第1話「復活~口封じの死」
第2話「復活~死者の反撃」
第3話「復活~最終決戦」
第4話「贈る言葉」
第5話「光射す」
巷では、「この話を相棒で取り扱う話ではなかった」とか「特命係の必要性を感じなかった」という声が、ちらほら上がっていたが、相棒らしいテーマだった。
それに、特命係でなければ、村上まで辿り着けないと思われる。仮に、作家・福山光一郎(菅原大吉)から村上への容疑が浮かんでも、誤認逮捕するか、村上の自殺遺体を発見するのがせいぜいだろう。
さて、そのテーマであるが、
《殺人を犯した少年の更生に纏わる関係者の苦悩》……なかなか、一言ではまとめられないなあ。
①殺人は取り返しのつかない罪《若い女性の人生を奪った罪》《被害者家族に悲しみと喪失感を与え続ける罪》……被害者家族にとって、許し難く、憎しみは消えない
②犯人はその罪を一生背負って生きなければならない……更生して社会復帰しても、幸せになってはいけない?
大まかに言うと、上記の2点が主題となることが多い。
今話の場合、作家の福山が犯人を憎み、ペンを以って(小説を書くことで)、娘の敵を討とうとした。
また、上記2点に付随して、少年院の存在も関与してくる。
少年院は入所者の更生に重きを置き、更に、社会復帰の支援も行っている(少年刑務所や一般の刑務所では刑罰の執行を行う。社会復帰させる役割もあるが)。
となると、更生し社会復帰後は、社会人として暮らしていくことが前提となっていることになる。今話の村上(旧姓・野間口)のようにレストランを経営したり、結婚するというような一般人と同じように暮らすことができる。(と言うより、それが少年院の大きな役割・目的であろう)
入所生活をしたことで罪が清算されたと割り切って社会復帰していく者、表面上は反省・更生したように見せかけただけの者、再び罪を犯す者もいるだろうが、今回の村上は本当に罪を悔いていたようだ。
そこで、考えるのは……《どこまで罪が許されるのか?》ということ……背負った罪を背負いながらも、幸せを感じてはいけないのだろうか?ということ。もし、そういう感情が許されないのなら、少年院の意味がないように思える。それに、犯した罪を知り覚悟して結婚する妻(夫)は良いとして、産まれてくる子どもはどうなるのだろうか?
とは言え、殺害された娘は勿論、娘を失った両親の悲しみは埋めようがない。その上、少年犯罪の場合、名前や顔など明かされず、まさに“unknown”状態。
怒りをぶつける相手も分からないのである。
謝罪を受けることもできない(今話の場合も、謝罪の手紙はもらったが、名前も住所も告げられることはなかった。謝罪の気持ちは十分にあったようだが、それでは被害者側には謝罪の気持ちを感じられない)
そんな理不尽な怒りを、ペンに込めて福山はミステリー小説を執筆。
登場人物の名前を、駅から村上の店の通りの家の表札の名字にした。連載が進むにつれ、登場人物の姓が村上の店に迫って来る‥‥村上にとって、心臓にペンが突き刺さる恐怖だったのだろう。
福山はひと月前に村上の店を訪れ、村上とその妻に、自分の怒りをぶつける。
村上は深く自分の罪を悔いている様子。妻は夫の罪を自分が犯した罪のように謝罪する……
村上には、互いに愛し合い、欠かすことのできない大切な存在がいることを知った
ミステリーの結末(心理描写映像)は………
犯人・unknownを追い詰めたものの、unknownは霧散して消えてしまう(自殺したらしい)。
途方に暮れる主人公の刑事(姿は福山)に、労うように福山が手を添える。そこへ、殺された娘が駆け寄り、二人は抱き合い、消えていく………
unknownは「unknown」のままで終わった(終わらせた)
福山は村上夫婦を見て、許す気持ちが生じたのかもしれない。
完全に許せなかったとは思うが、主人公の刑事に対しても、福山自身に対しても、《もういいよ》という気持ちになったのだろう。
怒りや恨みから、福山は開放されたと解釈したい。
犯人は少年院の法務教官・三上(大川ヒロキ)
福山に「結婚して姓が変わった」「レストランを経営している」という情報を明かしてしまっていた。
今回の連載で、そのことが公になるとまずいと考え、連載を中止するよう福山に頼むが、「村上のことを思ってではなく、保身のためでしょう」と指摘され、逆上し殺害した。
福山の続けるつもりだった言葉を聞いていれば、殺害しなくても済んだかもしれないのに(でも、ミステリーフォンは、村上のことを嗅ぎ付けるような気もする)
少年を更生させる職務の法務教官が保身のため殺人を犯すのは、外道だ。(これでは、少年院の信頼は失墜)
しかも、強盗に見せかけるため、財布の百万円を抜き取るという偽装工作もしている。(指紋も拭き取ったのだろうか?)
