げ後に6割の家計が支出を控え、そのうち75%が現在も支出抑制を続けていることがわかった。
 消費税率引き上げの家計への影響調査は、消費増税から1年程度が経過したタイミングで、特別に初めて実施した。
 それによると、消費増税後の支出の変化に対する問いについて「支出を控えた」「支出をやや控えた」との回答が合計で59.8%と全体の6割に達した。このうち、影響の長さでは75.3%が「現在(冬)でもなお支出を控えている」と回答。多くの家計で、増税後の支出抑制が続いている実態が浮かび上がる。
 増税後に支出を控えた理由(複数回答可)では「物やサービスの値段が上がったから」が82.1%に達し、次いで「収入が減ったから」が36.4%。「消費税率引き上げ前に前倒しで支出したから」との回答は13.4%だった。

 <景況感は改善、物価予想はほぼ横ばい>
 また、定例で調査している景況感については、1年前と比べて「良くなった」との回答が増加し、「悪くなった」との回答が減少したため、景況感DIはマイナス24.6と4四半期ぶりに改善した。前回12月調査はマイナス32.9だった。
 1年前と比べて収入が「増えた」との回答から「減った」との回答を引いた収入DIはマイナス28.1に改善。調査開始以降で最もマイナス幅が縮小した。
 日銀が家計のインフレ予想を見るうえで重視している物価観に関しては、1年後に物価が「上がる」との回答が81.6%となり、前回調査の80.8%から増加。一方、5年後に「上がる」との回答は83.9%で、前回の84.3%から小幅減少した。
〔中略〕
 調査は2月6日から3月5日にかけて、20歳以上の個人4000人を対象に実施。有効回答者は55.6%の2223人だった。 (伊藤純夫 編集:田中志保)”

こちらのロイター調査も容易に予想できる結果であり、
この程度も予想できないのならエコノミストや評論家は廃業すべきであろう。

GDPの6割を占める消費を増進させ成長率を改善させるには、
国内消費増への貢献度の低い大企業や高所得・資産家層にカネを与えるのではなく、
消費性向が高い低所得層と育児世帯の実質所得を増加させ、
明らかに男性よりも低い女性就労率を強制的に引き上げることが最優先である。

つまり、安倍政権の経済政策はどうしようもないほど間違っている。
中低所得層からなけなしのカネを取り上げ、豊かな層に移転しているのだ。


家計の金融資産1694兆円、最高更新 14年12月末(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC18H03_Y5A310C1EAF000/
”日銀が18日発表した2014年10~12月期の資金循環統計(速報)によると、12月末の家計の金融資産残高は1694兆円と、過去最高を更新した。1年前に比べ3.0%増え、前年同期末比の増加は17四半期連続となった。投資信託などへの新規の資金流入のほか、円安・株高による保有株式や投信の価格上昇が残高を押し上げた。
 内訳をみると、株式・出資金が同3.9%増の162兆円、投資信託が同17.1%増の92兆円だった。現金・預金は同1.9%増えて過去最高の890兆円と過半を占め、個人が自由に引き出せる預金や現金を確保する動きも引き続き根強いことが明らかになった。
 家計が保有する外貨建て資産は46兆2千億円と、家計が保有する金融資産全体の2.7%を占めた。外貨建ての割合は08年6月末以来の大きさとなった。〔以下略〕”

その証拠に、家計金融資産は成長率を大きく上回る速度で増加している。
我が国の経済がゼロ成長である現実から見て、
高所得層や資産家ばかりが豊かになり、日本全体が逆に貧しくなっているのは明白である。

株式や投信の価格上昇が我が国の成長率に貢献していないことは、
今まさに日本で起きている現実が何よりも雄弁に証明している。
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