「続・女流棋士の濫造」の続きです。
前記事で載せましたが、まず、
【2023年度、2024年度の2年間(2023年4月1日~2025年3月31日)の成績】です。(縦に長いです。ご容赦ください)
2015年度プロ入り(段級位は現在のモノ)
中澤沙耶女流二段 21勝24敗 .467
高浜愛子女流初段 19勝22敗 .463
2016年度プロ入り
山口絵美菜(女流1級) 退会
川又咲紀 女流初段 10勝14敗 .417
石本さくら女流二段 34勝35敗 .493
頼本奈菜 女流初段 21勝26敗 .447
カロリーナ・フォルタン 引退
※堀 彩乃 女流初段 23勝24敗 .489
2017年度プロ入り
武富礼衣 女流初段 19勝27敗 .413
小高佐季子女流初段 27勝28敗 .491
2018年度プロ入り
水町みゆ 女流初段 15勝16敗 .486
藤井奈々 女流初段 17勝27敗 .413
加藤 圭 女流二段 23勝32敗 .418
加藤結李愛女流二段 37勝24敗 .607
脇田菜々子女流初段 20勝25敗 .444
※礒谷真帆 女流初段 19勝24敗 .442
2019年度プロ入り
☆加藤桃子 女流四段 66勝39敗 .629
山口仁子梨女流1級 17勝27敗 .386
2020年度プロ入り
和田はな 女流1級 22勝32敗 .407
野原未蘭 女流二段 50勝30敗 .625
内山あや 女流初段 51勝30敗 .630
山口稀良莉女流1級 18勝23敗 .439
2021年度プロ入り
☆西山朋佳 女流三冠 78勝23敗 .772
大島綾香 女流二段 47勝31敗 .603
※田中沙紀 女流1級 19勝26敗 .422
佐々木海法女流初段 25勝21敗 .543
岩佐美帆子女流1級 22勝26敗 .458
2022年度プロ入り
榊 菜吟 女流2級 12勝27敗 .308
鎌田美礼 女流2級 13勝27敗 .325
木村朱里 女流初段 28勝24敗 .538
梅津美琴 女流1級 26勝23敗 .531
松下舞琳 女流初段 34勝20敗 .630
久保翔子 女流1級 20勝20敗 .500
☆今井 絢 女流初段 44勝29敗 .603
2023年度プロ入り
宮澤紗希 女流初段 32勝18敗 .640
森本理子 女流2級 18勝19敗 .486
砂原 奏 女流2級 16勝16敗 .500
※磯谷祐維 女流初段 22勝 7敗 .758
崎原知宙 女流1級 8勝14敗 .364
伊藤真央 女流2級 4勝13敗 .235
◇竹内優月 女流2級 8勝 9敗 .471
2024年度プロ入り
岩崎夏子 女流2級 8勝10敗 .444
☆中 七海 女流三段 8勝 1敗 .889
八木日和 女流2級 1勝 0敗 1.00
☆奨励会より編入
※LPSA所属
◇奨励会員
今回の記事を書くに当たり、以前書いたシリーズの関連記事を読み直した。
女流棋士考 その12「女流棋士の濫造?⑧ 新人、若手~中堅棋士」は2年前の記事で、中堅棋士まで広げています。なので、今回記事とは、対象棋士が若干ズレている。
前記事でも書いたが、この時の記事で好成績を上げている女流棋士は、現在もそれを維持か、更に躍進しているように思う。
2018年度以降のプロ入り女流棋士では、西山女流三冠、加藤桃子女流四段は別格として、大島女流二段(←最近は停滞しているが)、内山女流初段は活躍めざましい。また、奨励会より編入から日が浅い今井絢女流初段、中七海女流三段は実力を示し、プロ入り時点で自力があると思われていた野原女流二段、磯谷女流初段も好成績。加藤結李愛女流二段も力を伸ばしている。
一方、この記事で勝率5割を切る女流棋士、さらに、もっと低勝率の女流棋士は、同じように勝率4割台、3割台と苦戦している。
正直言うと、実は、もっと3割台の女流棋士が多く、2割台棋士も3~5人いると思っていた。
実際は、4割台19人、3割台4人、2割台1人で、負け越している女流棋士が、対象41人中24人で58.5%。2015年度以降の女流棋士は25人だが、八木女流2級はまだ1局なので除外した。ちなみに、5割台が5人、6割台が7人、7割台が2人、8割台が1人。8割台は中七海女流三段で8勝1敗 .889。1敗は磯谷女流初段(22勝 7敗 .758)。西山女流三冠は78勝23敗 .772。
5割(指し分け)が2人いて、これを4割台に含める……つまり、“指し分け以下”で括ると26人。対象棋士の63.4%にな3.
