カンボジア経済

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地域的な包括的経済連携(RCEP)ついに調印 カンボジアへの効果は未知数

2020年11月18日 | 経済
 11月15日、テレビ会議形式にて第4回RCEP首脳会議及び協定署名式が開催され、RCEP協定が署名されました。地域的な包括的経済連携(RCEP)は、ASEAN10か国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)と、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの15カ国による経済連携協定です。2012年11月の交渉立ち上げから8年の歳月を経て、ついに調印に至りました。交渉に参加していたインドは参加を見送っていますが、15カ国は「インドのRCEP参加に係る閣僚宣言」を発表し、引き続きインドに対してRCEPへの参加が可能であると明示しています。
 RCEP協定は、署名国15カ国で、世界のGDP、貿易総額及び人口の約3割、日本の貿易総額のうち約5割を占める広域な経済連携協定です。RCEPにより、地域の貿易・投資の促進及びサプライチェーンの効率化に向けて、市場アクセスが改善され、発展段階や制度の異なる多様な国々の間で知的財産、電子商取引等の幅広い分野のルールの構築が期待されます。日本にとっては、これまで自由貿易協定がなかった中国、韓国と経済連携協定が初めて結ばれたことに大きな意義があるものと見られます。
 カンボジアにとっての利益は、未知数のところがあります。ASEAN 域内については、既にASEAN物品貿易協定(ATIGA)があります。また、日本との間では、日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)が既にあることに加え、カンボジアからの輸出については、日本は後発開発途上国(LDC)に対して適用される特別特恵関税制度をカンボジアにも適用しており、多くの品目の関税が既に免除されています。この他、カンボジアは、中国と二国間自由貿易協定(FTA)に調印したばかりであり、韓国とも二国間自由貿易協定の交渉中です。このため、今回のRCEP調印によって、どの程度輸出が有利になるかについては、今後の動きを見る必要があるものと見られます。なお、日本からカンボジアへの輸出については、35%の関税が課されていた自動車の一部について20年間で撤廃すること等が合意されています。
 RCEPは、アジアに世界最大の自由貿易地域をもたらすものであり、ついに調印に至ったことは、大きな意義があるものと見られます。カンボジアにとっても、すぐに大きな効果は期待できないものの、中長期的に高度経済成長を続けるためには必要不可欠なプラットフォームになるものと期待されます。
(写真は、AKPより。調印に臨むオウン・ポン・モニロット副首相兼経済財政大臣)

日本の経済産業省の発表
https://www.meti.go.jp/press/2020/11/20201115001/20201115001.html


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