【今回のポイント】
・登場人物が多く、しかも、重要ではない人物にまで名前を付けている
・端役で川上姓が二人(作者・福山のケアレスミスだと編集者は思ったが、実在の家と合致させるためだった)
・菅原大吉さんは、劇場版も含めると、7話目の相棒出演らしい(←ポイントではないような・笑)
【疑問点など】
・「結婚して姓が変わった」「旧姓は野間口(名前はけんいち)」「レストランを経営している」「類推できる年齢」だけから、店を特定できるのだろうか?
・あの抒情的文学のようなラストで、サスペンスファンが納得するのだろうか?
【ストーリー】番組サイトより
話題の小説と過去の事件に奇妙な符合が
虚構と現実が結びついた先にあるものとは
福山光一郎(菅原大吉)というベストセラー作家が、一人暮らしの自宅で刺殺された。警察は、もろもろの状況から強盗殺人の線で捜査を開始。
いっぽう右京(水谷豊)は、現場から新作の最終回の原稿が消えていることに疑問を抱く。その小説は、少女殺害事件の捜査にあたる老刑事が、正体不明の犯人を執念で追い詰めていくストーリーらしいのだが…。版元の編集者から話を聞いた右京と亘(反町隆史)は、新作の掲載を前に、福山が突然、出版社を乗り換えていたことを知る。さらに、福山は自著で、『小説が完結した時、失われた真実があぶりだされるだろう』という、謎めいた発言をしていた。
捜査を進めると、22年前、福山は、ある重大事件に巻き込まれていたことが判明。右京は、その事件と問題の小説に、共通点が存在していることに気づく。
未完小説に仕掛けられた“ルール”とは
読み解く鍵は、22年前に起きた凶悪事件に!?
右京の推理が時を超え、驚きの真実を導き出す!
ゲスト:菅原大吉
脚本:森下直
監督:橋本一
第2話「復活~死者の反撃」
第3話「復活~最終決戦」
第4話「贈る言葉」
第5話「光射す」
巷では、「この話を相棒で取り扱う話ではなかった」とか「特命係の必要性を感じなかった」という声が、ちらほら上がっていたが、相棒らしいテーマだった。
それに、特命係でなければ、村上まで辿り着けないと思われる。仮に、作家・福山光一郎(菅原大吉)から村上への容疑が浮かんでも、誤認逮捕するか、村上の自殺遺体を発見するのがせいぜいだろう。
さて、そのテーマであるが、
《殺人を犯した少年の更生に纏わる関係者の苦悩》……なかなか、一言ではまとめられないなあ。
①殺人は取り返しのつかない罪《若い女性の人生を奪った罪》《被害者家族に悲しみと喪失感を与え続ける罪》……被害者家族にとって、許し難く、憎しみは消えない
②犯人はその罪を一生背負って生きなければならない……更生して社会復帰しても、幸せになってはいけない?
