企業収益の回復とともに所謂「リベンジ転職」も増えている。
新卒採用を絞っていた時期に氾濫していた若者バッシングは
今やどこかへ消散してしまった。
あのような無責任な言説が企業の責任転嫁を正当化し、
採用側に媚びてその利害を代弁するものであることは
事実が証明したと言って良いだろう。
勘の良い人なら既に分かっているだろうが、
若者バッシングがブラック企業を肥え太らせたのである。
今のブラック企業批判も問題を解決せず、次の新しい問題を生む。
次は当ウェブログが予言したように、
キャリアアップと起業を無定見に賞賛する言説が流行るだろう。
「リベンジ転職」が成功すればブラック企業批判も下火になる。
我が国の低成長とセーフティネットの脆弱さは依然として変わっていない。
安定収入・安定職にありついた者は他人に無関心で
社会的弱者や運悪く失職した者を無視して事実上彼らを見殺しにしている。
キャリアアップと起業への無定見な賞賛がピークに達した7年ほど前、
景況もピークアウトを迎え暗転へと向かった。
…結局我々は何も学習していておらず、
多くの者はこれからも何一つ学習することはないのだ。
メディアの論調や世論を見ていると「目先しか見ていない」ことが分かる。
成長率が恒常的に3%を超えていれば中小零細企業や低競争力企業にも
それなりの恩恵が及び豊かさを実感できたであろう。
ブラック企業にしがみつく必要性は大幅に低下されたであろう。
悪質企業は人不足・採用難で市場から淘汰されたであろう。
しかし人口動態と高齢者三経費の負担大幅増によって
そうした高い成長率を取り戻すことは極めて難しくなった。
だからこそ日本は北欧のように税負担を高めて福祉セクターに所得移転し、
積極的労働市場政策で雇用を増やすべきだったのである。
環境税やコージェネ推進で省エネ分野を成長させるべきだったのだ。
それでこそ労働市場の需給がタイトになり、賃金が上昇するのである。
▽ 重税により公共部門の雇用を増やしたスウェーデンの方が日本より成長率が高い
程度の低い言説の粗製濫造と消滅のサイクルが続く中で、
日本経済の真の問題である人口動態劣化と成長率低下は容赦なく進行している。
「あれほど内定拘束の厳しかったバブル期に、厳しい若者バッシングがあっただろうか?
バブル期の方が遥かに若者が優秀であったのなら、何故その後に成長率が低下したのか」
「そもそも世代によって極端に質が上下する筈はなく、
もし若年層の質が本当に下がったとすれば
間違いなく彼らを育てた上の世代の責任ではないのか」
「少し前の景況悪化期に民間企業が採用を絞っていた時には、
これから働く若者をバッシングする言説が氾濫していた」
「定年の近い高齢層(特に公務員)が賃金水準や厚待遇に固執し
中小企業に行きたがらないのと若者の行動様式は同じであろう。
また、若い大卒層が大企業を目指すのは日本の特殊かつ差別的な待遇のせいで、
企業規模によって生涯賃金が左右されているのだから当然である」
「若者バッシングは所詮、採用を絞らなければならない時期の企業側の論理に過ぎず、
業績悪化した企業の自己正当化・責任転嫁である」
「収益が悪化しても役員報酬が減額されないふざけた企業経営を見れば、
彼らを信用できないのは明白である」
特に雇用分野で既得権を握っており優位にある連中の話は
殆ど自己利益を図る薄汚いポジショントークである。
頭から爪先まで打算だらけの彼らを、絶対に信用してはならない。
↓ 参考
若者バッシングが減った「大人の事情」- 内定辞退続出に慌てふためく企業、採用絞り込みによる自業自得
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a98e28c2240d87e88fae719ea3b117f3
小学校レベルの算数ができない大人の方が、分数のできない学生より深刻 - 教授と職員の雇用が問題の根源
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/36d01d0a1821489cb81687115c191e4e
▽ 日本の高齢化・成長率低下とともに、失業率は一貫して上昇している
