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「トルコは中銀の独立性がもたらす影響に直面する」- 異常な額の投機資金流入、FX業界が動揺

2018-09-15 | 株式・為替マーケット全般
トルコ中銀がエルドアンに抗して政策金利を市場予想以上に引き上げ、
政治に従属した黒田日銀総裁とは器の違うところを見せた。
しかしその割にはリラの上昇が限定的なので危機は続いている。

エルドアンは勿論、持論を曲げずトルコ中銀の金融政策を批判しており、
次はトルコ中銀のトップがいつ更迭されるかが焦点となろう。

SWF(国家ファンド)のトップの首をすげ替えて
自分自身を任命したお手盛りエルドアンのことだから、
何をするか分からないと言うのが妥当な見方である。

そのエルドアン次第でジェットコースターのように振り回されそうなのが
日本の投資家達とFX業者で、トルコリラを散々宣伝した手前、
リラの取引高が急増するのは業者の狙い通りであるのだが、
余りにも投機資金が集まり過ぎたので業界ですら懸念の声が強まっている。

トルコでの政策金利引き上げは間違いなく経済悪化に直結するから、
かつてのボルカー米FRB議長の時代とは逆の結果を招くであろう。

只でさえトランプの利己的で身勝手な政策で混乱が深まる今、
世界経済の攪乱要因がまた一つ増えることになりかねない。
しかも、その最初の犠牲者は日本国内から出る可能性もある。

▽ アベノミクスは所詮、問題の先送りでしかない

『逃げられない世代 ――日本型「先送り」システムの限界』(宇佐美典也,新潮社)


▽ 市場では何が起きるか分からない、それが不変の真実である

『ヘッジホッグ―アブない金融錬金術師たち』(日本経済新聞出版社)


当ウェブログが警告してきたように、アベノミクスには未来はない。
転落と汚辱だけで、無駄に時間を空費し続けている。

「日米とも金融政策だけで成長率低下の問題を誤摩化すことはできず、
 急速な少子高齢化と低い女性就労率、豊かな高齢層への所得移転で
 アメリカより大きく成長率に劣る日本が異次元緩和もむなしく依然として低成長なのが現実だ」

「多くのエコノミストも経済評論家もまともな有効策を提案していないのだから、
 アベノミクスによる大惨事も当ウェブログの言う「コラテラル・ダメージ」も不可避である」

「アベノミクスは単にタイミングが良かっただけの幸運に過ぎない。
 それを己の力と勘違いした連中が、市場の神によって厳しく罰せられることとなろう」

「世界景況と市場環境が逆風の中で、インチキ・アベノミクスの虚飾が剥落し
 惨めな内実が暴かれる日が刻々と接近している」

「往生際の悪いリフレ派は、マイナス成長や一向に上がらない実質賃金を無視し、
 日銀のマイナス金利政策を賞賛しながら政府の政策対応を求めるという支離滅裂な状況だ。
 (マイナス金利を打ち出すこと自体、政府の政策対応を求めること自体が敗北の証拠である)
 事実を否認して自己洗脳を強化する、まさに太平洋戦争の末期状態そのものと言える」

「当ウェブログは既にリフレ派と安倍政権が「台湾沖航空戦」の段階を経たと判断した。
 彼らは壮大な勘違いのままフィリピン戦に突入し不可逆的な打撃を受けるステージに入ろうとしている。
 次にはレイテ沖で戦艦武蔵を失うような致命的な失策を犯すことになろう」

「何しろ最近は「為替介入を!」とまるで民主党政権と同類の
 みっともない叫びをあげる者も出現する始末だ。
 もはや、「売国政策、ここに極まれり」というところだろう。
 彼らの亡国の踊りが集団的自滅に向かう様を、我々は目撃することとなろう」

「実際、リフレ派やアベノミクス支持派が(数少ない)成果として挙げている株高が、
 今や崩壊し始めようとしている。しかも悪いことに、
 リフレ政策もしくはアベノミクスを喧伝して巨額の海外資金を東証に招き入れたため、
 海外勢の動向が東証に与える影響は恐らく過去最高の域にまで高まっている」

「海外マネーは別に日本のために円売り日本株買いを行う訳ではない。
 儲かるから円を売って日本株を買っていただけの話だ。
 円買い日本株売り(先物売り)が儲けになるなら躊躇なくそうするだろう」

「まさに今、彼らが行っているのが円の買い上げと日本株売り崩しであり、
 安倍政権を利用し掌で踊らせて大儲けした彼らは、
 今度は安倍政権の足下を崩して大儲けしようとしている」

「オンラインで非常に興味深い記事が二つ出ていた。
 一つは日経マネーによる「山崎指数」の紹介であり、
 一つは現代ビジネスの「マンションバブル崩壊」の予兆である」

