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「東南アジアで現地市場が拡大」「円高修正でも海外重視」- 経済効果ならショボいTPPよりRCEPだ

2013-07-10 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
我が国では成長政策に関する馬鹿馬鹿しい議論が多い。
「TPPは成長戦略」という妄言がその最たるものだ。
研究者ですら数字を見ずに寝言を言っている連中が多く、
韓国の対米FTAの分析研究すらしていない怠惰には呆れる他ない。

経済的合理性で言えば親日的なアセアンを含んでいる上に、
人口規模・経済規模・若い人口動態の三点において
しょうもないTPPよりもRCEPの方が遥かに優っているのは明白である。
能天気な賛成派はアメリカの意を受けて動く走狗と言わざるを得ない。

RCEPならTPPと違って「毒薬」に近い危険な条項を警戒する必要がなく、
日中韓FTAよりも中国の影響力を大幅に低下させることができる。

RCEPを意図的に優先することによって他国を焦らせ、
TPPにおいて交渉力を高め日本に有利な条件を引き出すべきである。

当ウェブログは以下のように、
TPPが悲しくなるほど貧相な効果しか持たないことを明確に指摘した。

○TPPの経済効果は同一期間の省エネ関連市場の成長規模とさほど変わらない
 (しかもTPPは多額の農業補助金の積み増しが必要になる)
○TPPの経済効果は再生可能エネルギー市場の成長にさえ負ける可能性がある
○TPPの経済効果は女性就業率向上の経済効果に大きく劣る
 (5倍~10倍に達する圧倒的大差で敗北)
○TPPの関税引き下げ効果は対欧FTAに大きく劣る
○TPPの域内人口・経済規模はRCEPに大きく劣る
○後発のRCEPの方が主導権を取れるチャンスが多く、中国の牽制も可能

脳天気な賛成派も、原理主義的なTPP反対派も議論のレヴェルが低過ぎて溜め息が出る。
彼らは日本の国益を害するものである。

▽ 推進派の研究者ですら貧弱な数字しか出せず、根拠もなく「まだまだある」と強弁する醜態

『日本経済の底力 - 臥龍が目覚めるとき』(戸堂康之,中央公論新社)


↓ 参考

読売新聞も認めた貧相なTPP効果、たったGDP0.05%増 - 女性就労率引き上げの10分の1以下
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/4d9cb2bac4667c0d71c6a628b1f26c60

↓ 大国インドも含まれるRCEPの域内人口は34億人、TPPなど比較にならない

米WSJ紙「日本のどの政党も説得力がない」- 人口減少や電力会社による地域独占等の問題を指摘
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ed4950525eb8bd2845151004e263ef73

▽ 自由貿易は経済成長に資するという思い込みも、歴史的事実に反している

『TPP 知財戦争の始まり』(渡辺惣樹,草思社)


▽ TPPに参加しない韓国政府は、FTAと比較し冷静に計算している(日本の馬鹿な賛成派より賢い)

『現代(ヒュンダイ)がトヨタを越えるとき: 韓国に駆逐される日本企業』(小林英夫,筑摩書房)


東南ア投資、4割が増額 有望な生産地タイ首位 社長100人調査(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD2201K_S3A620C1TJC000/
”「社長100人アンケート」で2013年度の国・地域別設備投資動向をたずねたところ、約4割が東南アジア向けを12年度より増額すると回答、日本向けと並んで積極投資が目立った。「超円高」の修正下でも生産・販売で「これまで同様、海外を重視する」と答えた経営者が41.9%、海外生産を「拡大する」も33.1%に達し、需要地生産や為替リスク回避へグローバル化を急ぐ姿勢が改めて浮き彫りになった。〔以下略〕”

