英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

20-21 Wリーグ プレーオフ ファイナル  トヨタ自動車初優勝! ENEOS12連覇ならず

2021-03-28 21:41:07 | スポーツ
トヨタ自動車がWリーグファイナルの第1戦、第2戦に連勝し、悲願のWリーグ初制覇! ENEOSの12連覇はならなかった

 ENEOSは吉田、大崎(旧姓・間宮)、藤岡の引退、故障の渡嘉敷、梅澤ガディシャ、大沼、その上、宮澤も肩の故障でスタメンから外れるという非常に苦しい情況。
 それでも、セミファイナルのデンソー戦を苦しみながらも連勝でファイナルに進んだ(第1戦第2戦)。チームとしての底力を感じさせた。
 トヨタ自動車は戦力、気力が充実。第1戦では富士通を圧倒、第2戦は富士通が健闘し接戦に持ち込まれたが、勝利をものにし、ファイナルに進出した。
 上記のように、ENEOSの苦しい情況、トヨタ自動車の充実ぶりから、ENEOSの12連覇はかなり難しい。ENEOSのファイナル勝利の確率は30%弱。ただし、第1戦をモノにすれば、12連覇は5割以上。第1戦を落とした場合、第2戦も敗れる可能性は高くなる(8割)が、もし、第2戦を勝てば、第3戦は分からなくなる……と見ていた。

 重要な第1戦は思いがけない展開となった。ENEOSのオフェンスは完全に封じられ、トヨタ自動車は悠々得点を重ねていく……何と!ENEOS 0ー21 トヨタ自動車
 ENEOSが序盤に大量リードを奪われることは、時折あった。しかし、0ー21 !……バスケットボール、否、スポーツにおいては、実力伯仲であっても勝負の流れというものがあるので、思わぬ大差がつくことは、間々ある。それでも、1点も取れずに、21点取られ続けとは……やられ過ぎ!一体、どこまでやられ続けるのだろうか?と心配になった。
 もちろん、完膚なきまでにやられることはなく、10点差前後まで盛り返す可能性は低くない。それでも、結局、15点差ぐらいで第1戦は終わるのではないか。渡嘉敷や吉田や大崎が健在なら、逆転可能と思えるが、現在のチーム状況では無理だろう。第2戦に繋がるゲームをして欲しい……などと、ENEOSを諦めるというファンにあるまじき不埒なことを考えていた。

 さて、ここで気になったのは、①《なぜ、こんなワンサイドなスコアになってしまったのか?》、②《1点差に迫れた要因》、③《あそこまで迫りながらも勝てなかった要素》の3点。
①なぜ、こんなワンサイドなスコア(0ー21)になってしまったのか?
 試合開始直後は、互いに硬さが見られたが、2回のオフェンスともトヨタ自動車(以下「トヨタ」と表記)がシュートまで持ち込めたのに対し、ENEOSは2連続のターンオーバー
 この後も、ENEOSがターンオーバーを繰り返す。対するトヨタはジャンプシュートなどをある程度の確率でシュートを決める。トヨタのオフェンスはそれほど良いとは思えなかったが、ENEOSがターンオーバーから速攻を決められてしまうというシーンが何度かあった。(あまり多いので数え損なっているかもしれないが)第1Qだけで8ターンオーバー。ターンオーバーが一番の要因だ
 でも、ENEOSのターンオーバーは、トヨタのディフェンスの厳しさによるものではないように思えた。確かに、多少、宮崎&中村のピック&ロールに素早く対処されていた面はあったが、《何となくドリブル》、《何となくパス》というようなハッキリとした意思を持たないプレーをした結果によるものだった。
 特に、ペイント陣の手薄さをカバーする活躍を期待された宮崎が精彩を欠いた。宮崎へのトヨタのディフェンスはシステム的にプレッシャーを強くしたようには見えなかったが、個々のマークマンが《抜かせない》《パスをさせない》という強い意志を持ってプレーしていた。その結果、宮崎のプレーするスペースや選択肢が狭められて、ターンオーバーを誘発した。
 宮崎のターンオーバーは、ENEOSのオフェンスのバリエーションの少なさに起因する。《宮崎のドライブ》、《宮崎のドライブからのパスアウト》、《スクリーンを利用した岡本の3Pシュート》、《中村が絡むピック&ロール》、《中村のパワープレー》ぐらいだろうか。トヨタディフェンスとしては注意する要素が少なく、オフェンスの起点となる宮崎の動きと岡本の3Pシュートに気を付ければよかった
 あと、ENEOSが一番警戒していた《トヨタにオフェンスリバウンドを取られて、セカンドチャンスで得点されるというシーン》は2度しかなった。……にも拘らず、ワンサイドスコアになってしまった。

