カンボジア経済

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南部経済回廊 北部サブ回廊を走破 その5

2016年11月18日 | 経済
 南部経済回廊・北部サブ回廊の第5回は、シェムリアップからタイ国境のポイペトまでです。
 シェムリアップから国道6号線で西に向かいます。国道6号線は、アジア開発銀行(ADB)の支援により整備されました。この区間の両側は、見渡す限り、地平線まで水田が続きます。雨期の終わりだったので、大変美しい緑一色の光景でした。なお、数年前には全く見なかったコンバイン等の大型農業機械も複数見かけました。途中のシソポンで、国道5号線と合流します。国道5号線のシソポン~ポイペト間は、今後日本の円借款で片側2車線の高規格道路に改善されることとなっており、2020年ごろの完成を目指しています。
 ポイペトでは、カンボジアとタイを連結する鉄道の整備が進められていました。国境の川に架かる橋はタイの支援で完成済みです(写真上)。カンボジア側部分の中国企業による施工の品質はあまり良いとは言えず、また、予定していた2016年中の完成は難しく、早くとも2017年3月以降の完成となる見込みです。なお、実際に実用に耐えるのは、国境から48キロのシソポンまでであり、その先のプノンペンまでの北線全体の完成は更に先になるものと見られます。
 国境の町のポイペトでは、日系による二つの経済特区が進められています。一つは、サンコー経済特区ですが、この中に、豊田通商によるテクノパークの開発が進められています。第1工場はすでに完成し、中小企業用の7区画のうちすでに6区画が埋まっているとのことで、早期の第2工場建設を目指したいとのことでした。二つ目は、PPSEZのポイペト経済特区で、現在、道路等の基礎インフラ工事中ですが、来年前半には工場の建設を始められるようにしたいとのことでした。これらの経済特区は、タイに進出している日本企業、特に労働集約型部品産業(自動車や家電向け)の誘致が期待されるところです。
 北部サブ回廊(ベトナム国境~シェムリアップ)は、ようやく道路の整備が一段落したところですが、商品作物(カシューナッツ、ゴム、キャッサバ、コーヒー、胡椒等)の生産を軸に、付加価値を上げて輸出するための農産品加工工業(アグロインダストリー)の誘致を進める必要があるものと見られます。また、風光明媚なポイントも多数あるので、観光客の誘致も期待されるところです。

国道6号線シェムリアップ付近。地平線まで続く水田の真ん中を走って行きます。


PPSEZのポイペト経済特区。工事は進んでおり、日系企業からの引き合いも入り始めているとのことでした。


PPSEZの隣のサンコー経済特区内の豊田通商のテクノパーク。中小企業向けのレンタル工場ですが、既に7区画中6区画が埋まっており、第2工場建設が期待されます。


タイとカンボジアを連結する鉄道の工事は遅れています。国境の橋からは、カジノ街の真ん中を突っ切るという大胆な線形です。


旧ポイペト駅付近では、不法住民を移転させて工事が進められていますが、まだこの状態でした。


国境は狭いため、渋滞が慢性化しています。貨物専用の新たな国境ゲートをタイの支援で建設する計画が進められています。



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