カンボジア経済

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カンボジア西部の現状2024 その4 シェムリアップ新空港

2024年02月01日 | 経済
 2024年1月に、バッタンバン、ポイペト、シェムリアップ等のカンボジア西部の主要都市とそれらを結ぶインフラの現状を視察する機会がありました。
 2023年11月16日、シェムリアップの新空港「シェムリアップ・アンコール国際空港」が正式に開港し、記念式典が開催されました。式典には、フン・マネット首相他多数が参加しました。フン・マネット首相は、スピーチで、この空港の完成は中国の一帯一路の成果であると強調し、中国のカンボジア支援を評価しました。
 シェムリアップ新空港は、シェムリアップ市街の東約60キロメートルに位置し、敷地面積約750ヘクタール、滑走路延長3600メートル、ターミナル面積8万平方メートル、旅客処理能力年間700万人、貨物取扱能力年間1万トンの計画です。契約期間55年間のBOT方式で建設されました。中国の雲南省投資控股集団(雲投集団)傘下のアンコール・インターナショナル・エアポート・インベストメントが請け負いました。総工費は当初の約8億8000万ドル(約1310億円)から、11億ドル(1640億円)に膨らんだ模様です。新型コロナの影響もあり、工事は遅れていましたが、なんとか開港にこぎつけた形です。
 今回、シェムリアップ新空港に立ち寄ってみました。国道6号線と新空港を結ぶアクセス道路(大部分は片側1車線:約24キロメートル)は完成していました。シェムリアップ市街から車で約1時間かかりました。新空港は市外から遠く離れているため、アクセスが課題となっています。唯一の公共交通手段となるシャトルバスは、一日8往復しかなく、不便な上に混雑がひどい模様です。料金は片道8ドル、往復で15ドルです。また、定額タクシーも片道35ドル(約5200円)とカンボジアとしてはかなり高額です。
 新空港については、様々な批判が出ています。主なものとしては、アクセス道路が有料、入場しただけで駐車料金が発生等でした。これらは、タクシーやトゥクトゥク等の運転手さん等から強い不満が出ていた模様です。カンボジア政府もスン・チャントール副首相を現地に派遣して、問題解決に当たらせました。訪問時は、有料道路料金は2ドル(普通車)、駐車料金は15分まで無料で30分ほどの滞在ですと1.5ドルとなっていました。なお、レストランやカフェはまだ数軒しか開店しておらず、こちらも値段が高いとの批判があるようです。
 旧空港は、シェムリアップ市街からすぐ近いというメリットがありましたが、周囲にアンコール遺跡等があり、運用に様々な規制がありました。そうした中で、かなり遠くとなりますが、大型機も発着可能な空港がコロナ明けと共に完成したことは、新型コロナで深刻な打撃を受けてきたカンボジアの観光業界には朗報と言えます。しかし、引き続きハード・ソフトインフラの整備、維持管理、サービスの改善等が重要な課題と見られますので、カンボジア政府の厳格な監視と指導が期待されます。

国道6号線と新空港を結ぶアクセス道路。


空港バスの案内。1日8便しかなく、不便です。


空港の直前の道路には、駐車料金を避けるために多くのバスや車が駐車していました。



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