カンボジア経済

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カンボジア西部の現状2024 その1 国道5号線を西へ

2024年01月29日 | 経済
 2024年1月に、バッタンバン、ポイペト、シェムリアップ等のカンボジア西部の主要都市とそれらを結ぶインフラの現状を視察する機会がありました。
 まず、プノンペンから国道5号線を西に向かいます。国道5号線は、プノンペンから近郊のプレッククダムまで(約40キロ)は中国の支援で整備されましたが、それ以外の区間は、日本の円借款による支援で改修工事が行われてきました。日本が支援している国道5号線改修事業の対象は、プノンペン近郊のプレッククダムから主要都市のコンポンチュナン、プルサット、バッタンバン、シソポンを経由してタイ国境のポイペトまでの区間(366㎞)で、これまでの2車線・簡易舗装の道路を4車線化・アスファルトコンクリート化し、主要都市(ウドン、コンポンチュナン、プルサット、バッタンバン、シソポン)についてはバイパスを建設する計画です。日本政府はこれまでに8件、総額948億6000万円の円借款を供与してこの国道5号線の改修を支援しています。条件は、一部を除き、金利0.01%/年、償還期間40年(10年の据え置き期間を含む)という大変譲許的なものです。
 国道5号線の改修工事は、北、中央、南の3区間に分かれて実施されており、北区間は2022年1月に完工しています。2023年11月に、南区間及び中央区間(プレック・クダム~バッタンバン間:246.15km)も完成しました。残るはシソポン~ポイペト間のみとなっています。
 今回、実走してみると、高規格・高品質の道路で快適な走行でした。日本の支援のキーワードは「質の高いインフラ」であり、国道5号線でも日系企業による高品質の施工が行われており、完成してもすぐに穴だらけになる中国や韓国の支援とは一線を画すものです。国道5号線では、プノンペン近郊の中国の施工区間は、既に補修工事の跡だらけであり、日本の質の高さが際立ちます。また、時間短縮効果も大きいものがあり、以前は7~8時間かかっていたプノンペン~バッタンバンは、4~5時間で到着可能となっています。
 国道5号線の終点であり、タイとの国境であるポイペト近郊では、タイの支援によって貨物専用の新たなストゥンボット国境施設を建設中です。国境に架かる橋は既に完成していますが、国境の検査施設等はタイ側の入札手続きの遅れ等により、工事中の状況です。ポイペト付近の経済特区や、タイとプノンペンを結ぶ南部経済回廊にとって、新国境建設は通関の改善に必要不可欠であり、早期の完工が望まれます。
 国道5号線は、プノンペンとタイ国境を直結する重要なルートであり、プノンペン周辺に進出している日系企業にとっても、サプライチェーンの一環としてタイとの連結性を確保するために必要不可欠となっています。全線の完成により、更に大きな効果が出るものと期待されます。
(写真は、国道5号線コンポンチュナン付近)

プノンペン近郊に新設された立体交差。渋滞解消に大きな効果を発揮しています。


プノンペン近郊の中国支援区間。早くも大規模補修の跡が数多くみられ、中国企業の低品質施行を防止する強い対応が必要と見られます。


完成したウドン市街を迂回するバイパス。標識類もきちんと整備されています。


バッタンバン近郊の国道5号線の旧道。昔は全線こんな感じでしたので、大きな発展を感じます。


シソポン~ポイペト区間。昨年起工式を行い、現在工事が進められています。


水浸しのように見えますが、「逃げ水」です。道路表面の空気が暖められて光が屈折することで水たまりのように見えます。



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