何が言いたいかというと………
指し分け程度の成績だと、順位戦や挑戦者決定のリーグ戦で挑戦者や昇級は起こりえない。挑戦者決定トーナメントに於いても然り。予選のトーナメントであれば、抽選に恵まれたり、好調時に合致して、勝ち抜けるということはあるだろうけれど。
《いや、タイトル挑戦に絡むことがすべてではない。プロの世界で4割勝つ事を評価してもいいのでは》という考えも、否定できない。
しかし、この4割台(指し分けを除く正味の4割台)の棋士の比率が46%いることが問題なのだ。
どういう事かというと……
日本将棋連盟の個人の棋士データ(成績、昇段歴など)で竹部女流四段をクリックする。
竹部女流四段の昨年度の成績は、6勝13敗 .315、2年間でも12勝24敗 .333。10局指して3回強勝つという勝率だ。本来なら、4割程度の女流棋士を例に挙げるべきだが、仮にも女流四段でABEMAにも聞き手として何度も登場する実力者なので、やり玉 例に挙げても良いだろう。
この個人データに「対局結果」として最近10局の戦績が示される。竹部女流の場合、直近が「4月1日、●(負け)、対戦相手・礒谷真帆、棋戦・大山名人杯倉敷藤花戦」という具合に、10局のデータが示される。竹部女流の場合、3勝7敗で昨年度の勝率とほぼ同じで、ある意味順当。
で、勝った3局の対局者というのが、昨年度勝率で言うと、.368、.429、.478という具合になる。そこで、.429の女流棋士の名前をクリックすると、同様に棋士データが示されるはずだが、.429の女流棋士はLPSA所属なので、リンクが張られていない。そこで、.478の女流棋士をクリックすると、最近の成績は2勝8敗(勝った相手の勝率は.368、.235)。さらに、.235の女流棋士をクリックすると(.368の女流は前出のLPSA棋士)、1勝9敗(勝った相手は.250)。もっと辿りたかったが、勝った一人がLPSA棋士でリンクが途絶える)
もう1回試してみる。2年間の勝率.439の女流棋士。(.439という勝率が適度に思えた。他意はありません)
最近10局の成績は6勝4敗、クリック前の予想より、かなり良い。勝った相手の昨年度の勝率は、.450、.316、.522、.357、.316、.545。勝ち越し棋士に2勝しているので、私の期待したデータではないというのが正直のところ。それでも、続けて、.450の女流棋士をクリック。成績は3勝7敗。勝った相手の勝率は.444、.400、.435。.444の女流棋士をクリック、成績は4勝6敗。勝った相手の勝率は、.368、アマ、.421、.676。.421の女流棋士をクリックすると、4勝6敗。勝った相手の勝率は、.400、.545、.350、.429。さらに……
たまに上位棋士に勝つ事もあるが、ほぼ同格の女流棋士から勝ち星を上げている。
勝ち星しか記さなかったが、負け星は上位棋士や同格に喫している。
大雑把に言うと、《同格棋士がたくさんいるので、同格棋士との対局が多くなる。そこで指し分けの成績を挙げれば、4割を超える》という定跡(法則)だ。
これが、低勝率者が思ったより少なかった理由だと考える。
若手棋士や下位の棋士は、予選の下部から対局が付くので、当然、同格棋士との対局が多く、女流プロ入りした時点で棋力が高ければ、かなりの高勝率になる。
逆に、若手の頃に勝率が低いというのは……
続くのかは不明……(続きました)
前記事で載せましたが、まず、
【2023年度、2024年度の2年間(2023年4月1日~2025年3月31日)の成績】です。(縦に長いです。ご容赦ください)
2015年度プロ入り(段級位は現在のモノ)
中澤沙耶女流二段 21勝24敗 .467
高浜愛子女流初段 19勝22敗 .463
2016年度プロ入り
山口絵美菜(女流1級) 退会
川又咲紀 女流初段 10勝14敗 .417
石本さくら女流二段 34勝35敗 .493
