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「日本で働きたい」外国人留学生は僅か2割、単純労働者しか来ない - 自民特命委は「敗者の言い訳」

2016-05-16 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
自民党の特命委(労働力確保に関する特命委員会)が、末期的な提言を行ったようだ。
末期的な政権に末期的な特命委、滑稽な取り合わせだが
日本経済の行く末を考えると笑ってはいられない。

今、欧州がテロの恐怖に怯えて極右の台頭を抑えられないのは、
無節操に単純労働者を受け入れてきたからである。

しかし欧州の教訓から全く学んでおらず、
「外国人を安くこき使いたい」という歪んだ欲望に満ちて
目先の利益しか見えていない自民党の特命委は、
単純労働力の受け入れを提言したのである。

問題だらけの実習生制度に対する真摯な反省もない、
人権意識の低さは相変わらずであるが、より深刻な問題もある。
世界的な高度人材獲得競争で日本が大敗しつつある現状すら認識できず、
単純労働者なら従順に使い回せるだろうと考える傲慢ぶりは日本の恥だ。

ケアワーカーとして外国人を使いたがるのは、安く済ませたいとのさもしい根性である。
北欧のように正当な対価を支払い、自国民を雇わないから経済が成長しないのだ。

ケアワーカーは北欧式の積極的労働市場政策で公費を投入する、
高度人材は永住権を与えるなどアメリカやシンガポールのように世界中から集める、
これが正しい海外人材獲得政策である。

▽ 高度人材には移民よりもまず永住権、である

『低欲望社会 「大志なき時代」の新・国富論』(大前研一,小学館)


観光でも馬鹿みたいに数だけ追って質の悪い連中を国内に呼び込み、
富裕層の長期滞在という「宝の山」を見過ごしているのだからてんで話にもならない。

特命委の近視眼で愚かな提言は、当ウェブログの指摘通りである。

「グローバル人材育成を能天気に称える安倍首相の軽い言葉に対し、当ウェブログは
 「日本企業は単に「語学が堪能で外国人より従順で使いやすい」人材を求めているだけ」
 だと指摘したが、それを裏付ける報道が出ている」

「日本の電機大手の人事担当者によれば、
 「外国人社員は5年で50%は辞める」そうだ。
 これでは流石に「最近の若者はこらえ性がない」といった類いの低次元の言い訳はできまい。
 まさか「最近の外国人はこらえ性がない」とでも言うのだろうか」

「日本経済の活力を維持したければ、
 まず日本企業自身が外国人を活用できないと話にならない。
 現時点ではその段階でまず失格である」

「企業の言い分など所詮は衆愚的な「組織の論理」に過ぎない。
 真に受けると寧ろ国益を損ないかねない」

「高度人材には逃げられ、単純労働者に関しては負担を社会にツケ回し。
 これまでの「実績」から言えばこうなるのだから、信用する方が間違っている」

「また、日本経済の労働生産性の劣後は、
 無駄な長時間労働を改めない企業経営にも大きな責任がある。
 それが有能な外国人に忌避される要因の一つになっている」

「どうせまた、リーマンショックの時の日系人労働者と同じく
 景況が悪化したら日本人の雇用を守るために容赦なくクビを切り、
 おまけに尻拭いは日本社会にさせるつもりであろう」

「日本企業によくある、安く使える従順な外国人を望む虫の良さを反省しない限り、
 外国人活用など夢のまた夢である」

「円安と露骨な市場操作で日本企業は浮かれており、
 実力で収益を高めた企業がほんの一握りである実態を忘れている」

「自民党政権のこれまでの「実績」から容易に判断できるのは、
 日本企業の経営層の地位を脅かさない程度の人材しか日本には来ず、
 差別的な待遇で外国人をこき使う「移民受け入れ」にしかならないということだ。
 現下の外国人実習生の恥ずべき実態を見れば明白である。
 (献金に熱心な経済団体は、この問題でも自浄力が全くないことを自ら証明している)」

「外国人労働者を受け入れたがる業界は低付加価値・労働集約的・低収益の業界だ。
 日本の経済界は「おとなしく安い賃金で働いてくれる労働者」を求めているのであり、
 外国人を安くこき使って自分達が楽に儲けることを望んでいるのである」

「経済界自身が変わろうとせずに外国人材の活用を図っても、
 結局はお互いに不満を溜めて仲違いするだけに終わるであろう」

「ファーストリテイリングの柳井会長が絶句するような少子化対策を提唱している。
 少し調べれば事実誤認が幾つも含まれると分かるような内容だ」

「周知のように企業経営者は稼いだ金で評価される。
 会長は鋭い見識で社会に評価されているのではなく、
 今までファーストリテイリングという企業を育て上げてきたから評価されている。
 だから、その発言も検証されず必要以上に取り上げられてしまうという弊害もあるのだ」

