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『週刊エコノミスト』4月21日号-日本経済の潜在成長率は0.3%程度、財政出動も金融緩和もほぼ無意味

2015-04-17 | 注目投資対象・株価の推移
今週の『週刊エコノミスト』のメイン特集は予想より良かった。
特にP36、熊野英生氏による「時代とともに変わる注目指標」は流石の一言。
昨今の製造業の収益が円安依存になっているのがひと目で分かる。
(お蔭で鉱工業生産との乖離が拡大して不健全な状態になっている)

P33の河野龍太郎氏へのインタビューも非常に良い。
財政出動や異次元緩和のようなインチキで成長率が改善する筈がないのは明白だ。

ただ河野氏が生産性向上にばかり拘っているのは賢明ではない。
資本投入と労働投入がともに激減しているのだから、
大胆な対内投資優遇と省エネ促進策でカネを死蔵する企業に投資させ、
配偶者控除と退職金控除を原則廃止して育児世帯へのバウチャーや給付付き税額控除に移転して
強力に就労を促進する積極的労働市場政策を断行すれば成長率が改善するのは明白だ。

一方、全く無意味だったのが片岡剛士氏の論考で、
読む前から結論が推測できるソ連赤軍の政治将校のような論調だった。
そもそも内容が「相場を見抜く経済指標」の特集に相応しくなく、
熊野英生氏の質の高い分析とは雲泥の違いである。(各自比較されたい)
潜在成長率を客観的に分析している河野龍太郎氏にも遠く及ばない。

スウェーデンの半分程度の消費税引き上げで日本がマイナス成長に陥るのは、
いかにアベノミクスのレヴェルが低いかの証左でしかない。
重税のスウェーデンに成長率で大敗している現実を認識すべきであろう。
(おまけに安倍政権は現役世代への再分配が貧弱で内需に結びついていない点でもスウェーデンに惨敗)

『週刊エコノミスト』2015年 4/21号


最後のイエメン問題のレポートは非常に良かった。
この地域の歴史的経緯がよく分かる。
スエズ運河の東の出口に位置する要地でもあり、
関係企業は必読と言えよう。

    ◇     ◇     ◇     ◇

今週の『週刊東洋経済』の金融特集は基本的に内輪ネタだった。
城南信金は、もっと鋭い突っ込みができた筈ではないだろうか。

個人的に最も評価できるのはP88「漂流・黒田日銀 異次元緩和撤退は不可避」である。
あれだけ大口叩いた黒田総裁は、みっともないことに白川前総裁と似たようなコースに進みつつある。
己の力を弁えずに政権と癒着して身の程知らずな暴挙に出るからこうなるのだ。

前から指摘しているように、最も愚かなFRB議長と言われるアーサー・バーンズの二の舞である。
経済史の教科書に悲惨な失敗例として記録される以外に道は残っていない。

『週刊東洋経済』2015年 4/18号


他に評価したいのはP22「さらば長時間労働」である。
平日の労働時間の増加や、長時間労働を評価する企業文化を明らかにし、
労働環境の評価が高いことでも知られるNPOフローレンス等を挙げて
長時間労働の抑制に成功した事例を紹介している良記事だ。

ただ、処方箋としては足りない。企業はインセンティブに敏感なので、
1人当たり残業時間の長さで法人税を変更すれば済む話だ。
経営陣は顔色を変えて長時間労働削減に熱心になるだろう。

尤も、経済メカニズムに無知で財界に媚びる安倍政権は
働かせ放題プランを導入して寧ろ生産性を下げようとしている。
政権の次元の低さがここでも重大な問題となる。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊ダイヤモンド』のがん特集はかなり良い。

メイン特集はP32のデータ集が有益だが、それ以上に
P60の「がんとおカネの教科書」が素晴らしい。
今年からの高額療養費制度改正も整理されている。

更に、がん治療費が想像以上に安く済むこと、
それでも預貯金を取り崩す人が多いこと、
民間がん保険への不満がかなり強いこと、どれも非常に重要な情報だ。
(保険会社がCMでバラ色のイメージをバラ撒いているから自業自得であるが)

…個人的にはがん保険は共済と所得補償の組み合わせが
優位と考えているので、いずれ特集をお願いしたい。

『週刊ダイヤモンド』2015年 4/18号


スクープ「大手不動産が不正行為か」もお手柄だ。
(住友不だけでなく三井のリハウスも槍玉に挙がっている)
この問題は「延焼」しそうな気配が濃厚である。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週もダイヤモンドに注目、スマホが企業にとって垂涎の「個人情報垂れ流し」であるのは有名な話。

▽ 他には画期的な省エネ塗料を開発した関西ペイントの記事にも期待している

『週刊ダイヤモンド』2015年 4/25号


▽ 東洋経済の表紙は高値への未練が強く滲み出ており、矢張り売りサインと判断できる

『週刊東洋経済』2015年 4/25号


▽ 投資関連では東洋経済よりエコノミストが勝る、というのが通例である(リテラシーは必要だが)

『週刊エコノミスト』2015年 4/28号

今の焦点は矢張りGPIFの「弾切れ」だろう。三共済年金の資金力は左程でもないから。
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