②1点差に迫れた要因
 0ー21になる少し前に、中田と林に代えて宮澤藤本を起用
 その藤本が積極果敢にドライブしシュートをねじ込み(残り1分42秒)、ようやく2点。その後、膠着状態が続く中、やわらかいジャンプミドルシュートを決め、ENEOS 4ー21 トヨタ自動車で第1Q終了
 第2Qに入ると、ENEOSが積極的に攻める。岡本の強引なドライブ(ファールをもらい2スロー)、藤本速攻、オフェンスリバウンドから宮澤のシュートで、ENEOS 10ー23 トヨタ(残り6分30秒)
 その後も藤本の巧みなフェイクからのドライブ、岡本の3PシュートでENEOS 19ー27 トヨタ自動車(残り5分10秒)と8点差に
 トヨタも、河村、安間、ステファニー、永田、エブリン、山本と多彩なメンバーで得点を上げ、反撃、突き放すが、第2Q終盤、宮崎が左から2本、右から1本、ディフェンスをかわしてのドライブを決め、ENEOS 30ー37 トヨタ自動車の7点差で前半を終了。0ー21からよくここまで追い上げたものだ。
 トヨタは大量リードに安心したわけではないが、プレーがやや受け身になり、ターンオーバーも少し増えた
 ENEOSはこのクォーター、ターンオーバーが減り2つ(第ⅠQは8つ)、リバウンドも頑張り、ルーズボールなどの球際のプレーでも集中力のあるプレーを続けた

 第3Qはトヨタが第2Qの反省点を修正してきた
 まず、宮崎のドライブを徹底的に警戒し阻止(第3Qは宮崎のドライブを4度シュートブロック)。
 宮崎→岡本のパスミスを誘発するなどディフェンスも厳しくした。リバウンドへの集中力も高め(ENEOSは中村をベンチに下げていた)、セカンドオフェンスを増やす。
 残り7分~5分、スコアは34ー43と膠着したが、両チーム守り合い、見応えのある厳しい攻防を繰り広げた
 この均衡を、ステファニーが破る。シュートブロック、リバウンド、得点と躍動し、ENEOS 34ー47 トヨタ(残り4分2秒)
 この時間帯はENEOSの3Pシュートが決まらない。宮澤が3Pシュートを決めるも、リング下へステファニー→エブリンにパスを通されるなどで、ENEOS 38ー53 トヨタと15点差に。
 第3Q終盤、再び宮澤が3Pシュートを決め、ENEOS 41ー53 トヨタ自動車で第3Q終了

 第4Qに入ると、ENEOSがピッチを上げる。第2Q以降(特に第4Q)、ENEOSはディフェンスの足を止めない
 オフェンスも宮崎がドライブでファールをもらい2スロー。宮澤がオフェンスリバウンドを奪い、そのままシュート。さらに、もう一度リバウンド→シュートで、ENEOS 47ー53 トヨタ(残り5分20秒)。2度目のシュートはチャージングを取られても文句を言えない強引さだった(この試合を通じて、ファールに関してはENEOS 寄りの笛だった)
 トヨタは河村がオフェンスリバウンドからシュートを決めるが、オフェンス自体は単発だったり、24秒バイオレーションに陥るなど、停滞気味。
 ENEOSは一旦リング下に切り込んだ中村が、岡本のパスアウト。岡本が3Pシュートを決め、ENEOS 52ー55 トヨタ(残り5分55秒)
 さらに、エブリンのドリブルでリング下への持ち込みを宮澤が阻止し、仕方なしの三好の3Pシュートが外れ、そのリバウンドを岡本が運び、中村へバウンドパス。中村はターンして易々シュート!(ペイントゾーンにはトヨタでフェンスが4人いたにも拘らず)。これで、ついに1点差!ENEOS 54ー55 トヨタ、残り5分20秒
 迫られた要素として、トヨタは結構、フリースローを落としていた。(この試合、14ー19で73.7%)

