カンボジア経済

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野口元郎氏のクメール・ルージュ裁判最高審国際予備判事就任

2024年07月12日 | 社会・風土
 7月1日、クメール・ルージュ裁判事務局は、野口元郎氏のクメール・ルージュ裁判最高審国際予備判事への就任を発表しました。野口元郎氏は、2006年の裁判立ち上げから2012年までの間、同裁判最高審国際判事を務め、第一事案の最高審判決のほか、司法行政委員会や規則手続委員会の委員として裁判の司法プロセスに貢献しました。日本では、最高検察庁検事、外務省国際司法協力担当大使等を歴任されています。
 クメール・ルージュ裁判は、カンボジアのクメール・ルージュ政権期における政権幹部のジェノサイド条約上の犯罪や人道に対する罪等重大な罪について国際水準で裁くため、2006年に国連の協力の下、国内法廷として設置されました。日本は、この裁判をカンボジア和平プロセスの総仕上げとして重視し、国際社会による裁判への支援において主導的役割を果たしてきました。
 裁判は2022年に全ての裁判プロセスを完了し、2023年に残余機構に移行しました。同機構では、刑執行の監督、広く一般に利用できるようにすることを目的とした裁判文書の再分類、裁判文書及び非裁判文書を含むクメール・ルージュ裁判のアーカイブの保存及び管理、カンボジアをはじめ他国でのアウトリーチ活動等を実施する予定です。野口氏は最高審の国際予備判事としてこれらの活動に携わります。
 日本の外務省は、野口元郎氏のクメール・ルージュ裁判最高審国際予備判事への就任を歓迎しますとの外務報道官談話を発表しています。
 中国の支援を受けたクメール・ルージュは、カンボジア国民を200万人近く虐殺したと言われています。他方、クメール・ルージュは、ベトナム戦争時の米軍のカンボジア越境爆撃を恨んだカンボジア国民の感情を利用して拡大したとも言われます。フン・セン首相をはじめ、クメール・ルージュの兵士であったカンボジア国民はまだ多く、カンボジア政府は、これらの国民の責任を追求することは決してないとの立場をとっています。悲劇の歴史を忘れないことと、クメール・ルージュの兵士であった人々を許すことの両方がうまくいくことが期待されます。
(写真は、クメール・ルージュ特別法廷。クメールタイムズ紙より)

日本の外務省の発表
https://www.mofa.go.jp/mofaj/pageit_000001_00770.html


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