「二つに共通して言えるのは、景況が既にダウントレンドになっていることで、
 いずれにせよ「遂にアベノミクスの虚飾が剥がれた」との結論になろう」

「「山崎指数」によれば東証はまだ割高圏で、
 あと15%は時価総額が減らないと大底にはならない」

「日本の富の原資であるGDPが伸びていないのだから、
 そもそもGDPが大きく伸びるような政策が何一つ実施されていないのだから、
 そうした暗澹たる現実はごく想定内のものと言える」

「先見性のある者にとっては何ら不思議な話ではなく、
 早ければインチキ・アベノミクスが始まった当初から分かり切ったことで、
 頭の悪い政策がごく当たり前の「末路」を迎えたということになろう」

「安倍政権が基本的には支持層へのバラ撒きに過ぎず、
 改革を騙って小手先の誤摩化しばかり展開しているのだから
 所詮は次元の低い政権への因果応報と言えるだろう」

「もはや政権は、いつ市場の神によって致命的な打撃を受けても
 おかしくないような累卵の危機に近付いているのである。
 (日本経済にとっては、そうした崩壊こそ寧ろ福音であるのだが)」

「高齢化と人口減少が進み、経済がゼロ成長なのだから、
 不動産市場の活況が続く訳がないのは分かり切った話だ。
 東京五輪前に不況が来るのは間違いないと確信できる」

「安倍政権による市場操作の愚行は、必ず崩壊の時を迎えるであろう」

「もはやB層しか信じていないアベノミクスの貧相さは明らかであり、
 「異次元緩和」が日本経済を回復させるなどという「妄想」も
 市場の神に嘲笑され、ゴミ屑のように薄汚れて路頭に転がっているような惨状だ」

「元々、アベノミクスなど小賢しい株価操作政策でしかなく、
 実質賃金が低迷して消費が沈滞し、実体経済が改善していないのに
 (事実、成長率で安倍政権はスウェーデンやドイツに大敗している)
 株価だけ水膨れのバブルにしたから「幻想」が剥落しただけの話だ。

「事実、バフェット指標を応用して市場のバブル度を計測している折見氏によれば、
 現在の東証は明白なバブルだと判断している。(全くもって同感である)
 GDPが増えていないのに株だけ上がるのはバブル以外の何物でもない」

「日銀の異次元緩和は見事な失敗に終わって、
 途中からただのPKO(株価操作)に堕しているのだ。
 市場の神を侮った報いで、あと数年の内に国民の財産に大穴を空けるであろう」

「若林栄四氏は最近、2022年に日本は1ドル65円の危機を迎え、
 苦し紛れのヘリマネによって株価が暴騰すると予言している。
 これは間違いなく日銀のマネタイズとインフレ急伸を意味し、
 もしそれが的中するなら日本国民は貧乏のどん底へつき落とされることになろう」

歴史から学ぶ能力も政策リテラシーもない安倍政権は、
世界経済に助けられて延命しても外乱要因で滅亡するであろう。

 ↓ 参考

2022年に「1ドル65円の危機」か、日銀は既に惨敗した -「折見式バフェット指標」では明白なバブル
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ff249d546a6ee5f27cd6a1d36ab7705a

「マンションバブル崩壊」の接近を石澤卓志氏が警告、アベノミクスは末期症状 - 東証も今「下落トレンド」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/6a95831abd008bef0af5296d4a10666b2

「アベノミクスは日本経済を破壊する政策でしかない」- ジム・ロジャーズ、安倍首相の悲惨な没落を予言
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/be77d61983dc09d1c6e37ce8399e

アベノミクスの帰結は1000兆円超の政府債務+金利上昇 - 財務省が財政危機を事実上認める試算発表
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d7d54acd2408cc63f24a9d86b0d67753

▽ 次元の低い安倍政権は典型的なレントシーカーによる傀儡政権であり、真の経済成長を妨げている

『グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代』(クリスティア・フリーランド,早川書房)


トルコは「経済的攻撃」の矢面、米の批判で=エルドアン大統領(reuters)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180915-00000025-reut-asia
”トルコのエルドアン大統領は14日、米国のトルコに対する批判的な発言を受け、トルコが「悪質な経済的攻撃」を受けていると述べた。また、前日に中銀が大幅な利上げを決定したことについて、金利に関する忍耐には限度があると述べた。
 エルドアン大統領は、公正発展党(AKP)幹部向けの演説で「米国からわが国に関するネガティブな発言が出て、われわれは、経済を狙った悪質な攻撃を受けている」と述べた。
 前日にトルコ中銀が政策金利を6.25%ポイント引き上げたことについて、トルコは、中銀の独立性がもたらす影響に直面することになると述べた。さらに、金利に関する自身の忍耐には限界があると述べた。
 大統領は国民にすべての貯蓄をリラに交換するよう呼びかけるとともに、民間セクターは生産や投資を断念してはならない、と述べた。〔以下略〕”

嫌な予感しかないエルドアンの反応である。
これが単なる腹芸で、トルコ中銀への不満を外に逸らそうとしているならまだ分かるが、
どう見てもそうではない。トルコ中銀トップの首は風前の灯と言えよう。


