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支持されない安倍政権の安全保障政策、自衛隊を信頼する真因は「中国の脅威」- 経済的劣位も重要

2015-04-06 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
各媒体の世論調査が興味深い傾向を示している。
集団的自衛権をはじめとする安倍内閣の安全保障政策への支持率は低く
概ね半数を割り込んでいるが、自衛隊に対する世論は対照的だ。

自衛隊への信頼度は安倍内閣支持率より高く、印象も良い。「自衛隊を強化すべき」も過去最高だ。
つまり安倍内閣の安全保障政策より自衛隊への支持率の方が歴然と高いのである。

人よりコンクリートにカネを使い、土建バラ撒きで寧ろ復興を妨害している安倍内閣より
震災や災害で泥をかぶり必死で生存者やご遺体を探す自衛隊の方が
国民に支持されているのは極めて当然である。

ただ、そうした「支持率格差」が生じるのは他に重大な理由がある。
戦後の日本が、歴史上初めて安全保障上の脅威を実感しているからだ。
それは言う迄もなく、中国の軍事力強化と膨張主義である。

そうした現実を理解できず、世論を読めていない保守と安倍政権支持派は
安倍内閣への支持率の主因が「他に人がいない」「民主よりはまし」である事実も見えておらず、
現下の日本の安全保障問題についても誤った認識を持っている。

現代における安全保障は国力すなわち経済力に裏付けられたものであり、
自衛隊が最前線で何とか優位を保っていられるのも過去の経済成長の「遺産」である。
無意味な異次元緩和でゼロ成長、若者は急減して財政悪化は依然として変わらない日本が、
減速しつつあるとはいえ5~6%成長で10倍の人口を擁する中国に対し、
互角以上に相対していくことには重大な困難がある。

しかも脆弱極まりない原発銀座を抱え、狭い国土に人口が密集している日本が、
ミサイル戦になったら致命的に弱いという事実も益々明らかになってきている。

▽ 浅薄な保守は、中国の安価で膨大な数のミサイル配備がいかに日本にとって脅威かも充分に理解していない

『米軍と人民解放軍 米国防総省の対中戦略』(布施哲,講談社)


浅薄な保守の自滅は国益にかなうものであるが、
言う迄もなくそれだけでは日本の安全保障は「ましになる程度」である。

「昨年の衆院選は、ただ権力維持だけが目的の醜悪でかつ
 巨額の税金を無駄にした選挙だったが、たった一つだけ収穫があった。
 それは「次世代の党」の惨敗である」

「そして2015年に入ってから著名な保守論者が次々と顰蹙発言や問題行動で
 事実上「自爆」行為に出て自ら墓穴を掘る事態になっている」

「日本社会がかつてほど感情的でなく深刻な危機にはまだ陥っていないため、
 そして太平洋戦争の惨禍により原理主義的ナショナリズムの危険性を学んだため、
 単細胞なナショナリズムもひとりよがりな保守論者も見事に失速している」

「これは彼らの本性を国民が見抜いたためだけではない。
 中国韓国とも国内問題への対処に忙しく、
 日本に対する攻撃・挑発行動の余裕がなくなってきたからでもある」

「当ウェブログは日本の「自称保守」が
 中韓のナショナリズムと共存共栄関係にあると指摘したが、
 概ね的確であったと言えよう」

「「保守自滅」の元祖と言えば、みんなの党を「ぶっ壊した」渡辺喜美氏だろう。
 パトロンに背かれて失墜の原因となったのが、このとち狂った「保守宣言」である」

「「殉愛」騒動で百田氏の独善性と事実無視の姿勢が明らかになっただけに、
 単純にファンになってしまった人々の「目を覚ます」効果はあったと言えよう。
 裁判の結果、更に「不都合な真実」が明らかになって失墜に拍車がかかるであろう」

安全保障においては保守もリベラルも根本的に当てにならず、
他の分野でもジャミングと内ゲバばかり展開している情けない状況だ。

 ↓ 参考

2015年は「保守自滅」、渡辺喜美・百田尚樹・曽野綾子みな炎上 - 中韓が静かになると失速しかない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/939ea08753fef63361ba7185d73a1aec

フランスの英雄は国歌を歌わず、ドイツの教員は国歌1番を歌うとクビ - 日本の保守論者が語らない現実
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/df28d76a69d85e4c61fe550c985c0b39

首相の靖国参拝への賛意は「ゆとり教育」の悪影響、単なる無知と敵愾心 - まず近代史の理解が足りない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/048d33b0c60b40732c69e1cd59104e77‎

▽ 盲目的な愛国心を掲げてメディアを攻撃する粗暴な輩こそ、日本を破滅に追い込んだ

『太平洋戦争と新聞』(前坂俊之,講談社)


