ドラマ冒頭、夜明け前の岸壁、若い女性が走り寄り……
「嘆息・歎息」「涕泣」「嗚咽」「慟哭」
これらは、その女性の行為を順に現した言葉だ。
しかも、感情を添えて説明・表現している。
夜明け前の暗い場景の中、悲しみに沈みもがき、泣く……
その情景に、その都度
お えつ【嗚咽】(名)
声を詰まらせて泣くこと。
などの字幕が重ねられる。
女性の悲しい気持ちに重なり……陰鬱。
正直、《最悪だ…観るのやめようかな》と思った。
日曜日に録画したスポーツ中継やドラマの再生を止めた時、時々、目にしたドラマ。
すぐ次の再生を始めるまでの一分弱、《面白そうだな》とは思ったが、途中から観るのも中途半端。
《NHKだから、そのうち、再放送があるだろう》と思っていたら、先日、まとめて再放送していた。
取りあえず録画したが、放置。リアルタイムで録画した5話までがハードディスクに溜まった。ハードディスクの容量残が少なくなったので、第1話を観て、面白くなかったら消去するつもりだった。
で、冒頭のシーン……
思いとどまり、とにかく、1話見よう。………面白かった。
(ドラマの説明は、番組サイトにお任せします↓)
【番組サイトより引用】
誰もが一度は手にしたことのあるぶ厚い本、辞書。一見淡々と言葉が敷き詰められたように見える辞書の裏には、「作り手」の想像を絶する情熱と心血が注がれています。
「ヤバい」に無数の意味を持たせ、込み入った会話は簡略化。空気を読み、雰囲気で済ませてしまいがちな昨今。そんな時代だからこそ、言葉にこだわる辞書作りの魅力を通し、”言葉は誰かを傷つけるためではなく、誰かを守り、誰かとつながるためにある”という未来への希望を伝えたい。
原作の主人公・馬締ではなく、新入り社員・岸辺みどりの視点で描く、まったく新しい『舟を編む』。全10話で放送します。
【あらすじ】
大人気ファッション誌の編集部員・岸辺みどり。雑誌の廃刊が決まり、突如異動になった先は辞書編集部!そこは、ぼさぼさ頭で超がつくほどの生真面目上司・馬締光也を筆頭に、くせ者ぞろい。みどりは、彼らに翻弄されながらも、一冊の辞書を作るために十数年間に及ぶ時間と手間をかける根気と熱意に触発され、次第に自らも言葉の魅力を発見、辞書編さんの仕事にのめり込んでいく。辞書「大渡海」を完成させるまでの、辞書編集部員たちの奮闘物語。
【放送予定】2024年2月18日(日)スタート〈全10話〉毎週日曜よる10時~10時49分(NHK BSプレミアム4K・NHK BS)
【原作】三浦しをん 『舟を編む』
【脚本】蛭田直美(全話) 塩塚夢(第5話共同執筆)
【音楽】Face 2 fAKE
【演出】塚本連平 麻生学 安食大輔
【出演】池田エライザ 野田洋次郎 ほか
【制作統括】高明希(AX-ON) 訓覇圭(NHK)
【プロデューサー】岡宅真由美(アバンズゲート) 西紀州(AX-ON)
言葉にまつわる心に響く言葉が多かった。
たくさん述べたいが、とても大変なので端折ります…
「なんて」……ヒロイン・岸辺みどりがよく口にする言葉。無意識に使ってしまっていて、無自覚に人を傷つけていた
(感嘆の気持ちを強調する”副詞”もあるが)
副助詞として――次に来る動作・内容を、軽視する気持ちを込めて例示する
副詞として―――軽視する気持ちを込めて、同格の関係で次の語を修飾する
副助詞として――無視または軽視する気持ちを込めて、事柄を例示する。
「ああ、ごめん。ご飯食べてる時間なんて、ないかも」(せっかく、同棲している恋人が作ってくれた朝食を前にして)
「ほんと助かる。朝から電話する余裕なんてないからさぁ」(人気料理店の予約をしてくれた友人に対して)
「言葉と説明が並んでいるだけですよね、辞書なんて」
「辞書なんて、どれも同じだと思っていたんです」
「あとにして、カメラなんて」
「また朝日………綺麗だけどさ…ごめん、て言うか……ありふれているっていうか……大事だと思うんだよね、被写体のインパクトって。結構みんな撮ってんじゃん、朝日なんてさ」(思い入れのある朝日をテーマで写真コンテストを勝負しようとする恋人に対して)
単に言葉に無頓着なのだろうと思う。優しい面も多いし、強引なところもない。