「会長が主張するのは、移民や難民を受け入れないと国が滅ぶ、
 子育て支援には外国人の家政婦やメイドが不可欠というものである」

「これはまず少子化についての認識が間違っており、
 大前研一氏がかなり前から明言している通り
 日本の少子化は余りにも深刻で減少数が多過ぎ、
 移民受け入れで補うことは不可能に近い」

「日本は香港やシンガポールのような小さな島ではなく、
 1億人を超える人口を抱えている人口大国である。
 そしてこれから、平均して毎年100万人前後の加速度的な人口減少が起きる。
 毎年100万人規模の移民受け入れが可能と考えるのは正気の沙汰ではない」

「日本より遥かに治安が悪く、殺人事件も日常的に起きているアメリカ、
 日本の倍以上の人口を抱え国土も数倍に及ぶアメリカと同水準か、
 それ以上の数を受け入れなければならないのである」

「また、外国人メイドを活用している代表的な国・地域は香港とシンガポールであるが、
 ともに日本を下回る程の極端な低出生率であるのはあまりにも有名だ。
 どうしてその程度のことにすら考えが及ばないのだろうか」

「外国人を安く使うという発想は企業経営層にとっては常識的であるが、
 少子化対策では全くない。企業経営と国政を完全に混同している」

「日本の出生率が低迷し、女性就労率が低い理由は、完全に政策要因である。
 高齢層に30兆円以上の税金をバラ撒いているのに育児支援にはケチっていて、
 雇用政策にも先進国中で最低水準の予算しか出していないからだ」

「経済界は、リーマンショック後の外国人大量クビ切りの責任を忘れ、
 能天気な移民受け入れを主張する傾向が極めて強い」

「ファーストリテイリング会長の言うような移民受け入れをなし崩し的に進めてきた欧州では、
 労働市場で差別的な扱いを受ける移民とその家族がスラムを形成し、テロの温床となっている。
 考えの浅い人間がただ労働力確保のために移民を受け入れるから、こうなるのだ」

「ジェノサイドの研究者であるグナル・ハインゾーンは、
 受け入れてくれた社会に過剰適応しようとする移民一世と違い、
 移民二世の世代は欧州社会への感謝ではなく不満が強く、
 様々な問題を引き起こしている事実を報告している」

「こうした欧州の実態を全く知らない柳井氏の言うような移民受け入れを実施したら、
 日本国内のあちこちに「日本版モレンベーク」が出現するであろう。
 豪邸に住んでいる人間にとっては、日本の治安悪化など無関心なのだろう」

「少子化問題ばかりではなく、
 移民政策においても、企業経営者の発言は自社の利益増進のためであり、
 日本経済のためのものではないことが愈々明確になってきている」

「日本において近年、難民申請が急増しているが
 申請者は内戦やテロ問題が深刻化している中近東出身者ではなく、アジア系が大多数である。
 政府が難民申請中の就労を許可したこととの因果関係が疑われる。
 このままでは、本当に困窮している外国人にも被害が及ぶであろう」

「事実、入管が不法滞在者を摘発した際に、
 難民申請中の者が違法就労してたことが判明している」

「他には、アジア系研修生が待遇に不満を持って逃亡し、
 難民申請を行って不法就業する事例も確認されている」

「これは、日本の難民受け入れの裏面を暴くものであるばかりではなく、
 日本の移民政策(或いは海外人材受け入れ政策)にも共通した特質だ。
 つまり美辞麗句を掲げてその蔭で「カネ」目当てで動いている訳である」

「論より証拠、最近になってからカネを受け取って
 外国人の不法就業を助けた日本人が次々と逮捕されている」

「不法在留者と難民申請者とが同じ職場で摘発されていることから、
 両者が限りなく近いものとなっているのは明白である」

「日本の経済界の主張する海外人材受け入れも似た性質を持っている。
 違法性ががなくとも、自己の利益のために外国人を利用している点では同じだ」

「このような拝金的な受け入れしかできない国は、
 遠からずはした金と引き換えに国内にスラムを抱えるようになるだろう」

「直近では、安倍政権の実質賃金切り下げ政策により
 低スキルの単純労働者への需要は高まっている。
 言う迄もなくこれは、違法な外国受け入れの温床となるものだ」

「アジア系外国人については、日本人がカネを受け取って
 違法に在留資格を取得させる事件が以前から多かった。
 難民受け入れも、似たような構図になりかねない」

「愚劣な政策のために国内雇用の内実が劣化していることは周知の事実だが、
 近視眼的な外国人受け入れのため更に深刻な問題を抱えることとなろう」

と当ウェブログが警告した通りだ。

▽ 熟慮せず単純労働者を受け入れると、今のヨーロッパのようなスラムができる

『イスラム化するヨーロッパ』(三井美奈,新潮社)