中国が日本の安保政策・自衛隊観を変えた “最大の不安要素”を海外識者が分析(NewSphere)
http://newsphere.jp/politics/20150310-3/
”内閣府は7日、3年ぶりに行った「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」の結果を発表した。調査は、1969年から行われている。今回は、1月8日から18日にかけ、無作為に選んだ3000人に対して実施され、56%にあたる1680人から回答を得た。
◆自衛隊の活動と中国軍の近代化
 調査によると、自衛隊について、回答した人のうち59%が現在の状態が適切だと答えた。3年前は60%、これまでで最も高い数字を示したのは、2006年の66%だ。約30%が自衛隊を強化すべきと答えたが、前回の調査では、25%だった。2009年と比較すると約2倍の数字だ。
 日本の防衛に関して、何に関心を持っているか複数回答で尋ねた質問では、「中国の軍事力の近代化や海洋における活動」と答えた人が60.5%と前回の46%から増加した。一方、北朝鮮については、65%から、53%に減少。国際的なテロ活動については、30%から43%に増加した。また、日米の防衛協力への支持は、83%と最高を示した。
◆自国防衛を模索する日本
 中国との領土問題への対応、東日本大震災での活動などで、より多くの日本国民が自衛隊に感謝している。しかし、これは、安倍晋三首相が目標としているより大きく強い軍隊を、人々が望んでいるという意味ではない、とウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は報じている。
〔中略〕
 米外交問題評議会(CFR)日本担当非常勤シニア・フェローのシーラ・A・スミス氏は、「中国が台頭してきたからには考え方を改めるべき」と日本は考えており、「戦後初めて、日本は自分たちが前線に身を置いていることに気づいた。そして初めて、自立した防衛計画とはどんなものなのか?と自身に問わなければいけなくなっている」と日本が防衛について模索中であると指摘している(NYT)。
◆中国、経済的優位を背景に軍事力強化
 インターナショナル・ビジネス・タイムズ紙(IBT)は、中国との関係について、日本人がますます過敏になっている、と報じた。中国の軍を使っての高圧的な姿勢は、継続しさらに強まり、地域の地政学上中国を重要な国としているが、日本にとっては、最大の不安要素だ、と同紙は指摘した。
 中谷元防衛大臣は6日、「中国では広範で急速な軍事力の強化が推進されているものと認識している。また、依然として不透明な点が多く、具体的な情報開示を通じて透明性の向上を図るよう、国際社会全体で中国に働きかけていくことが必要だ」と述べた。
〔中略〕
 ウッドロー・ウィルソンセンターアジアプログラム北東アジア専門アソシエイトの後藤志保子氏は、「最近東アジアでは、緊張が高まっている。北朝鮮の脅威や中国の急激な軍国主義化によるものだ」と指摘し、「過去3年間で、防衛環境が変わった」(IBT)と日本を取り巻く状況について述べた。
 NYTは、中国による周辺海域を掌握しようと強硬な動きが、日本を平和主義という殻から外へ押し出した、と報じる。
◆軍備競争
 中国は2012年、空母を配備したが、日本が技術だけでなく、大型戦艦での経験においても、中国の10年先をいっている、とのアナリストの分析をNYTは取り上げた。
 ただし、現状は中国に有利だ、と同紙はみている。いまだに高い経済成長が、軍事費のさらなる増大を可能にしているからだ。日本の軍事予算は、2015年予算で2.8%増の4兆9800億円。中国政府の5日の発表では、中国の国防費は10.1%増の1450億ドル(約17兆6500億円)だった。
 復旦大学国際問題研究院の沈丁立(シェン・ディンリ)副院長は、「アメリカと日本が(軍事費を)増強すればするだけ、中国も増強する」(NYT)と競争に先が見えないことを示唆した。”

矢張り情けないことに、海外メディアの方が
日本の安全保障政策における世論と安倍政権との乖離を鋭く捉えている。
人口動態と財政の問題を書いていないのは欠点だが、それでも御用メディアより上である。


集団的自衛権、賛成3割・反対5割 本社世論調査 内閣「支持」51%、「不支持」33%で横ばい(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS22H2H_S5A320C1MM8000/
日本経済新聞社とテレビ東京による20~22日の世論調査で、集団的自衛権の行使を可能にするための関連法案について、今国会での成立に「賛成」は31%にとどまり「反対」の51%を下回った。政府・与党は5月に関連法案を提出して今国会での成立を図るが、依然として慎重論が根強い。自衛隊の海外での活動の拡大に関しては賛否が拮抗した。
 内閣支持率は2月の前回調査から1ポイント上昇の51%、不支持率は1ポイント低…〔以下略〕”

集団的自衛権については安倍政権は信用されておらず、有権者は海外派遣にも慎重である。
以前の調査では、集団的自衛権を認めても脅威は低下しないとの回答が多数派であり、
安倍内閣よりもこの国民の認識の方が遥かに賢いと言えよう。