▽ 企業の採用は典型的な機会主義で、景況と採用人数によって言うことが180度ひっくりかえる
大卒者の31%が3年以内に離職、業種別の差も浮き彫りに…厚労省(リセマム)
http://resemom.jp/article/2013/10/31/15810.html
我が国では終身雇用などごく一部の層にしか存在しなかったこと、
高度経済成長期も現代も若年層の離職率は大して変わっていないことは、
昔から言われてきた有名な事実である。
労働環境が業種によって全く違うのも公然の秘密だ。
「若者に忍耐力がなくなった」「すぐやめる」などと言っているのは、
魅力に欠けた斜陽産業の職場で地位に胡座をかき、
時代に適応できなくなった老害の言い草に過ぎない。
10年春の新卒、3年以内に3割離職 受け入れ環境が課題(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1504F_V11C13A1CC1000/
この日経報道のように「リベンジ転職」は順当に進んでいる。
実際には「受け入れ環境が課題」なのでは全くなく、
元々が不本意就職なのだから長居するつもりがないのは当然である。
言う迄もなく、優秀な中小零細企業ならば人材はとどまる。
収益性が悪かったり、技術力に欠けていたり、経営陣が利己的で社員を搾取していたり、
成長性が低かったり、雇用環境への配慮が乏しかったり、高い離職率には理由があるのだ。
ともあれ平均を見れば日本企業の規模による賃金格差は非常に大きいため、
(日本によくある親会社と子会社との待遇差別が典型例)
労働者が所得を高めようと転職するのは極めて合理的であり、何ら不思議はない。
▽ この「企業規模による賃金格差」は先進国として異常
限られた安定収入の職を争う不毛な争いなどやめて、
所得税の累進度を上げて積極的労働市場政策の財源とすれば良かろう。
有能な労働者が起業や転職の道を選ぶため確実に労働市場が活性化する。
新卒採用を絞っていた時期に氾濫していた若者バッシングは
今やどこかへ消散してしまった。
あのような無責任な言説が企業の責任転嫁を正当化し、
採用側に媚びてその利害を代弁するものであることは
事実が証明したと言って良いだろう。
勘の良い人なら既に分かっているだろうが、
若者バッシングがブラック企業を肥え太らせたのである。
今のブラック企業批判も問題を解決せず、次の新しい問題を生む。
次は当ウェブログが予言したように、
キャリアアップと起業を無定見に賞賛する言説が流行るだろう。
「リベンジ転職」が成功すればブラック企業批判も下火になる。
我が国の低成長とセーフティネットの脆弱さは依然として変わっていない。
安定収入・安定職にありついた者は他人に無関心で
社会的弱者や運悪く失職した者を無視して事実上彼らを見殺しにしている。
キャリアアップと起業への無定見な賞賛がピークに達した7年ほど前、
景況もピークアウトを迎え暗転へと向かった。
…結局我々は何も学習していておらず、
多くの者はこれからも何一つ学習することはないのだ。
メディアの論調や世論を見ていると「目先しか見ていない」ことが分かる。
成長率が恒常的に3%を超えていれば中小零細企業や低競争力企業にも
それなりの恩恵が及び豊かさを実感できたであろう。
ブラック企業にしがみつく必要性は大幅に低下されたであろう。
悪質企業は人不足・採用難で市場から淘汰されたであろう。
しかし人口動態と高齢者三経費の負担大幅増によって
そうした高い成長率を取り戻すことは極めて難しくなった。
だからこそ日本は北欧のように税負担を高めて福祉セクターに所得移転し、
積極的労働市場政策で雇用を増やすべきだったのである。
環境税やコージェネ推進で省エネ分野を成長させるべきだったのだ。
それでこそ労働市場の需給がタイトになり、賃金が上昇するのである。
▽ 重税により公共部門の雇用を増やしたスウェーデンの方が日本より成長率が高い
![]() | 『スウェーデン・パラドックス』(日本経済新聞出版社) |
程度の低い言説の粗製濫造と消滅のサイクルが続く中で、
日本経済の真の問題である人口動態劣化と成長率低下は容赦なく進行している。
「あれほど内定拘束の厳しかったバブル期に、厳しい若者バッシングがあっただろうか?