グローバルな人材獲得で惨敗している安倍政権と自民党は、
人材面においても日本経済の停滞の元凶である。

「EUの心臓部であるベルギーで、深刻なテロ事件が起きた。
 はっきり言っておくが、安倍政権や経済団体が誤った外国人受け入れ政策を推進する限り、
 我が国でも同じように深刻な治安悪化が生じる。それは間違いない未来である」

「安倍政権や財界が、労働力不足分野での外国人活用を唱えているが、
 海外の事例を全く研究せず、国内では悪名高い研修生の問題を黙殺した
 二重の意味で無責任極まりない話である」

「近年、急激に成長率と出生率が低下している台湾では、
 アジアから安い労働力を輸入して家事や介護サービスを担わせている」

「低賃金労働者は海外から調達して安く済ませるが、
 自国の高度人材はより高い賃金を期待できるアメリカなど海外へ出る」

「まさに無能な政府を抱える日本の未来図だと言えよう。
 台湾の経済成長率は低迷し、出生率も日本以上に低い」

「同じく移民を受け入れているが高度人材を重視するシンガポール、
 或いは重税で福祉サービスの雇用を創出し、国民にも企業にも努力を求めるスウェーデン、
 両国はともに台湾よりも成長率が高く、1人当たりGDPも高い」

「日本が何もしなければ、この三国のなかでどのコースを辿るのかは明白だ。
 最も安易で、最も愚かな道を辿ることになろう」

「安い労働力を輸入しようとしている安倍政権と財界は、
 まっしぐらに台湾と同じ道へと向かっているのである。
 (個人的には台湾は好きだが、経済政策としては誤った道に進んでしまっている)」

「シンガポールのように高度人材を招致する能力がなく、
 スウェーデンのような企業にも国民にも厳しい政策を取らない、
 怠惰で無能な政府に財界も諂って献金で利益誘導している始末だから、
 マイナス成長ははっきり言って自業自得である」

「台湾の状況を見れば、低賃金労働力を移民で補うことが
 経済停滞・出生率低迷を招く愚策に他ならないことは明白である」

「昨年の台湾の成長率は2%を割り込み、直近の四半期ではマイナス成長に陥っている。
 出生率に至っては日本より低く、1.2を下回るという惨状だ。
 台湾と同様の政策をとろうとしている安倍政権は、日本経済の害毒である」


「台湾も、インドも、ベトナムも、最優秀の人材はまずアメリカへ向かう。
 米西海岸でインド系の経営人材が急増しているのは、余りにも有名な事実である。

「国益を真に理解しているなら、海外の単純労働力ではなく高度人材を全力で取りに行く筈である」

まさに国益を損なっていると言っても過言ではない。

 ↓ 参考

安倍政権の「外国人受け入れ」は成長率低下・出生率低迷の愚策、台湾を見よ - 高度人材に魅力のない日本
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/276e532c145fec0ee870b1d15290ab58

利用される「難民申請」、就労目的での申請が急増中 - 外国人を食い物にする醜悪な日本人も増加中
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/74f62af3c572f97a3592d0d76a96d334

経済産業省が次元の低い移民政策を提言、恥ずべき研修生問題は完全無視 - 高度人材が来ないのは当然
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/f1656ef4054d182f187041b5f9ef8601

5年で半分が辞める外国人社員、あっさり見捨てられる日本企業 -「優秀な人が集まらない」実態
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/12aad41d2655b0b15690f2678187c1a1

▽ 深刻な問題が起きるのは、移民二世以降である

『自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来』(グナル・ハインゾーン,新潮社)


自民特命委:外国人労働者拡大を 提言案まとめる(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160427/k00/00m/010/088000c.html
”自民党の「労働力確保に関する特命委員会」(委員長・木村義雄元副厚生労働相)は26日、人口減に伴う人手不足を解消するため、外国人労働者の受け入れを拡大する提言案をまとめた。従来の政府方針を改め、専門分野以外の「単純労働」への拡大を提案した
〔中略〕
 提言案は「人口減少の中で活力を維持するには、外国人に今以上に活躍してもらうことが必要」と指摘。従来は専門的・技術的分野を中心に受け入れを進めてきたが、介護や農業などの分野も「精査して受け入れを進めるべきだ」とした
 拡大への具体策としては、約91万人(2015年10月末)の外国人労働者が倍増しても雇用などへの影響がないよう、受け入れ枠を設定。日本人と外国人の報酬を同等にするなどの仕組みを提言した。在留期間を当面は「5年間」とすることも盛り込んだ。
 外国人労働者の受け入れ拡大について、自民党内では「移民につながる」との懸念が強い。木村氏は「今回の案は(永住権を認めるわけでなく)移民政策ではない」と説明している。【大久保渉】”