頼本奈菜 女流初段 21勝26敗 .447
カロリーナ・フォルタン 引退
※堀 彩乃 女流初段 23勝24敗 .489
2017年度プロ入り
武富礼衣 女流初段 19勝27敗 .413
小高佐季子女流初段 27勝28敗 .491
2018年度プロ入り
水町みゆ 女流初段 15勝16敗 .486
藤井奈々 女流初段 17勝27敗 .413
加藤 圭 女流二段 23勝32敗 .418
加藤結李愛女流二段 37勝24敗 .607
脇田菜々子女流初段 20勝25敗 .444
※礒谷真帆 女流初段 19勝24敗 .442
2019年度プロ入り
☆加藤桃子 女流四段 66勝39敗 .629
山口仁子梨女流1級 17勝27敗 .386
2020年度プロ入り
和田はな 女流1級 22勝32敗 .407
野原未蘭 女流二段 50勝30敗 .625
内山あや 女流初段 51勝30敗 .630
山口稀良莉女流1級 18勝23敗 .439
2021年度プロ入り
☆西山朋佳 女流三冠 78勝23敗 .772
大島綾香 女流二段 47勝31敗 .603
※田中沙紀 女流1級 19勝26敗 .422
佐々木海法女流初段 25勝21敗 .543
岩佐美帆子女流1級 22勝26敗 .458
2022年度プロ入り
榊 菜吟 女流2級 12勝27敗 .308
鎌田美礼 女流2級 13勝27敗 .325
木村朱里 女流初段 28勝24敗 .538
梅津美琴 女流1級 26勝23敗 .531
松下舞琳 女流初段 34勝20敗 .630
久保翔子 女流1級 20勝20敗 .500
☆今井 絢 女流初段 44勝29敗 .603
2023年度プロ入り
宮澤紗希 女流初段 32勝18敗 .640
森本理子 女流2級 18勝19敗 .486
砂原 奏 女流2級 16勝16敗 .500
※磯谷祐維 女流初段 22勝 7敗 .758
崎原知宙 女流1級 8勝14敗 .364
伊藤真央 女流2級 4勝13敗 .235
◇竹内優月 女流2級 8勝 9敗 .471
2024年度プロ入り
岩崎夏子 女流2級 8勝10敗 .444
☆中 七海 女流三段 8勝 1敗 .889
八木日和 女流2級 1勝 0敗 1.00
☆奨励会より編入
※LPSA所属
◇奨励会員
今回の記事を書くに当たり、以前書いたシリーズの関連記事を読み直した。
女流棋士考 その12「女流棋士の濫造?⑧ 新人、若手~中堅棋士」は2年前の記事で、中堅棋士まで広げています。なので、今回記事とは、対象棋士が若干ズレている。
前記事でも書いたが、この時の記事で好成績を上げている女流棋士は、現在もそれを維持か、更に躍進しているように思う。
2018年度以降のプロ入り女流棋士では、西山女流三冠、加藤桃子女流四段は別格として、大島女流二段(←最近は停滞しているが)、内山女流初段は活躍めざましい。また、奨励会より編入から日が浅い今井絢女流初段、中七海女流三段は実力を示し、プロ入り時点で自力があると思われていた野原女流二段、磯谷女流初段も好成績。加藤結李愛女流二段も力を伸ばしている。
一方、この記事で勝率5割を切る女流棋士、さらに、もっと低勝率の女流棋士は、同じように勝率4割台、3割台と苦戦している。
正直言うと、実は、もっと3割台の女流棋士が多く、2割台棋士も3~5人いると思っていた。
実際は、4割台19人、3割台4人、2割台1人で、負け越している女流棋士が、対象41人中24人で58.5%。2015年度以降の女流棋士は25人だが、八木女流2級はまだ1局なので除外した。ちなみに、5割台が5人、6割台が7人、7割台が2人、8割台が1人。8割台は中七海女流三段で8勝1敗 .889。1敗は磯谷女流初段(22勝 7敗 .758)。西山女流三冠は78勝23敗 .772。
5割(指し分け)が2人いて、これを4割台に含める……つまり、“指し分け以下”で括ると26人。対象棋士の63.4%にな3.