焦点:暴落後も個人に人気のトルコリラ、東京市場で主要通貨入り(reuters)
https://jp.reuters.com/article/turkey-currency-tokyo-idJPKCN1LU150
8月の大暴落にもかかわらず、日本の個人投資家の間でトルコリラが引き続き人気だ。主要国通貨を大きく上回る高金利が魅力だが、外国為替証拠金取引(FX)業者の積極的な営業姿勢も見逃せない。東京外為市場の対円取引高では5位に浮上。もはや主要通貨の一角だが、リスクも大きいだけに売買には注意も必要との指摘もある。

 <東京市場「第5の通貨」>
 東京外国為替市場委員会によると、今年4月中に東京市場で行われたトルコリラの対円取引高は、1営業日平均で39億8000万ドル(約4450億円)。対米ドルの2469億ドル、対ユーロの332億ドルには及ばないが、対豪ドルの108億ドル、対英ポンドの103億ドルに次ぐ5位となった。
 2017年4月は10億6000万ドルで、1年で約4倍に膨らんだ。主要通貨と位置づけられているカナダドルやスイスフラン、NZドルなどを上回る規模となっている。 
 その売買の大半は、証拠金取引と投資信託を経由した個人マネーとされる。
貿易統計によると、2017年の対トルコ貿易は輸出が28位の3546億円、輸入は59位の711億円。1年分の輸出入を合計しても1日当たりの取引高にすら及ばない。
 市場では、東京の実際のリラ取引額はもっと巨額との声が大勢。
特に証拠金取引は業者と金融機関が運営する為替売買システムが直結していることが多く、「日本の個人の売買の一部が(売買システムが実在する)ロンドン市場で計上される」(外銀幹部)ことが少なくないという。

 <FX業者側の事情も>
 人気の理由は無論その高金利。10年国債利回りはピークから下がったとはいえ足元で約18%。米国の2.9%、日本の0.11%とは雲泥の差だ。
 トルコリラで人気を集めるトレイダーズ証券(訂正)が運営する「みんなのFX」。1万通貨単位、現在のレートで18万円程度投資すると、スワップポイントと呼ばれる金利差収入が日々100円前後得られる。米ドルでは113万円投資しても44円にとどまる。
 南アフリカランド等それなりに高金利の新興国通貨もある。その中でトルコリラ人気が一歩リードしているのはFX業者側の事情もあるようだ。
 外為市場では2月に米国株が過去最大の下げを記録した後、年央にかけて変動率が次第に低下。ドル/円は4月以降、108─113円のレンジ内で値動きが鈍り、主要通貨の合成予想変動率を示す指数も年初来最低水準で推移し続ける「なぎ相場」が続いた。
 頭を抱えたのがFX業界。
値動きが見込めないと個人が取引を控えれば収益源が失われるため「動かないなら高金利」と顧客にPRした。
 「FXは自転車操業。新規の顧客をどんどん入れないといけない。そのためには具体的な商品性を訴える必要があり、南アランドやメキシコペソといった既に知られている高金利通貨とは違ったリラの目新しさが良い訴求ポイントになった」(FX会社幹部)という。

 <建玉が再び急増>
 8月10日、個人投資家に衝撃が走る。対立する米国との協議が物別れに終わり、トランプ米大統領が追加関税の発動を表明したことで、リラは対円で19%急落。01年の変動相場制移行後で最大の下げとなり、20円台から16円台まで落ち込み過去最安値を更新した。
 個人の間では、急落で損失確定に伴う巨額の強制売りが発生。週明け13日にかけて証拠金業者の間では買い持ちから売り持ちを差し引いた建玉が激減。多くの会社で3割超、一部では7割近い建玉が一気に決済される異常事態に陥った。「リラ相場を急変させた一因は、間違いなく日本の個人の取引」(別の証拠金会社関係者)という。

 しかしその後、トルコ当局の相次ぐ政策対応が奏功し、リラは16日に19円台へ反発。中銀による流動性供給策もあり下値不安がいったん後退し、個人が再びリラを買い増す動きも出始めた。
〔中略〕
 トルコ中銀の大幅利上げを受けてリラが急上昇した13日の海外市場では、上昇局面では個人の逆張りの売りと追随の買いが激しく交錯。「普段の3倍近い取引高」(GMOの及川氏)となり変わらない人気ぶりを印象づけた。
 歯止めがかからないリラ人気に、FX業界内からも困惑の声が上がる。トレイダーズ証券市場部長の井口喜雄氏は「トルコは対米関係の改善が明確にならなければ上昇トレンド入りは難しい。今後も下落する可能性があると理解した上でしっかりリスクコントロールをして欲しい」と訴えている。 (基太村真司 編集:伊賀大記)”

何をするか分からないエルドアンにベッドしてしまって
過大なリスクを抱え込んだ日本の投資家が大勢いる。
(金利を考慮するならせいぜい許容できるのはドル買いユーロ売りしかない筈だが。。)

トルコはデノミを断行した「実績」のある国である。
FX業界の内情は分かるが、近い将来の災厄を大きくしているのではないか。
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