「人口減に伴う人手不足」は、自民党政権の失態によって起きた「人災」だから、
自民党議員やそのOBは貰っている公費を全員、大幅カットすべきである。
ふざけた提言もいい加減にすべきだ。無責任にも程がある。


外国人「日本で働きたい」2割のみ 留学生支援団体調査(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO96460930T20C16A1EE8000/
外国人留学生の就労支援を手がける一般社団法人の日本国際化推進協会が実施した調査で「日本で働くことが魅力的」と答えた外国人は約2割にとどまった。一方で「日本に住むのは魅力的」との回答は8割超に上る。日本文化に対する人気とは対照的に、日本企業は役職や年功による序列が強く、男性優位といった負の印象を持たれていることが分かった。
 調査は留学生などの外国人819人を対象に昨年10~11月に実施した。日本で…〔以下略〕”

これが実態だ。
日本は「単純労働者でないと来ない」情けない国なのだ。
また、単純労働者受け入れよりも富裕層の長期滞在の方が
経済効果として遥かに大きいのも明白なのだが、自民議員はそれすら理解していない。


労基署が異例の逮捕=賃金未払いの社長ら―岐阜(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016032200829
中国人技能実習生に賃金を適切に支払わず、労基署の調査も妨害したとして、岐阜労働基準監督署は22日、最低賃金法と労働基準法違反容疑で、縫製会社社長粟谷浩司(50)=岐阜県笠松町米野=、技能実習生受け入れ事務コンサルタント伊藤智文(50)=岐阜市中=両容疑者を逮捕した。
〔中略〕
 逮捕容疑は、2014年12月~15年8月、中国人技能実習生の女性4人に最低賃金計約165万円と時間外手当計約310万円を支払わなかった上、虚偽の賃金台帳を提出するなど労基署の調査を妨害した疑い。”

実質的な移民受け入れである実習生制度では、
このような「日本の恥」である連中が跋扈している。
安倍政権や自民党議員は、自らの責任を直視すべきである。


【移民ショック】ドイツ「寛容政策」導入から半年 言語の習得、難民手続きは数カ月待ち… 現実の壁、統合の道のり遠く(産経新聞)
http://www.sankei.com/world/news/160303/wor1603030075-n1.html
”難民・移民流入問題で、ドイツが寛容な受け入れ政策をとって約半年が経過した。難民らは新たな国で将来への希望を描き、ドイツ側は不足する労働力としても歓迎した。ただ、言葉や雇用をめぐる「現実の壁」は予想以上に高く、難民らを社会に溶け込ませる「統合」への道のりは遠い。
難民手続き、結論までは施設暮らし
 「ズボンがほしい」
 独北部ハンブルク。中心部の民間教育施設の1室でアラブ系の若者ら約20人が独語の授業を受けていた。衣料店を想定した会話の練習で若者がたどたどしく独語を話すと、講師が文法や発音をただした。
 授業は国が支援し、シリアやイラクなど出身の難民申請者を対象として昨年11月、各地で始まったコースだ。仕事を含めドイツでの生活に独語は不可欠。「早く自立したい」。生徒のシリア人女性、ラフィフ・ハラフさん(25)もそう語り、独語習得に励む。
 ただ、入国から約4カ月がたち、ハラフさんにいらだちもある。難民申請を行ったが、当局の聴取は6月の予定。結論が出るまでは数百人が集まる受け入れ施設での生活が続く。住民同士のいさかいもしばしばで、「大きなストレス」という。
 連邦移民難民庁によると、昨年1年間と1月末までに入国登録した移民らは約120万人。この間、難民認定の可否の結論が出たのは約33万件で、審査中は約37万件に上る。登録後も難民申請できていない移民らは30万~40万人とされ、同庁は人員を増加して処理を急ぐが、膨大な数に対応が追いつかない状態だ。
〔中略〕
 ハンブルク中心部の職業安定所に2月、シリア人男性(28)が職探しに訪れた。昨年末にドイツに到着し、独語を話せた。母国で金属加工職人だったという。だが、職歴を証明できず、職安側は職業訓練を勧めた。「この年齢では…」とためらう男性に「将来のため」と説いた。
 ハンブルク労働局によると、独語習得や職業訓練よりも早く仕事に就こうとする難民らは少なくないという。家族への仕送りや密航業者への借金返済のために金が必要といった事情もあるとみられる。だが、「それは危険」と労働局の広報担当、クヌート・ベルンゼン氏は警告する。
 資格がない、または資格を証明できない難民らに斡旋(あっせん)するのは非熟練・単純労働者向けの職種だが、求人に占める割合は約10%。失業率が全国平均より高いハンブルクでは競争が激しい上、失業もしやすい。言葉と技能をまず身につけた方が将来的に安定が望める。
就労率低く貧困化、“火種”懸念も
 同庁がシリア人らを中心とした難民に一昨年行った調査によると、6割超が職業訓練や大学教育の経験がなかった。就労者は約37%にとどまり、大半が飲食店や清掃業など中・低程度の技能の仕事だ。調査結果は昨年入った移民らにもあてはまるとみている。
 国内では難民らが労働力を補うとの期待も高まったが、状況が明らかになるにつれ、独メディアは「“あすの労働力”は“あさっての労働力”だった」とも伝える。難民らが貧困層となれば、社会的な“火種”ともなりかねず、社会への統合は大きな課題だ。