でも、言葉に無頓着というのは、人の気持ちを思いやらないことにつながる。
彼がキレた場面などは、酷い。↓
「おれが馬鹿にされるのは“しょうがない”と思ってる。夢だけ語って、結果出せなくて…。けど、俺が撮りたいと思っているものまで、馬鹿にしなくても」
「待って、してないよ。してないって、馬鹿になんて」
「してるよ」
「いや、してないって。してたら、ウチにおいでよとか言わないし、家賃とか食費なんて出してないって」
「思ってるよ、マジで情けないって」
「言ってないじゃん、そんなこと。馬鹿になんて」
「してるよっ!……ごめん、コンビニ行ってくるね」
辞書編集部に異動してきた岸辺みどりの歓迎会で、「“右を説明しろ”と言われたらどうする?と問われて、みどりは、お品書きの裏に「→」書いて、皆に見せた。
一同、呆れたような顔になり、場はしらけた?……
みどりは、場を取りつくように、言い訳をしたが
「私、知らないんです。辞書のことなんて、何も…
辞書なんて持ってないし、欲しいとも思ったことないし。
馬締さん(編集長)に貰った辞書も、読んでないというか、正直、すいません、袋から出してもなくて…
国語の成績もずっと悪かったし、ミラクルだったんです、玄武書房に入れたのも。入りたかったのも、別に本作りたいとかじゃなくて、ファッション誌に関わりたくて……
だから、作りたいなんて思ったこともないです、辞書なんて」
バチン!(バイトの青年がキレてテーブルを叩く)
「いい加減にしろよ、この人たちの前で、辞書馬鹿にするんじゃんねえよ!」
「してない!」
「したじゃねえかっ!」
「馬鹿になんて…」
恋人が怒って出ていった理由を考えなかったのだろうなあ。
同じパターンをここまで繰り返して、ようやく、思い当たるみどり。
バイト君が出ていき、契約社員のおばさん(ごめん)と社外編集員の初老の男性(ごめん)が彼をとりなしに追う。
馬締氏と日本語学者・監修者の松本朋佑(柴田恭兵)が残る。
後悔の念に沈むみどりに、松本が突然、
「げきおこ(激おこ)、ぷんぷんまる!」
「少し気持ちが軽くなりませんか?
“天童君(バイト君)が怒った”と言うよりも、“天童君が、げきおこぷんぷんまる”と言う方が。
もちろん、真摯に受け止めなければならない怒りはあります。真剣に怒ってくれた天童君には申し訳ないんですが…
げきおこ…ゲキオコ、プンプンッマルッ!
私大好きなんです、この言葉。この言葉がどれだけの人の心を軽くしてきたか…その健気さを想うと、涙すら出そうになります」
「わたし、馬鹿になんてしているつもり、ほんとになくて……
でも、思われちゃうんです、なぜか、そう思わせちゃう何か、“悪い言葉”を使ってしまっているんだと思います、無意識に」
「不思議ですよね、言葉って。
どんなに尽くしても、何一つ伝わらないこともあれば、たった一つの言葉で、千も万も伝えられることもある。
全く意図していないことを言葉が勝手に伝えてしまうこともある。
でも、この世に“悪い言葉”は存在しませんよ」(馬締氏)
「馬締さんの言う通りです。
全ての言葉には、その言葉が生まれてきた理由があります。
誰かが誰かに何かを伝えたくて、伝えたくて、必要に迫られて生れて来たんです。
悪いのは言葉ではありません。選び方と使い方です。
私思うんです、岸部さん。辞書は…言葉の海を渡る舟だと。
人は辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かび上がる小さな光を集める。
最もふさわしい言葉で、正確に、思いを誰かに届けるために。
もし、辞書がなかったら、私たちはぼうわくとした大海原を前に、佇むほかないでしょう。
だから………“大海を渡る”…それにふさわしい舟を編む。
それが私たちの仕事です。
岸部さん、あなたの柔軟さが私たちの舟を、より強くしてくれるでしょう」
「柔軟さ……いえ、そんな…私なんて全然…」(皆は、“右”の語釈を矢印で表現したみどりの柔軟さを感心した)
「“なんて”……気が向いたら、その言葉、“なんて”を辞書で引いてみてください。
辞書はあなたを褒めもしませんが、決して責めたりもしません。安心して開いてみてください」
……で、辞書で引いてみて、自分の口癖の“なんて”の罪を悟るのだが、遅すぎ!
