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『週刊東洋経済』5月9日合併号 -「稼いだ時間の上にあぐら」「竹槍戦術」、日本政府の杜撰なコロナ対策

2020-05-07 | 『週刊 東洋経済』より
今週の東洋経済の「医療崩壊」特集は、表紙のデザインが巧みなだけで
内容としては各方面の言い訳に終始したものに留まり大変残念なものだった。
これを読んで高く評価している読者はリテラシーが低いと断言できる。

日本では他国に比べPCR検査が極端に少なく様々なボトルネックがあるのはその通りとしても、
東洋経済の記者はなぜドイツや韓国でコロナ感染者を劇的に減らすことが出来たのかを
碌に調べていない。関係者のインタビューばかりだから凡庸な言い訳だらけになるのだ。
「なぜドイツのような対策ができないのか」が本来は眼目だった筈なのに!

実は本質を衝いた議論は東洋経済のこの号では全くなく、
オンラインの東洋経済の方である。(同じ東洋経済だが鋭さが全く違う)
医療ガバナンス研究所の上氏が決定的な分析を行っているのだ。

当ウェブログでも取り上げたが、PCR検査が進まず
院内感染が急増した「犯人」はまず厚労省、そして専門家会議であり、
(前者は医療現場を守るつもりで逆効果を招き、後者は視野狭窄で世論をミスリードした)

政府は経済活動を重視するならスウェーデン型の集団免疫獲得、
コロナ封じ込め最優先ならドイツ式のPCR検査の急拡大と隔離を選択しなければならなかった。

しかし、結局はどっちつかずの中途半端で責任も有耶無耶にするという最低の結末で、
日本国民がいつも通りの協調力(完全ではなかったが他国より遥かに優秀)で感染拡大を抑止しても
その折角の努力を無にしてしまい国民に犠牲を強いたのが厚労省と専門家会議なのである。
論より証拠、日本では大量の失業と収入激減が起きてしまっているではないか!

また、医療界そのものにも今回のコロナ禍を深刻化させた責任がある。
こちらも当ウェブログで最近取り上げたが、コロナ感染者の急減に成功した
ドイツと韓国の共通する特徴は「政府が強力に医療を統制できる」ことだ。

ドイツは日本より遥かに医療規制が強く、重税により予算も豊富だ。
韓国は徴兵制により若手医師を意のままに動かすことが出来る。
(日本のように医学生が楽な診療科に殺到したり医師が都市部に集中したり自由に開業するのと対照的)

つまり、日本の医療界がドイツや韓国よりも自由で政府の規制が緩く、
税・社会保険料負担が軽いことこそが今回の医療危機を招いた根元にある
のだ。
だからその点について全く触れていない今回の特集が「関係者の言い訳」になるのである。

保健所のボトルネックは間違いなく官邸と厚労省の怠惰と無能のせいであるが、
それ以外はコロナ治療の現場にいない大勢の医療関係者も決して免責されない。

しかもこれを奇禍として自分達の働き方改革や収入増を叫ぶ火事場泥棒のような輩もいて、
これこそ現場でリスクに晒されて必死に努力する医療関係者に対する裏切り行為である。

『週刊東洋経済』2020年5/2-5/9合併号 (コロナ医療崩壊)


佐藤優氏のコラムは相変わらずで、
官邸に肩入れしていたのが完全に裏目の状況。。

公明党は単に支持層である低所得者の反発と選挙の不利が怖くて
安倍に翻意を迫っただけの話なのに何か美談であるかのように仕立てられている!

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週の注目は東洋経済、「コロナ制圧戦」で善戦 韓国・台湾の舞台裏」は良さそう。

▽ 「すごい文系AI人材」とか、題字に中味が伴っていれば良いのだが。。

『週刊東洋経済』2020年5/16号 (AIを使いこなす人材になる)


▽ 元々商社は変化し続ける組織ではと思うダイヤモンド特集、「商社を去る者残る者」が興味深い

『週刊ダイヤモンド』2020年5/16号 (商社 最後の旧来型エリート)


▽ エコノミストは市況が逆に出るのに懲りたか、「投資術&ファンド」という慎重なタイトル

『週刊エコノミスト』2020年 5/19号

「コロナと共生するしかない」は完全に正しい、問題はその期間。
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