英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2020王座戦 挑戦者決定トーナメント 羽生九段-飯島七段 その1

2020-05-26 15:15:47 | 将棋
飯島七段には非常に失礼だが、《良いくじを引いた》と思っていた。2回戦も久保九段と松尾八段の勝者なので、準決勝進出の可能性大だと……(両先生、ごめんなさい)

 将棋は横歩取り戦法。「羽生九段の先手番の横歩取り戦の勝率は非常に高い」というABEMAの解説だったが、最近はあまりよくないというのが私の記憶。
 この対局までの羽生九段の横歩取り戦先手番の勝率は.737(112勝40敗)。この数値は2016年度以降は11勝10敗により低下したもの。2015年度までは101勝30敗で.771だった。ちなみに、一番勝率が高いのは、対振り飛車の先手番で.786(191勝52敗)。次が先手番の矢倉で.762(192勝60敗)。意外なのは先手番の振り飛車で採用数は少ないが.759(41勝13敗)と高勝率。これは、2002年度までの.821(32勝7敗)の無敵ぶりによるものだが。
 後手番の飯島七段は、横歩取り戦を得意としている。後手番で採用するのだから、何か用意があるのだろう。


 第1図は先手が▲2四歩と垂らしたところ。この直前の手順は△8六歩(突いたのではなく打った)▲同歩△同飛▲8七歩△8四飛。後手の飛車の位置は8四だったので、これは純粋に1手パス(手渡し)。
 横歩取り戦の後手番の主張は、先手に横歩を取らす間に手を進め攻撃態勢を整え主導権を握ることにあるが、この一手パスはその主張を手放すことになる。それにより、先手の利(歩得)が残り、その利を行使したのが図の▲2四歩である。
 対する飯島七段は△7五歩と突き捨て▲同歩に△6五桂と跳ねだす。
 

 ここでの先手の指し手が難しい。

【評価値について】
 将棋ソフトは強く、形勢判断においてもトップ棋士を凌いでいると言わざるを得ない。形勢を示す“評価値”も信頼性は高い。
 ただ、複雑で難解な局面では、かなり読み込ませないと誤った判断を示すこともある。
 それに、評価値がプラス250ぐらいだと、人間にとっては勝ち切るのは難しく、評価値を絶対視するのはナンセンスだ。局面によってはプラス1200ぐらいでもPCにしか見えない妙手があって勝ちが見えないとか、負け筋がたくさんあって“危険がいっぱい”という状況は多々ある。まして、終盤は時間も切迫、疲労も蓄積しているのだから、なおさらである。
 巷では、指し手と評価値を表示する動画が配信されているが、読み込ませる時間が十分ではないらしく、鵜呑みにはできない(ある程度は信頼できる)。
 ニコニコ動画やABEMA(2020年4月に“AbemaTV”から改称)の中継で評価値や勝利予想パーセントが示されるが、これはかなり正確。しかし、対局者の着手が早いと(1手の考慮時間が短いと)、読み込む時間も短くなるので、正確な判定が出るまでに次の手に切り替わってしまい、その手自体の正しい評価は得られない。


 第2図でPCが示した最善手は2手(将棋ソフトや読み込む深度によって分かれる)……。
コメント
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