リベラル論客 TVで干されたのではなくこれまでの偏重が異常(SAPIO)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150404-00000001-pseven-soci
”「I am not ABE」のフリップを番組中に登場させた元経産官僚・古賀茂明氏の「報道ステーション」(テレビ朝日系)降板に象徴されるように、テレビから安倍政権批判が消えたと言われるが、では現在の状況は政権支持派にとってプラスになっているのか。答えは否だと、フジテレビの番組審議委員を務めるなど、テレビ報道のあり方に詳しい麗澤大学教授の八木秀次氏は言う。いまのテレビが孕むより深刻な問題を八木氏が分析する。
 * * *
 昨年の総選挙前、自民党がNHKと在京民放キー局に対し、総選挙の報道にあたって「公平中立、公正の確保」を「お願い」する文書を送り、後日、そのことが明らかになると、政治からテレビに対する「介入」「圧力」だと批判された。だが、その批判は的外れだ。
 テレビ局が守るべき規律を定めた放送法は、その第1条で「放送の不偏不党」や「健全な民主主義の発達に資するようにすること」を求め、そのため第4条で「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と定めている。
〔中略〕
 なぜそうした要望を出す必要があったかと言えば、これまでテレビ局がこの原則を無視し続けてきたからだ。
 古くは「椿事件」が有名だ。1993年の総選挙で非自民の細川連立政権が誕生したが、その後、民間放送連盟の会合で、テレビ朝日取締役報道局長(当時)の椿貞良氏が「自民党政権の存続を絶対に阻止し、反自民の連立政権を成立させる手助けとなる報道をする方針を局内でまとめた」という趣旨の発言をしたのである(*注)。
【*注/椿氏は取締役報道局長を解任され、郵政省(現総務省)が放送法違反による放送免許取り消しを検討したが、最終的には行政指導にとどまった】
 実際、「ニュースステーション」の久米宏氏や「サンデープロジェクト」(いずれもテレビ朝日系)の田原総一朗氏が政権交代を積極的に支持し、そのため細川連立政権は「田原・久米政権」と呼ばれた。
 民主党政権が誕生することになった2009年の総選挙の際も、自民党のベテランに挑戦する民主党の「小沢ガールズ」が好意的に取り上げられた。
〔中略〕
 これらのテレビは、明らかに放送法違反だった。少なくともその精神を踏みにじっている。その構造は、実はいまも続いている。その典型がニュース番組のコメンテーターで、「報道ステーション」(テレビ朝日系)、「ニュース23」、「報道特集」、「サンデーモーニング」(いずれもTBS系)などは、出演するコメンテーターがリベラル、左翼系だけということが多い。
 逆に、私のような保守系が単独で出演することはほとんどなく、多くはリベラル側のカウンターパートとしての出演である。最近、リベラル側の論客が次々干されていると言われているが、むしろリベラル側の意見だけが偏重されてきたこれまでが異常だったのだ。  
 その意味で、自民党の「お願い」は「介入」でも「圧力」でもなく、当たり前の意見にすぎない。昨年11月18日、安倍首相はTBSの生放送に出演し、景気回復について否定的な街頭インタビューが多く流されたことに「選んでますね」「おかしい」と発言したことも批判されているが、これもあくまで首相は、事実に基づく公平を求めたに過ぎない。
 実はその背後には、一般国民の同様の声がある。以前は「物言わぬ多数」だった一般国民が、インターネット、とりわけSNSの普及によって自らの意見を表明する手段を獲得し、メディアを批判するようになった。メディアが一番恐れているのはそうした一般国民の声であり、それと対峙する勇気はない。だから、メディアに「お願い」する政権を批判しているにすぎない。”

こちらは安全保障政策とは別ながら暢気な保守の見解。
国民が保守を支持していると盛大に勘違いしている。
(序でに言えば「少なくとも」の用法が日本語として誤りだ)

政治では次世代の党が惨敗、自民党は民主の失政のお蔭で政権に戻れた現実、
メディアにおいては当人が審議委員を務めるフジの視聴率の惨憺たる低迷と、
一般国民の支持を錯覚している以外にもかなり深刻な誤認が多い。

「事実に基づく公平」を求めるならフジが異常に安倍政権寄りの報道を行ってきた点や
(例えば、安倍首相のフジ出演時間や政権側の主張と批判との報道バランスを見れば明白)
次元の低いアベノミクスによって日本がマイナス成長、ゼロ成長に陥って
大企業の収益と労働者の実質賃金の格差が「ワニの口」状態になっている惨状も取り上げるべきだろう。
それができないのは、政治バイアスが強く公平性を判断できなくなっているからと判断されるしかあるまい。
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