私は特命係が女性に翻弄されるストーリーは好きではない。(これは私が男性ということに起因しているのかもしれません。不快に感じる方もいるかもしれません)
思い出すのは、Season9 第10話 「聖戦」。
3人の母性愛がテーマで、特に寿子(南果歩)のそれは執念とも言えるものだった。それを強調するあまり、この話の特命係は冴えず、寿子に後れを取らされていた。
遠峰小夜子(西田尚美)は、母性とはかけ離れた存在で、人の心を操り、破滅していくのを楽しむ悪女。
刑事ドラマには悪人が不可欠で、被害者の中には殺されるべく殺されたという人や、殺人を楽しむサイコパスも多い。なので、ドラマを見てそういう悪人に怒りを感じるのはナンセンスで、《何を怒っているんだ》と時々自分が恥ずかしくなる時もある。
それはともかく、私はこの小夜子に嫌悪感を感じてしまう。なので、小夜子に関して評価が厳しくなるのかもしれないが、登場人物の小夜子の評価(恐ろしい女)が高すぎるように感じる。
真相を明かせないという脚本的制約もあり、さらに、拘置されている制約もあり、「小夜子が人の心の隙に入り込み、巧みに邪心を増幅させ悪事に手を染める」という具体的シーンがほとんどなく、後付けでこれは小夜子の誘導だったというドラマの作りになっている。なので、小夜子の巧妙さが絵空事のように思えてしまう。
あと、これは非常に個人的な印象なのだが、『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』で、西田尚美さんが変な行動をして一人悦に入っているとぼけた女を演じることが多いので、ついその情景を思い浮かべてしまうことも、低評価につながるのかもしれない。
さて、小夜子が過去に蒔いた種が発芽して事件が発生するという作りなので、時系列が分かりにくかったので、整理すると
①月刊プレスの編集者・白石佳奈子(魏涼子)が遠峰小夜子(西田尚美)の真珠の詐欺に遭う
騙されたことよりも、つまらない夫と縁が切れたことに感謝。その後、遠峰小夜子特集に携わり、小夜子に心酔していく。
②妊婦、石段転落死事件
2年前。
井原俊樹(福井博章)が浮気した女と歩いているところを、妻が目撃し、慌てて駆け下りようとして、足を滑らせ転落死。
出会い系サイトで知り合ったという女は、佳奈子で、転落直後の写真を撮り、「妊婦が何者かに突き落とされた」という記事をでっち上げた。
②′アポ電強盗殺人事件
2年前。石段転落死事件と同日同時刻。
須藤龍男(成田瑛基)は強盗の見張り役で、その最中、道路に飛び出そうとした少年を助ける。
その少年を危うく轢きそうになったのが小夜子。
龍男は警察やアポ電強盗の一味から逃れるため、石段転落事件の犯人は自分だと自供するが、小夜子が少年を助けたのがその男だと特命係に教え、真相を明らかにさせようとした。
偶然が多かった
・井原(転落死した妊婦の夫)が浮気したのが佳奈子(『プレス』の編集者)
・龍男(強盗の見張り役)は女性編集者の石段転落事件の記事を読んで、利用しようとした
・小夜子が、龍雄が少年を助けた時の当事者(少年を撥ねるところだった)
小夜子の思惑通り運んだようだが、かなりの偶然が重なっていた。
特に、佳奈子が出会い系サイトを介して井原と関係を持つのは、不自然。小夜子の指示で井原と関係を持ったのかと思ったが、妻の転落死は全くの偶発事故。
転落事故を殺人事件の疑惑をでっちあげたのが、小夜子主導なのか、佳奈子の独断なのか、はっきり分からなかったが、転落死の原因を作った井原が嘘をつき、罪の意識に苛まれるのを楽しんで見ていただけ。
強盗と転落事故がたまたま偶然に同時刻に起こり、たまたま見張り役が追及を逃れるために転落事故を利用して、それがありえないことを小夜子がたまたま知っていただけといのが真相。
意味深な小夜子の助言と、あとは偶然の連続で、あたかも小夜子が凄い洗脳者であるかのように見せかけた脚本だった。
【その他の疑問点など】
・転落事故直後の写真に、撮影者の傘が移り込んでいたのに気づいた右京は凄いと思うが、普通は編集の段階でトリミングするのではないだろうか?