それに、「なんて」を使わなくても、「辞書を欲しいと思ったこともない」云々は酷い!
「右」の語釈……辞書編集部に異動してきた岸辺みどりの歓迎会で、「“右を説明しろ”と言われたらどうする?と問われて
➀矢印「→」
②「“朝日を見ながら泣いた時、暖かい風に吹かれて、先に涙が乾く側の頬っぺた”……それが、“右”です……」(冒頭の慟哭のシーンは、歓迎会の夜、彼に別れを告げられ、彼の好きな朝日を観に行った時のモノだった)
「“なんて”……なんて素敵な“右”でしょう!」と返す馬締氏。
辞書「大都会」の真意は……「大渡海」だった。
【参考?】
「やばい」(以下の表記は辞書での説明ではなく、登場人物が恋愛ドラマを観ての感想で使用した「やばい」の使用例)
➀意外性があって面白かった……「やばいよね、あのラスト」
②危険だ。怖い……「やばいよね、あんな人、隣に住んでいたら」
③素敵、かっこいい……「あそこで助けに来てくれるの、やばいよね」
ちなみに、1985年版旺文社『国語辞典』には
《俗》危険だ。あぶない。
とだけ。
【第1話・あらすじ】
岸辺みどり(池田エライザ)は、大手出版社・玄武書房のファッション誌編集者。仕事熱心だが、ある日突然、辞書編集部への異動を命じられ、知らない言葉にやたら食いつく上司・馬締光也(野田洋次郎)や日本語学者の松本先生(柴田恭兵)、社外編集の荒木(岩松了)らと共に、玄武書房初の中型辞書「大渡海」の編纂に関わることになる。
慣れない辞書作りに戸惑うみどりには、同棲中の恋人・昇平(鈴木伸之)が唯一の癒やしだが…。
「嘆息・歎息」「涕泣」「嗚咽」「慟哭」
これらは、その女性の行為を順に現した言葉だ。
しかも、感情を添えて説明・表現している。
夜明け前の暗い場景の中、悲しみに沈みもがき、泣く……
その情景に、その都度
お えつ【嗚咽】(名)
声を詰まらせて泣くこと。
などの字幕が重ねられる。
女性の悲しい気持ちに重なり……陰鬱。
正直、《最悪だ…観るのやめようかな》と思った。
日曜日に録画したスポーツ中継やドラマの再生を止めた時、時々、目にしたドラマ。
すぐ次の再生を始めるまでの一分弱、《面白そうだな》とは思ったが、途中から観るのも中途半端。
《NHKだから、そのうち、再放送があるだろう》と思っていたら、先日、まとめて再放送していた。
取りあえず録画したが、放置。リアルタイムで録画した5話までがハードディスクに溜まった。ハードディスクの容量残が少なくなったので、第1話を観て、面白くなかったら消去するつもりだった。
で、冒頭のシーン……
思いとどまり、とにかく、1話見よう。………面白かった。
(ドラマの説明は、番組サイトにお任せします↓)
【番組サイトより引用】
誰もが一度は手にしたことのあるぶ厚い本、辞書。一見淡々と言葉が敷き詰められたように見える辞書の裏には、「作り手」の想像を絶する情熱と心血が注がれています。
「ヤバい」に無数の意味を持たせ、込み入った会話は簡略化。空気を読み、雰囲気で済ませてしまいがちな昨今。そんな時代だからこそ、言葉にこだわる辞書作りの魅力を通し、”言葉は誰かを傷つけるためではなく、誰かを守り、誰かとつながるためにある”という未来への希望を伝えたい。
原作の主人公・馬締ではなく、新入り社員・岸辺みどりの視点で描く、まったく新しい『舟を編む』。全10話で放送します。
【あらすじ】
大人気ファッション誌の編集部員・岸辺みどり。雑誌の廃刊が決まり、突如異動になった先は辞書編集部!そこは、ぼさぼさ頭で超がつくほどの生真面目上司・馬締光也を筆頭に、くせ者ぞろい。みどりは、彼らに翻弄されながらも、一冊の辞書を作るために十数年間に及ぶ時間と手間をかける根気と熱意に触発され、次第に自らも言葉の魅力を発見、辞書編さんの仕事にのめり込んでいく。辞書「大渡海」を完成させるまでの、辞書編集部員たちの奮闘物語。
