それは神様からのささやかだけど素敵なプレゼントだったのかもしれない。
始めて参加するダンスパーティの朝、
放射冷却現象で冷え切った真っ青な空の下、ボクは迎えのバスが来る場所へと白い息を吐きながら急いでいた。
集合場所の一角にはすででに10人ほどの女性たちが待っている。
「ダンスに行かれる方ですか」
その中の一人の女性に聞いた。
「はい、そうですよ」
その女性は年に似あわず少しはにかみながら答えた。
「寒いですね」
どちらからともなく声をかける。
「でもいい天気でよかったですね」
そうしたたわいもない会話を交わすうちに迎えのバスが到着した。
会場につくと、友人が待っていてボクに声をかけた。
「我々の同級生だった○○百枝が来ているよ」
「エッ!○○百枝が?どこに?」
「ほらほら、あそこにいる。あのベージュ色のコートを着た女性」
「エッ!?あれが○○百枝?」
それは、先ほどバスを待っている間に会話を交わした女性だった。
「マジで!チョッと行ってくる。彼女は僕の初恋の人だよ」
驚く友人を尻目に、会場の席にちょこんと座っている彼女の下に歩み寄った。
「百枝ちゃん?」
ボクは笑いながらいじわるっぽく聞いた。
さっき話していた男からいきなり名前を呼ばれて、彼女は少し驚いた様子で答えた。
「そ、そうですけど・・・」
「○○百枝ちゃんでしょ!」
当時の記憶がモノクロの映像としてくっきりと脳裏に蘇ってきた。
年甲斐もなくボクの気持ちが高ぶった。
彼女は首を立てに振っていぶかしそうにボクを見上げた。
「そうですけど、どなた・・・?」
少しおどおどした控えめな表情が当時の彼女の顔を思い起こさせた。
「わからない?ほら、僕だよ」
ボクはまたいじわるっぽく笑って見せた。
「エー、わかんない」
「忘れたの?僕だよ、ボ・ク」
「エー、わかんない」
彼女は困惑の中に本当に申し訳なさそうにボクを見つめる。
「もう冷たいナ~。昔と一緒」
と皮肉を交えながらボクは自分の名前を告げた。
一瞬彼女の表情が頭の中の記憶をたどっているそれに変わった。
「エー!!Kさん!?ホント?わからなかった―」
「百枝ちゃんは僕の初恋の人だからね」
ボクは軽く彼女の肩を抱いた。
それは半世紀以上を経た思わぬ再会だった。
始めて参加するダンスパーティの朝、
放射冷却現象で冷え切った真っ青な空の下、ボクは迎えのバスが来る場所へと白い息を吐きながら急いでいた。
集合場所の一角にはすででに10人ほどの女性たちが待っている。
「ダンスに行かれる方ですか」
その中の一人の女性に聞いた。
「はい、そうですよ」
その女性は年に似あわず少しはにかみながら答えた。
「寒いですね」
どちらからともなく声をかける。
「でもいい天気でよかったですね」
そうしたたわいもない会話を交わすうちに迎えのバスが到着した。
会場につくと、友人が待っていてボクに声をかけた。
「我々の同級生だった○○百枝が来ているよ」
「エッ!○○百枝が?どこに?」
「ほらほら、あそこにいる。あのベージュ色のコートを着た女性」
「エッ!?あれが○○百枝?」
それは、先ほどバスを待っている間に会話を交わした女性だった。
「マジで!チョッと行ってくる。彼女は僕の初恋の人だよ」
驚く友人を尻目に、会場の席にちょこんと座っている彼女の下に歩み寄った。
「百枝ちゃん?」
ボクは笑いながらいじわるっぽく聞いた。
さっき話していた男からいきなり名前を呼ばれて、彼女は少し驚いた様子で答えた。
「そ、そうですけど・・・」
「○○百枝ちゃんでしょ!」
当時の記憶がモノクロの映像としてくっきりと脳裏に蘇ってきた。
年甲斐もなくボクの気持ちが高ぶった。
彼女は首を立てに振っていぶかしそうにボクを見上げた。
「そうですけど、どなた・・・?」
少しおどおどした控えめな表情が当時の彼女の顔を思い起こさせた。
「わからない?ほら、僕だよ」
ボクはまたいじわるっぽく笑って見せた。
「エー、わかんない」
「忘れたの?僕だよ、ボ・ク」
「エー、わかんない」
彼女は困惑の中に本当に申し訳なさそうにボクを見つめる。
「もう冷たいナ~。昔と一緒」
と皮肉を交えながらボクは自分の名前を告げた。
一瞬彼女の表情が頭の中の記憶をたどっているそれに変わった。
「エー!!Kさん!?ホント?わからなかった―」
「百枝ちゃんは僕の初恋の人だからね」
ボクは軽く彼女の肩を抱いた。
それは半世紀以上を経た思わぬ再会だった。