 ハンブルク労働局のゼンケ・フォック局長は「期待の後失望もあったが、今は現実に対応しようとの段階になった」と指摘。「難民の多くは意欲が高く、企業の受け入れへの関心も強い。ともに必要なのは忍耐だ」と述べた。(ハンブルク 宮下日出男)”

安く使える労働力と外国人を考えていたドイツ経済界は、
今その愚かさの報いを受けている。

人道的配慮で受け入れたのなら仕方のないことだろうが、
ドイツ経済界は欲得ずくで打算的な判断だった筈だ。
自業自得と言うべきであろう。


独地方選で「反難民」党が躍進 メルケル首相の苦境さらに(産経新聞)
http://www.sankei.com/world/news/160314/wor1603140031-n1.html
”【ベルリン=宮下日出男】ドイツの3州で13日に行われた州議会選挙は即日開票され、メルケル首相の寛容な難民・移民政策に反対する新興右派政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が躍進した。寛容な移民政策に反対する勢力が支持を広げたことで、首相の苦境は強まっている。
〔中略〕
 暫定の公式集計では、AfDの得票率は旧東独地域ザクセン・アンハルト州で24.2%に上り、第1党となったメルケル氏の保守系与党「キリスト教民主同盟」に続く2位。旧西独のバーデン・ビュルテンベルク、ラインラント・プファルツの両州でも、AfDは15.1%、12.6%を獲得して第3党となった。
 2013年に単一通貨ユーロの「解体」を掲げて誕生したAfDは昨夏以降、移民らの受け入れ反対に主張の重点を移し、支持を拡大。今回の選挙結果を含め、国内16州・特別市の半数で議会進出を果たした。
 旧東独で人気が高いのは、旧西独に比べて低迷する経済への不安を抱える有権者が票を投じたからだ。ただ、今回は旧西独でも一定の議席を確保。来年の総選挙の前哨戦とされた選挙で、「ポピュリスト政党」(メディア)が台頭したことをふまえ、独誌シュピーゲルは「屈辱的で危険だ」と伝えた。
 一方、キリスト教民主同盟はバーデン・ビュルテンベルク州で2011年の前回選に比べて得票率が10ポイント超下がり、国政野党の「90年連合・緑の党」に第1党の座を奪われたほか、残る2州でも議席を減らした。同盟と国政で連立を組む中道左派の「社会民主党」は3州のうち2州で得票率が約10ポイントも減った。
 移民らの流入問題では同盟の各州代表がメルケル氏の政策と一線を画したのに対し、緑の党と社民党は寛容策を支持。社民党はラインラント・プファルツ州では首位を維持した。
 メルケル氏は14日、記者会見し、難民問題でこれまでの政策を続ける考えを表明した。しかし、国内では受け入れは限界という声が大勢だ。
 欧州連合(EU)と域外との国境管理を強化して流入減少を目指すメルケル氏は、トルコとEUが移民らの送還などで合意した協議も主導したが、実効性にはなお疑問も残り、成果を示せるかは予断を許さない。”

そして欧州では建前と本音の乖離が極大化し、
このように深刻な事態に陥っている。

自民党の特命委は、単純労働力を受け入れることが即ち日本での極右勢力台頭に直結し、
重大な社会的コストを支払うことになるという「すぐそこにある危機」も分からない輩なのだ。
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