【放送予定】2024年2月18日(日)スタート〈全10話〉毎週日曜よる10時~10時49分(NHK BSプレミアム4K・NHK BS)
【原作】三浦しをん 『舟を編む』
【脚本】蛭田直美(全話) 塩塚夢(第5話共同執筆)
【音楽】Face 2 fAKE
【演出】塚本連平 麻生学 安食大輔
【出演】池田エライザ 野田洋次郎 ほか
【制作統括】高明希(AX-ON) 訓覇圭(NHK)
【プロデューサー】岡宅真由美(アバンズゲート) 西紀州(AX-ON)
言葉にまつわる心に響く言葉が多かった。
たくさん述べたいが、とても大変なので端折ります…
「なんて」……ヒロイン・岸辺みどりがよく口にする言葉。無意識に使ってしまっていて、無自覚に人を傷つけていた
(感嘆の気持ちを強調する”副詞”もあるが)
副助詞として――次に来る動作・内容を、軽視する気持ちを込めて例示する
副詞として―――軽視する気持ちを込めて、同格の関係で次の語を修飾する
副助詞として――無視または軽視する気持ちを込めて、事柄を例示する。
「ああ、ごめん。ご飯食べてる時間なんて、ないかも」(せっかく、同棲している恋人が作ってくれた朝食を前にして)
「ほんと助かる。朝から電話する余裕なんてないからさぁ」(人気料理店の予約をしてくれた友人に対して)
「言葉と説明が並んでいるだけですよね、辞書なんて」
「辞書なんて、どれも同じだと思っていたんです」
「あとにして、カメラなんて」
「また朝日………綺麗だけどさ…ごめん、て言うか……ありふれているっていうか……大事だと思うんだよね、被写体のインパクトって。結構みんな撮ってんじゃん、朝日なんてさ」(思い入れのある朝日をテーマで写真コンテストを勝負しようとする恋人に対して)
単に言葉に無頓着なのだろうと思う。優しい面も多いし、強引なところもない。
でも、言葉に無頓着というのは、人の気持ちを思いやらないことにつながる。
彼がキレた場面などは、酷い。↓
「おれが馬鹿にされるのは“しょうがない”と思ってる。夢だけ語って、結果出せなくて…。けど、俺が撮りたいと思っているものまで、馬鹿にしなくても」
「待って、してないよ。してないって、馬鹿になんて」
「してるよ」
「いや、してないって。してたら、ウチにおいでよとか言わないし、家賃とか食費なんて出してないって」
「思ってるよ、マジで情けないって」
「言ってないじゃん、そんなこと。馬鹿になんて」
「してるよっ!……ごめん、コンビニ行ってくるね」
辞書編集部に異動してきた岸辺みどりの歓迎会で、「“右を説明しろ”と言われたらどうする?と問われて、みどりは、お品書きの裏に「→」書いて、皆に見せた。
一同、呆れたような顔になり、場はしらけた?……
みどりは、場を取りつくように、言い訳をしたが
「私、知らないんです。辞書のことなんて、何も…
辞書なんて持ってないし、欲しいとも思ったことないし。
馬締さん(編集長)に貰った辞書も、読んでないというか、正直、すいません、袋から出してもなくて…
国語の成績もずっと悪かったし、ミラクルだったんです、玄武書房に入れたのも。入りたかったのも、別に本作りたいとかじゃなくて、ファッション誌に関わりたくて……
だから、作りたいなんて思ったこともないです、辞書なんて」
バチン!(バイトの青年がキレてテーブルを叩く)
「いい加減にしろよ、この人たちの前で、辞書馬鹿にするんじゃんねえよ!」
「してない!」
「したじゃねえかっ!」
「馬鹿になんて…」
恋人が怒って出ていった理由を考えなかったのだろうなあ。
同じパターンをここまで繰り返して、ようやく、思い当たるみどり。
バイト君が出ていき、契約社員のおばさん(ごめん)と社外編集員の初老の男性(ごめん)が彼をとりなしに追う。
馬締氏と日本語学者・監修者の松本朋佑(柴田恭兵)が残る。
後悔の念に沈むみどりに、松本が突然、
「げきおこ(激おこ)、ぷんぷんまる!」
「少し気持ちが軽くなりませんか?