・佳奈子が小夜子を崇拝している様(さま)は熱演だったが、大仰すぎ
第1話、第2話、第3話、第4話、第5話、第6話
【ストーリー】番組サイトより
“平成の毒婦”未決囚の遠峰小夜子が再来!
犯行を自供した男をかばう真意とは!?
2年前に起きたアポ電強盗殺人の被疑者が、空き家の床下から白骨遺体で発見された。捜査一課は、当時、事件を解決できなかったことに忸怩たる思いもあり、共犯者との仲間割れの線で、全容解明に乗り出す。
そんな中、2年前に妊婦が階段から転落死した事件について、別件で事情聴取を受けていた男が、自らの犯行を自供する。
しかし、弁護士の連城(松尾諭)を通じて、“平成の毒婦”と呼ばれる未決囚の女・遠峰小夜子(西田尚美)から、拘置所に呼び出された右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、驚くべき証言を聞く。妊婦が死亡した同じ日の同じ時刻、まったく別の場所で問題の男を目撃したのだという。
小夜子の“真意”をはかりかねつつも捜査を始めた右京と亘は、小夜子が男を目撃した場所と、2年前に起きたアポ電強盗殺人の事件現場が近接しているという事実を掴む。そこは同じ都内とはいえ、妊婦が転落死した場所と遠く離れているため、小夜子の証言が正しいとすれば、“同日同刻”に起きた妊婦の転落死に、問題の男が関与している可能性は、限りなくゼロに近づくのだが…!?
特命係VS人を操る女!!
2年前の出来事が意外な繋がりを見せる中、
予想だにしない驚きの事実が明らかになる!
ゲスト:西田尚美 松尾諭
脚本:山本むつみ
監督:橋本一
思い出すのは、Season9 第10話 「聖戦」。
3人の母性愛がテーマで、特に寿子(南果歩)のそれは執念とも言えるものだった。それを強調するあまり、この話の特命係は冴えず、寿子に後れを取らされていた。
遠峰小夜子(西田尚美)は、母性とはかけ離れた存在で、人の心を操り、破滅していくのを楽しむ悪女。
刑事ドラマには悪人が不可欠で、被害者の中には殺されるべく殺されたという人や、殺人を楽しむサイコパスも多い。なので、ドラマを見てそういう悪人に怒りを感じるのはナンセンスで、《何を怒っているんだ》と時々自分が恥ずかしくなる時もある。
それはともかく、私はこの小夜子に嫌悪感を感じてしまう。なので、小夜子に関して評価が厳しくなるのかもしれないが、登場人物の小夜子の評価(恐ろしい女)が高すぎるように感じる。
真相を明かせないという脚本的制約もあり、さらに、拘置されている制約もあり、「小夜子が人の心の隙に入り込み、巧みに邪心を増幅させ悪事に手を染める」という具体的シーンがほとんどなく、後付けでこれは小夜子の誘導だったというドラマの作りになっている。なので、小夜子の巧妙さが絵空事のように思えてしまう。
あと、これは非常に個人的な印象なのだが、『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』で、西田尚美さんが変な行動をして一人悦に入っているとぼけた女を演じることが多いので、ついその情景を思い浮かべてしまうことも、低評価につながるのかもしれない。
さて、小夜子が過去に蒔いた種が発芽して事件が発生するという作りなので、時系列が分かりにくかったので、整理すると
①月刊プレスの編集者・白石佳奈子(魏涼子)が遠峰小夜子(西田尚美)の真珠の詐欺に遭う
騙されたことよりも、つまらない夫と縁が切れたことに感謝。その後、遠峰小夜子特集に携わり、小夜子に心酔していく。
②妊婦、石段転落死事件
2年前。
井原俊樹(福井博章)が浮気した女と歩いているところを、妻が目撃し、慌てて駆け下りようとして、足を滑らせ転落死。
出会い系サイトで知り合ったという女は、佳奈子で、転落直後の写真を撮り、「妊婦が何者かに突き落とされた」という記事をでっち上げた。
②′アポ電強盗殺人事件
2年前。石段転落死事件と同日同時刻。
須藤龍男(成田瑛基)は強盗の見張り役で、その最中、道路に飛び出そうとした少年を助ける。
その少年を危うく轢きそうになったのが小夜子。