大まかに言うと、上記の2点が主題となることが多い。
今話の場合、作家の福山が犯人を憎み、ペンを以って(小説を書くことで)、娘の敵を討とうとした。
また、上記2点に付随して、少年院の存在も関与してくる。
少年院は入所者の更生に重きを置き、更に、社会復帰の支援も行っている(少年刑務所や一般の刑務所では刑罰の執行を行う。社会復帰させる役割もあるが)。
となると、更生し社会復帰後は、社会人として暮らしていくことが前提となっていることになる。今話の村上(旧姓・野間口)のようにレストランを経営したり、結婚するというような一般人と同じように暮らすことができる。(と言うより、それが少年院の大きな役割・目的であろう)
入所生活をしたことで罪が清算されたと割り切って社会復帰していく者、表面上は反省・更生したように見せかけただけの者、再び罪を犯す者もいるだろうが、今回の村上は本当に罪を悔いていたようだ。
そこで、考えるのは……《どこまで罪が許されるのか?》ということ……背負った罪を背負いながらも、幸せを感じてはいけないのだろうか?ということ。もし、そういう感情が許されないのなら、少年院の意味がないように思える。それに、犯した罪を知り覚悟して結婚する妻(夫)は良いとして、産まれてくる子どもはどうなるのだろうか?
とは言え、殺害された娘は勿論、娘を失った両親の悲しみは埋めようがない。その上、少年犯罪の場合、名前や顔など明かされず、まさに“unknown”状態。
怒りをぶつける相手も分からないのである。
謝罪を受けることもできない(今話の場合も、謝罪の手紙はもらったが、名前も住所も告げられることはなかった。謝罪の気持ちは十分にあったようだが、それでは被害者側には謝罪の気持ちを感じられない)
そんな理不尽な怒りを、ペンに込めて福山はミステリー小説を執筆。
登場人物の名前を、駅から村上の店の通りの家の表札の名字にした。連載が進むにつれ、登場人物の姓が村上の店に迫って来る‥‥村上にとって、心臓にペンが突き刺さる恐怖だったのだろう。
福山はひと月前に村上の店を訪れ、村上とその妻に、自分の怒りをぶつける。
村上は深く自分の罪を悔いている様子。妻は夫の罪を自分が犯した罪のように謝罪する……
村上には、互いに愛し合い、欠かすことのできない大切な存在がいることを知った
ミステリーの結末(心理描写映像)は………
犯人・unknownを追い詰めたものの、unknownは霧散して消えてしまう(自殺したらしい)。
途方に暮れる主人公の刑事(姿は福山)に、労うように福山が手を添える。そこへ、殺された娘が駆け寄り、二人は抱き合い、消えていく………
unknownは「unknown」のままで終わった(終わらせた)
福山は村上夫婦を見て、許す気持ちが生じたのかもしれない。
完全に許せなかったとは思うが、主人公の刑事に対しても、福山自身に対しても、《もういいよ》という気持ちになったのだろう。
怒りや恨みから、福山は開放されたと解釈したい。
犯人は少年院の法務教官・三上(大川ヒロキ)
福山に「結婚して姓が変わった」「レストランを経営している」という情報を明かしてしまっていた。
今回の連載で、そのことが公になるとまずいと考え、連載を中止するよう福山に頼むが、「村上のことを思ってではなく、保身のためでしょう」と指摘され、逆上し殺害した。
福山の続けるつもりだった言葉を聞いていれば、殺害しなくても済んだかもしれないのに(でも、ミステリーフォンは、村上のことを嗅ぎ付けるような気もする)
少年を更生させる職務の法務教官が保身のため殺人を犯すのは、外道だ。(これでは、少年院の信頼は失墜)
しかも、強盗に見せかけるため、財布の百万円を抜き取るという偽装工作もしている。(指紋も拭き取ったのだろうか?)