③残り5分20秒の攻防
 トヨタのオフェンス。安間がサイドからドライブ。マークの岡本を振り切り、ヘルプの中村のファールを誘ってシュート。フリースローは外れて、ENEOS 54ー57 トヨタ、残り5分01秒
 ENEOS、なぜか45度の位置でほぼフリーの状態でいる岡本に宮沢がパス(トヨタがゾーンディフェンスだったのかも)。岡本、即座に3Pシュートを放つが、チェックに来た川村が気になったのかエアボール。
 アウトオブバウンドになりそうなところ、宮沢が飛び込んでボールをインコートに入れるが、これがトヨタに渡り、岡本をチェックに行ってややフロントコート側にいた川村が走って、パスをもらい、速攻を決める(ENEOS、やや不運)。ENEOS 54ー59 トヨタ、残り4分42秒。
 ENEOS・岡本、永田のマークを受けながらもドライブシュートをねじ込み、ENEOS 56ー59 トヨタ、残り4分23秒
 トヨタ、エブリンがジャンプシュートを決め、ENEOS 56ー61 トヨタ、残り4分13秒
 ENEOS・宮澤のドリブルで切り込んでのターンシュートを河村がブロック。
 トヨタのオフェンス。永田と河村のピックアンドロールが見事決まる。花道が走るように河村がシュート。ENEOS 56ー63 トヨタ、残り3分38秒。スクリーンに遮られた宮崎がスイッチして河村をマークすべきだったが、フリーにしてしまった。
 7点差となったが、まだ追いつくには十分の時間。宮崎がマークの永田を搔い潜ってドライブシュート。ファールをもらって3Pプレーとした。厳密に見ると、宮崎が永田の身体を左手で掻き分けているようにも見えるが、宮崎の軌跡がスムーズに円弧を描いていたので、ファールを取られにくかったのかも。それにしても、よく入れた。巧い。ENEOS 59ー63 トヨタ、残り3分25秒
 ここでトヨタ、ゾーンディフェンスに対し時間をかけてパスを回す。そしてショットクロック残り3秒で、ほぼフリーの状態でパスを受けた安間が3Pシュート。これがネットに沈み、ENEOS 59ー66 トヨタ、残り3分0秒
 ENEOS・中村、ドリブルしながら押し込み、シュート。これが惜しくも外れる。
 トヨタ・河村がやや遠い位置でのジャンプシュート。これが外れ、ENEOSが反転速攻。コーナーでパスを受けた岡本が3Pシュート。ENEOS 59ー66 トヨタ、残り2分9秒
 トヨタ・安間のフローターシュートが外れ、ドリブルで持ち込んだ宮崎がそのままドライブイン。シュートは外れたものの、ファールをもらう。2投とも決め、ENEOS 64ー66 トヨタ、残り1分35秒。再び肉薄するENEOS!
 ファールを取られたのは長岡だが、ほとんど宮崎の身体には触れていないように見えた。常々、長岡はこういうジャッジをもらうことが多いように思う。
 トヨタは動きの中でフリーを作ろうとパスを回す。うまくディフェンスの隙を作ってペイントのステファニーにパス。絶好のシュートチャンスに、中村がやむを得ずのファール。解説者は中村の寄せが遅いと言ったが、ステファニーのマークをしていた林がステファニーへのパスを通してしまったことが原因かと思ったが、エブリンのパスが巧かったのが主因であろう。
 ステファニーが1本外して、ENEOS 64ー67 トヨタ、残り1分14秒
 宮崎がドライブで切り込んでから、岡本へパスアウト。フリーの岡本、3Pシュート。しかし、外れる。リバウンドは宮崎の前に。ENEOS、再び、オフェンス。ペイントでパスを受けた宮澤がシュート。リバウンドを中村が取り、そのままバンクシュート!ENEOS 66ー67 トヨタ、1点差!残り、51秒
 ここで、思わぬ事が!
 スローインでパスを受けた安間が、ドリブルで動き出す際、自らの足に当ててしまい、アウトオブバウンド!ENEOSボールに。残り50秒。ドリブルしながら味方とのパスの間合いを図る宮崎。ピック&ロールでペイントに動いた中村にパスを送るが、直前の中村のスクリーンプレーで宮崎をマークすることになった河村が長身&長い手でボールに触り、軌道がわずかにずれ、エブリンがキャッチ。中村より遠い位置にいたエブリンの動きが俊敏だった。残り34秒。
 トヨタのオフェンス。ENEOSの厳しいディフェンスに攻めきれない感じだったが、ボールを持った三好が、リングまでENEOSのデイフェンスが3人いるのにもかかわらず、ドライブのアタック。2人をすり抜け、3人目の宮澤のファールをもらい、2スローをゲット!
 三好が落ち着いて2投とも沈め、ENEOS 66ー69 トヨタ、残り15秒
 ENEOSのオフェンス。残り時間を考えると3Pシュートを狙うのが妥当。ドリブルする宮崎、宮澤がピック&ロール気味に動いて、宮崎、宮澤のどちらかのシュートチャンスを作ろうとする。他の3人は、3Pラインの外側で開いてパスを待つ態勢。
 結局、宮崎がトヨタ・安間が宮澤の方に1歩動いた瞬間をとらえて、3ポイントシュート!……しかし、リングで弾かれて、リバウンドをエブリンがキャッチENEOS ファールしてプレイを止めるが、残り3秒で、3点リードのトヨタのフリースローとなっては勝負あり!
 エブリンが2本ともフリースローを決め、ENEOS 66ー71 トヨタの勝利。