龍男は警察やアポ電強盗の一味から逃れるため、石段転落事件の犯人は自分だと自供するが、小夜子が少年を助けたのがその男だと特命係に教え、真相を明らかにさせようとした。
偶然が多かった
・井原(転落死した妊婦の夫)が浮気したのが佳奈子(『プレス』の編集者)
・龍男(強盗の見張り役)は女性編集者の石段転落事件の記事を読んで、利用しようとした
・小夜子が、龍雄が少年を助けた時の当事者(少年を撥ねるところだった)
小夜子の思惑通り運んだようだが、かなりの偶然が重なっていた。
特に、佳奈子が出会い系サイトを介して井原と関係を持つのは、不自然。小夜子の指示で井原と関係を持ったのかと思ったが、妻の転落死は全くの偶発事故。
転落事故を殺人事件の疑惑をでっちあげたのが、小夜子主導なのか、佳奈子の独断なのか、はっきり分からなかったが、転落死の原因を作った井原が嘘をつき、罪の意識に苛まれるのを楽しんで見ていただけ。
強盗と転落事故がたまたま偶然に同時刻に起こり、たまたま見張り役が追及を逃れるために転落事故を利用して、それがありえないことを小夜子がたまたま知っていただけといのが真相。
意味深な小夜子の助言と、あとは偶然の連続で、あたかも小夜子が凄い洗脳者であるかのように見せかけた脚本だった。
【その他の疑問点など】
・転落事故直後の写真に、撮影者の傘が移り込んでいたのに気づいた右京は凄いと思うが、普通は編集の段階でトリミングするのではないだろうか?
・佳奈子が小夜子を崇拝している様(さま)は熱演だったが、大仰すぎ
第1話、第2話、第3話、第4話、第5話、第6話
【ストーリー】番組サイトより
“平成の毒婦”未決囚の遠峰小夜子が再来!
犯行を自供した男をかばう真意とは!?
2年前に起きたアポ電強盗殺人の被疑者が、空き家の床下から白骨遺体で発見された。捜査一課は、当時、事件を解決できなかったことに忸怩たる思いもあり、共犯者との仲間割れの線で、全容解明に乗り出す。
そんな中、2年前に妊婦が階段から転落死した事件について、別件で事情聴取を受けていた男が、自らの犯行を自供する。
しかし、弁護士の連城(松尾諭)を通じて、“平成の毒婦”と呼ばれる未決囚の女・遠峰小夜子(西田尚美)から、拘置所に呼び出された右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、驚くべき証言を聞く。妊婦が死亡した同じ日の同じ時刻、まったく別の場所で問題の男を目撃したのだという。
小夜子の“真意”をはかりかねつつも捜査を始めた右京と亘は、小夜子が男を目撃した場所と、2年前に起きたアポ電強盗殺人の事件現場が近接しているという事実を掴む。そこは同じ都内とはいえ、妊婦が転落死した場所と遠く離れているため、小夜子の証言が正しいとすれば、“同日同刻”に起きた妊婦の転落死に、問題の男が関与している可能性は、限りなくゼロに近づくのだが…!?
特命係VS人を操る女!!
2年前の出来事が意外な繋がりを見せる中、
予想だにしない驚きの事実が明らかになる!
ゲスト:西田尚美 松尾諭
脚本:山本むつみ
監督:橋本一
おっしゃるとおり、今回はいくつもの偶然が都合よく繋がって成り立っているストーリーでしたね。
『相棒ファン』というサイトの掲示板では軒並み高評価のレビューが並んでいて「そうかなあ?」と思っていました。
『聖戦』は私も見ていて腹立たしくなった記憶があります。Season9は名作が多かったのですが、この元日スペシャルはいただけなかったですね。
元日スペシャルはSeason5の『バベルの塔』とSeason10の『ピエロ』が双璧だと思います。
私事が立て込み、レスが遅くなってしまいました。申し訳ありません。
>今回はいくつもの偶然が都合よく繋がって成り立っているストーリーでしたね。
やはり、留置所から事件を支配するのは無理があるような気がします。
>元日スペシャルはSeason5の『バベルの塔』とSeason10の『ピエロ』が双璧だと思います。
確かに。
特に、『ピエロ』はお気に入りで、2回レビューを書いています。
『バベルの塔』も面白かったです。
他にもたくさん名作がありますね。いつか、ベスト20をまとめたいと思っています。