【今回のポイント】
・登場人物が多く、しかも、重要ではない人物にまで名前を付けている
・端役で川上姓が二人(作者・福山のケアレスミスだと編集者は思ったが、実在の家と合致させるためだった)
・菅原大吉さんは、劇場版も含めると、7話目の相棒出演らしい(←ポイントではないような・笑)
【疑問点など】
・「結婚して姓が変わった」「旧姓は野間口(名前はけんいち)」「レストランを経営している」「類推できる年齢」だけから、店を特定できるのだろうか?
・あの抒情的文学のようなラストで、サスペンスファンが納得するのだろうか?
【ストーリー】番組サイトより
話題の小説と過去の事件に奇妙な符合が
虚構と現実が結びついた先にあるものとは
福山光一郎(菅原大吉)というベストセラー作家が、一人暮らしの自宅で刺殺された。警察は、もろもろの状況から強盗殺人の線で捜査を開始。
いっぽう右京(水谷豊)は、現場から新作の最終回の原稿が消えていることに疑問を抱く。その小説は、少女殺害事件の捜査にあたる老刑事が、正体不明の犯人を執念で追い詰めていくストーリーらしいのだが…。版元の編集者から話を聞いた右京と亘(反町隆史)は、新作の掲載を前に、福山が突然、出版社を乗り換えていたことを知る。さらに、福山は自著で、『小説が完結した時、失われた真実があぶりだされるだろう』という、謎めいた発言をしていた。
捜査を進めると、22年前、福山は、ある重大事件に巻き込まれていたことが判明。右京は、その事件と問題の小説に、共通点が存在していることに気づく。
未完小説に仕掛けられた“ルール”とは
読み解く鍵は、22年前に起きた凶悪事件に!?
右京の推理が時を超え、驚きの真実を導き出す!
ゲスト:菅原大吉
脚本:森下直
監督:橋本一
今シーズンでは一番良かったと思いました。1~5話が不満の残る内容だっただけに、余計にそう思いました。
殺人を犯した少年の更生に纏わる関係者の苦悩。難しいテーマだと思いますが、罪を犯した側と遺族側それぞれの苦悩をうまく描いていたと思いました。
真犯人は、女性編集者か法務教官のどちらかだろうな、と思っていました。結局法務教官の方でしたね。
unknownを「unknown」のまま終わらせるということを犯人に伝えていれば、という思いはありますが、決定的な証拠となる原稿を処分せずに持っていたのは、自らの罪を悔いたのだと思いたいです。
菅原大吉さんは7度目の出演ですか。菅原さんの奥さんは「ピンクの電話」の竹内都子さんだそうですね。そういえば竹内都子さんも「相棒」出演経験がありますね。
ちなみに、村上を演じた斉藤悠さんは斎藤洋介さん(故人)の息子さんだそうです。お父さんも「相棒」出演歴ありですね。
それにしても、村上の奥さんは本当にいい人だなあと思いました。村上が更生できたのは、奥さんの存在も大きかったと思います。
最後に【今回のポイント】の二つ目、「端役で三上姓が二人」とあるのは、「川上姓」ではないかと思います。
私も一番面白かったと思います。
>殺人を犯した少年の更生に纏わる関係者の苦悩。難しいテーマだと思いますが、罪を犯した側と遺族側それぞれの苦悩をうまく描いていたと思いました。
ええ、そう思います。
実は、今回、深くて、レビューに苦労しました。
>結局法務教官の方でしたね。
最初、登場した時、思いっきりとぼけていましたね。
少年法云々と宣って(のたまって)いましたし。
>決定的な証拠となる原稿を処分せずに持っていたのは、自らの罪を悔いたのだと思いたいです。
ええ、燃やせなかったのは良心が残っていたのでしょう。
>菅原さんの奥さんは「ピンクの電話」の竹内都子さんだそうですね
そうなんですか! ちょっと、びっくり。
>村上が更生できたのは、奥さんの存在も大きかったと思います。
同感です。いい人ですね。
>「端役で三上姓が二人」とあるのは、「川上姓」ではないかと
これこそ、ケアレスミスでした。
ご指摘、ありがとうございました。