TPPよりもアセアンを含むRCEPの方が重要だ。
この報道を見れば余りにも明らかである。
円高も大して関係ない。寧ろ設備投資がし易くなるだけの話だ。


「ASEAN重視」が初の首位 中国は2位転落、企業調査(共同通信)
http://www.47news.jp/smp/CN/201305/CN2013051401002020.html
みずほ総合研究所が14日発表した2012年度の企業調査結果によると、今後の事業展開で最も力を入れる予定の国や地域(複数回答)に44.7%の企業が東南アジア諸国連合(ASEAN)を挙げ、初の首位となった。1999年度の調査開始時からトップだった中国(36.7%)は2位に転落。同研究所は「日中関係の緊張などが影響した」と分析している。ASEAN重視の理由の1位は「現地市場の拡大動向」。

中国は人口動態が停滞・衰退を予言しているので当然であろう。
矢張り日本の生きる道はアセアンにある。

因にこちらは経営者の本音を知るにも有益である。
「六重苦」などただの愚痴かプロパガンダであり、重要なのは「成長性」なのだ。


RCEP初会合:東アジア巨大貿易圏 期待大きく壁厚く(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20130510k0000m020093000c.html
”日本、中国、韓国のほか、インドや東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加し、東アジアのほぼ全域をカバーする「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」締結交渉の初会合が9日、ブルネイで始まった。実現すれば世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める巨大な自由貿易圏となる。ただ、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加国の日本やオーストラリアと、非参加国の中国などとの関税撤廃などを巡る主張の隔たりは大きい。交渉参加国間の経済格差も大きく、水準の高い貿易自由化への道のりは険しい。【大久保陽一】

◇TPP進展で交渉加速
 「より高レベルで、お互いの利益になる連携を目指す」。インドネシアの代表が、初会合の冒頭、交渉への強い意欲を表明した。ASEANに日中韓を加えたRCEPの原形は2003年に中国が提唱した。その後、大きな進展はなかったが、12年4月、16カ国が早期交渉入りを目指す共同声明を採択。8月には、15年末までの妥結を目指す基本指針を決めるなど、交渉入りへのムードを一気に高めた。
 背景には、TPP交渉の急速な進展がある。中国側には「ASEANからも4カ国が参加するTPPができあがれば、東アジア経済の主導権を米国に握られる」との危機感が強い。RCEP交渉の加速には、TPPに対抗する自由貿易圏を作ろうとの中国の思惑が見え隠れする。ASEANも、TPP交渉だけ進めば、参加しているシンガポールやベトナムなどと、参加していないタイやインドネシアなどとが経済的に分断されかねないと警戒。加盟10カ国すべてが参加するRCEPを重要な枠組みと位置付ける。
〔中略〕
 日本の貿易総額に占めるRCEP参加国の割合は約50%と、TPPの3割弱を上回り、自由化のメリットは大きい。一方、関税分野で中国やインドなどは「国ごとに関税率を変えられる余地を残すべきだ」と主張。逆に、日本が消極的な農業分野の自由化を迫られるのは確実だ。交渉参加国の中に、カンボジア、ラオス、ミャンマーなど市場経済が未発達な国があることも、交渉のハードルを高めることになる。
 ただ、経済産業省幹部は「自由経済の国との貿易ルールに中国を巻き込む意義は大きい」と指摘。さらに、日本は中国をけん制するためにインドを交渉に招いたが、結果として、世界有数の経済成長国の中国とインドがともに参加する経済圏作りにつながるとの見方も出ている

◇RCEP
 多国間の自由貿易協定(FTA)の一つで、地域包括的経済連携(Regional Comprehensive Economic Partnership)の頭文字を略称にした。域内人口は約34億人、貿易総額は世界全体の約3割の約10兆ドル。アジア太平洋経済協力会議(APEC)は、より大きな経済連携の枠組みとして、加盟国によるアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想を検討している。”

毎日新聞のこの報道が最も優れている。
他紙は猛省すべきではなかろうか。
TPPよりRCEPの方が遥かに日本経済にとって有益なのは明白である。

「RCEPは中国主導」であるかのように書いているメディアがあるが
利害関係はそのように単純なものではない。
アセアンの見方も分析すべきである。
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