 0ー21から、しかも戦力不足の中、こんな激闘に持ち込んだENEOSの底力!
 トヨタも追い込まれながら、よく踏みとどまった。
 ENEOSは1点差で残り50秒。思わぬ出来事からボール保持となった絶好機を生かせなかったのが痛かった。



第2戦もトヨタ自動車が競り勝ち、悲願の初優勝!
第2戦の詳細を書く気力がないので、ファイナルを通じた感想を。


【トヨタ自動車アンテロープス】
・とにかく、タレントが豊富。馬瓜エブリン、安間、馬瓜ステファニー、長岡、河村、山本、シラ、永田、三好、平下、ファイナルでは出番がなかったが脇もいる。
・ペイント陣は超強力。エブリンはリバウンドに得点に大車輪の活躍(MVPはエブリンだと個人的には思った)。ガードも安間がJXの大神を思わせるようなプレーでチームをけん引。山本も堅実なオフェンスを組み立てる。
・皆が、自分の果たすべき役割を理解してプレーしていた。
・エブリンと安間を中心に、皆が活躍した。使いこなすベンチワークも称賛に値する。


【ENEOSサンフラワーズ】
・故障者続出の中、ファイナル進出を果たし、ファイナルでは序盤の大量リードを諦めず、トヨタを追い込んだのは流石。
・第2戦の序盤も0-11と走られてしまったのはいただけない。最初、ゾーンディフェンスで意表を突いたが、2度のターンオーバーで点差を広げられてしまったのは残念。少なくとも、もう1プレー早くタイムアウトを取るべきだった。
・故障者が多く高さを欠き、リバウンドで苦戦。攻撃オプションも少なく、トヨタディフェンスに的を絞られた。
・オフェンスシステムとして、林、中田が機能していなかった。
・中村はパワーもあり器用でポテンシャルは高い。故障者続出のペイント陣の中、よく頑張ったが、トヨタのペイント陣が強力すぎた。ゲーム展開によって求められるプレーが変わることや、周囲を見てプレーを選択できるようになってほしい。パスのセンスは高いと思う。
・藤本は、宮澤タイプのいい選手になりそう。セミファイナルでは、ボックスアウトしきれずリバウンドを取られるシーンがよくあったが、ファイナルは大健闘。もう少し、プレー時間が長くても良かった。
・宮澤の肩の故障も痛かった。宮澤が支配や影響を与えるエリアが広く、宮澤がコートにいるとチームが締まる。セミファイナル、ファイナルでは、2戦目で精彩を欠いた。
 やはり、宮澤の消耗を考えると、中村・藤本・石原のユニットを使うべきのような気がした。
・今大会のような故障者続出の状態でも、吉田なら苦しい局面でもキラーパスを通していた気がする。(でも、今回のような高さのないチーム状況だと、吉田をもってしても苦しいかもしれない)
・宮崎、岡本も第2戦では疲労の影響が出ていた。
・宮崎はいいガードになったが、苦しい情況でオフェンスを組み立てることは難しかったようだ。ドライブの切れ味はリーグ1,2。
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