何が言いたいかというと………
指し分け程度の成績だと、順位戦や挑戦者決定のリーグ戦で挑戦者や昇級は起こりえない。挑戦者決定トーナメントに於いても然り。予選のトーナメントであれば、抽選に恵まれたり、好調時に合致して、勝ち抜けるということはあるだろうけれど。
《いや、タイトル挑戦に絡むことがすべてではない。プロの世界で4割勝つ事を評価してもいいのでは》という考えも、否定できない。
しかし、この4割台(指し分けを除く正味の4割台)の棋士の比率が46%いることが問題なのだ。
どういう事かというと……
日本将棋連盟の個人の棋士データ(成績、昇段歴など)で竹部女流四段をクリックする。
竹部女流四段の昨年度の成績は、6勝13敗 .315、2年間でも12勝24敗 .333。10局指して3回強勝つという勝率だ。本来なら、4割程度の女流棋士を例に挙げるべきだが、仮にも女流四段でABEMAにも聞き手として何度も登場する実力者なので、
この個人データに「対局結果」として最近10局の戦績が示される。竹部女流の場合、直近が「4月1日、●(負け)、対戦相手・礒谷真帆、棋戦・大山名人杯倉敷藤花戦」という具合に、10局のデータが示される。竹部女流の場合、3勝7敗で昨年度の勝率とほぼ同じで、ある意味順当。
で、勝った3局の対局者というのが、昨年度勝率で言うと、.368、.429、.478という具合になる。そこで、.429の女流棋士の名前をクリックすると、同様に棋士データが示されるはずだが、.429の女流棋士はLPSA所属なので、リンクが張られていない。そこで、.478の女流棋士をクリックすると、最近の成績は2勝8敗(勝った相手の勝率は.368、.235)。さらに、.235の女流棋士をクリックすると(.368の女流は前出のLPSA棋士)、1勝9敗(勝った相手は.250)。もっと辿りたかったが、勝った一人がLPSA棋士でリンクが途絶える)
もう1回試してみる。2年間の勝率.439の女流棋士。(.439という勝率が適度に思えた。他意はありません)
最近10局の成績は6勝4敗、クリック前の予想より、かなり良い。勝った相手の昨年度の勝率は、.450、.316、.522、.357、.316、.545。勝ち越し棋士に2勝しているので、私の期待したデータではないというのが正直のところ。それでも、続けて、.450の女流棋士をクリック。成績は3勝7敗。勝った相手の勝率は.444、.400、.435。.444の女流棋士をクリック、成績は4勝6敗。勝った相手の勝率は、.368、アマ、.421、.676。.421の女流棋士をクリックすると、4勝6敗。勝った相手の勝率は、.400、.545、.350、.429。さらに……
たまに上位棋士に勝つ事もあるが、ほぼ同格の女流棋士から勝ち星を上げている。
勝ち星しか記さなかったが、負け星は上位棋士や同格に喫している。
大雑把に言うと、《同格棋士がたくさんいるので、同格棋士との対局が多くなる。そこで指し分けの成績を挙げれば、4割を超える》という定跡(法則)だ。
これが、低勝率者が思ったより少なかった理由だと考える。
若手棋士や下位の棋士は、予選の下部から対局が付くので、当然、同格棋士との対局が多く、女流プロ入りした時点で棋力が高ければ、かなりの高勝率になる。
逆に、若手の頃に勝率が低いというのは……
続くのかは不明……(続きました)