“天童君(バイト君)が怒った”と言うよりも、“天童君が、げきおこぷんぷんまる”と言う方が。
もちろん、真摯に受け止めなければならない怒りはあります。真剣に怒ってくれた天童君には申し訳ないんですが…
げきおこ…ゲキオコ、プンプンッマルッ!
私大好きなんです、この言葉。この言葉がどれだけの人の心を軽くしてきたか…その健気さを想うと、涙すら出そうになります」
「わたし、馬鹿になんてしているつもり、ほんとになくて……
でも、思われちゃうんです、なぜか、そう思わせちゃう何か、“悪い言葉”を使ってしまっているんだと思います、無意識に」
「不思議ですよね、言葉って。
どんなに尽くしても、何一つ伝わらないこともあれば、たった一つの言葉で、千も万も伝えられることもある。
全く意図していないことを言葉が勝手に伝えてしまうこともある。
でも、この世に“悪い言葉”は存在しませんよ」(馬締氏)
「馬締さんの言う通りです。
全ての言葉には、その言葉が生まれてきた理由があります。
誰かが誰かに何かを伝えたくて、伝えたくて、必要に迫られて生れて来たんです。
悪いのは言葉ではありません。選び方と使い方です。
私思うんです、岸部さん。辞書は…言葉の海を渡る舟だと。
人は辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かび上がる小さな光を集める。
最もふさわしい言葉で、正確に、思いを誰かに届けるために。
もし、辞書がなかったら、私たちはぼうわくとした大海原を前に、佇むほかないでしょう。
だから………“大海を渡る”…それにふさわしい舟を編む。
それが私たちの仕事です。
岸部さん、あなたの柔軟さが私たちの舟を、より強くしてくれるでしょう」
「柔軟さ……いえ、そんな…私なんて全然…」(皆は、“右”の語釈を矢印で表現したみどりの柔軟さを感心した)
「“なんて”……気が向いたら、その言葉、“なんて”を辞書で引いてみてください。
辞書はあなたを褒めもしませんが、決して責めたりもしません。安心して開いてみてください」
……で、辞書で引いてみて、自分の口癖の“なんて”の罪を悟るのだが、遅すぎ!
それに、「なんて」を使わなくても、「辞書を欲しいと思ったこともない」云々は酷い!
「右」の語釈……辞書編集部に異動してきた岸辺みどりの歓迎会で、「“右を説明しろ”と言われたらどうする?と問われて
➀矢印「→」
②「“朝日を見ながら泣いた時、暖かい風に吹かれて、先に涙が乾く側の頬っぺた”……それが、“右”です……」(冒頭の慟哭のシーンは、歓迎会の夜、彼に別れを告げられ、彼の好きな朝日を観に行った時のモノだった)
「“なんて”……なんて素敵な“右”でしょう!」と返す馬締氏。
辞書「大都会」の真意は……「大渡海」だった。
【参考?】
「やばい」(以下の表記は辞書での説明ではなく、登場人物が恋愛ドラマを観ての感想で使用した「やばい」の使用例)
➀意外性があって面白かった……「やばいよね、あのラスト」
②危険だ。怖い……「やばいよね、あんな人、隣に住んでいたら」
③素敵、かっこいい……「あそこで助けに来てくれるの、やばいよね」
ちなみに、1985年版旺文社『国語辞典』には
《俗》危険だ。あぶない。
とだけ。
【第1話・あらすじ】
岸辺みどり(池田エライザ)は、大手出版社・玄武書房のファッション誌編集者。仕事熱心だが、ある日突然、辞書編集部への異動を命じられ、知らない言葉にやたら食いつく上司・馬締光也(野田洋次郎)や日本語学者の松本先生(柴田恭兵)、社外編集の荒木(岩松了)らと共に、玄武書房初の中型辞書「大渡海」の編纂に関わることになる。
慣れない辞書作りに戸惑うみどりには、同棲中の恋人・昇平(鈴木伸之)が唯一の癒やしだが…。
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