カンボジア経済

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リアム海軍基地 中国化の疑い

2019年07月26日 | 経済
 7月21日、米国のウォール・ストリート・ジャーナルは、カンボジアと中国がリアム海軍基地の利用に関して秘密合意を行っていると報じました。リアム海軍基地は、シアヌークビル空港の南の海岸にある小規模な基地で、現在は、桟橋が1本あるだけです。また、周辺海域は、水深が浅く、大型船舶の入港は現状では、困難と見られます。
 しかし、ブルームバーグ等の報道によりますと、米国はカンボジアに対し何度も正式のレターで、懸念を伝えるとともに、現状を問いただしている模様です。特に、リアム基地については、今年1月には、米国の支援で設備改修を行う方針であったものが、突然カンボジア側から拒否されたという経緯があり、米国側の疑念が一気に高まったとしています。また、昨年来、コッコン州のダラ・サコーで中国が開発している飛行場の軍事転用疑惑があったことも影響しているものと見られます。
 カンボジア政府側は、フン・セン首相も含めて、本件を事実無根のフェイクニュースであるとして、火消しに懸命となっています。
 リアム海軍基地は、現状では中国軍の軍事拠点となるのは難しいものの、タイ湾の湾口を押さえる重要な戦略拠点となりうる場所にあり、万が一にもこの基地が中国の手に落ちた場合、タイや周辺諸国との海上サプライチェーンの安全保障に重大な脅威となりかねません。米国としては、絶対に譲れない一線(レッドライン)を明確にカンボジア側に伝える意図があるものと見られます。他方、中国としては、現状すぐには使用できなくとも、いつかは使えると見せることだけでも、ASEAN諸国や米国、更には、この海域のサプライチェーンに依存している日本等をけん制する意図もあるものと見られます。
 本件は、当面、軍事的な問題になることはないものとは見られますが、その取扱いはカンボジアにとって非常に重要なものとなりかねません。カンボジア政府の慎重な対応が必要なものと見られます。
(写真は、グーグルマップより)



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