バブル期の方が遥かに若者が優秀であったのなら、何故その後に成長率が低下したのか」
「そもそも世代によって極端に質が上下する筈はなく、
もし若年層の質が本当に下がったとすれば
間違いなく彼らを育てた上の世代の責任ではないのか」
「少し前の景況悪化期に民間企業が採用を絞っていた時には、
これから働く若者をバッシングする言説が氾濫していた」
「定年の近い高齢層(特に公務員)が賃金水準や厚待遇に固執し
中小企業に行きたがらないのと若者の行動様式は同じであろう。
また、若い大卒層が大企業を目指すのは日本の特殊かつ差別的な待遇のせいで、
企業規模によって生涯賃金が左右されているのだから当然である」
「若者バッシングは所詮、採用を絞らなければならない時期の企業側の論理に過ぎず、
業績悪化した企業の自己正当化・責任転嫁である」
「収益が悪化しても役員報酬が減額されないふざけた企業経営を見れば、
彼らを信用できないのは明白である」
特に雇用分野で既得権を握っており優位にある連中の話は
殆ど自己利益を図る薄汚いポジショントークである。
頭から爪先まで打算だらけの彼らを、絶対に信用してはならない。
↓ 参考
若者バッシングが減った「大人の事情」- 内定辞退続出に慌てふためく企業、採用絞り込みによる自業自得
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a98e28c2240d87e88fae719ea3b117f3
小学校レベルの算数ができない大人の方が、分数のできない学生より深刻 - 教授と職員の雇用が問題の根源
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/36d01d0a1821489cb81687115c191e4e
▽ 日本の高齢化・成長率低下とともに、失業率は一貫して上昇している
![]() | 『世代間格差:人口減少社会を問いなおす』(加藤久和,筑摩書房) |
▽ 企業の採用は典型的な機会主義で、景況と採用人数によって言うことが180度ひっくりかえる
![]() | 『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 知的現場主義の就職活動』(沢田健太,ソフトバンククリエイティブ) |
大卒者の31%が3年以内に離職、業種別の差も浮き彫りに…厚労省(リセマム)
http://resemom.jp/article/2013/10/31/15810.html
”厚生労働省は10月29日、平成22年3月に卒業した新規学卒者の離職状況を公表した。入社3年以内に仕事を辞めた割合は、大卒者が31.0%、高卒者が39.2%で、いずれも前年度より増加していた。業種別では、宿泊業や飲食サービス業で離職率が高かった。
事業所がハローワークに提出する雇用保険の加入届から就職者数を出し、離職日から離職者数と離職率を算出している。
平成22年3月に大学を卒業して就職した36万5,500人のうち、3年以内に退職したのは11万3,390人。離職率は、前年度より2.2%増の31.0%。
〔中略〕
このほかの新規学卒者の3年以内離職率は、短大等卒者が39.9%(前年度比0.6%増)、高卒者が39.2%(前年度比3.5%増)、中卒者が62.1%(前年度比2.1%減)。中卒者以外はすべて、前年度より離職率が上昇していた。
3年以内に離職した大卒者を業種別にみてみると、もっとも離職率が高いのは宿泊業・飲食サービス業で51.0%。教育・学習支援業48.9%、生活関連サービス業・娯楽業45.4%なども高かった。一方、もっとも離職率が低い業種は、電気やガスなどのライフライン産業で8.8%、次いで鉱業・採石業 13.6%、製造業17.6%。業種別の離職率の推移に大きな変化はなく、業種によって若者の離職状況に大きな差がある実態も浮き彫りになった。”
我が国では終身雇用などごく一部の層にしか存在しなかったこと、
高度経済成長期も現代も若年層の離職率は大して変わっていないことは、
昔から言われてきた有名な事実である。
労働環境が業種によって全く違うのも公然の秘密だ。
「若者に忍耐力がなくなった」「すぐやめる」などと言っているのは、
魅力に欠けた斜陽産業の職場で地位に胡座をかき、
時代に適応できなくなった老害の言い草に過ぎない。
10年春の新卒、3年以内に3割離職 受け入れ環境が課題(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1504F_V11C13A1CC1000/
”大学生の就職内定率は上昇しているものの、せっかく入社しても職場に定着できず、短期間で離職するケースも少なくない。厚生労働省によると、2010年春に新卒で就職した人のうち、3年以内に辞めた割合は31%に達し、前年度より2.2ポイント高かった。
従業員5人未満の企業の離職率は61%。リーマン・ショック後の就職難で希望通りの就職ができなかった人が多かった…〔以下略〕”
この日経報道のように「リベンジ転職」は順当に進んでいる。
実際には「受け入れ環境が課題」なのでは全くなく、
元々が不本意就職なのだから長居するつもりがないのは当然である。
言う迄もなく、優秀な中小零細企業ならば人材はとどまる。
収益性が悪かったり、技術力に欠けていたり、経営陣が利己的で社員を搾取していたり、
成長性が低かったり、雇用環境への配慮が乏しかったり、高い離職率には理由があるのだ。
ともあれ平均を見れば日本企業の規模による賃金格差は非常に大きいため、
(日本によくある親会社と子会社との待遇差別が典型例)
労働者が所得を高めようと転職するのは極めて合理的であり、何ら不思議はない。
▽ この「企業規模による賃金格差」は先進国として異常
![]() | 『日本の景気は賃金が決める』(吉本佳生,講談社) |
限られた安定収入の職を争う不毛な争いなどやめて、
所得税の累進度を上げて積極的労働市場政策の財源とすれば良かろう。
有能な労働者が起業や転職の道を選ぶため確実に労働市場が活性化する。