お花畑

巷ではフジやツツジが咲き誇り、道のいたるところに菜の花やレンゲなどのお花畑を見ることができる。

彼女らは、そよ風に揺れながらボクの血走った目を優しく癒してくれる。




負けじと、うちの庭も花爛漫だが、一味違う。


いわば雑草の花々が足の踏み場もないほど、所狭しと咲き乱れているのだ。

言われなくともタンポポは分かるが、競演するピンクや水色、薄紫などの可憐な花たちの名は知らない。


本来、一刻も早く刈り取ってしまわなければならない憎たらしい雑草軍団。

刈り払い機を出動させれば、たちまちスッキリした庭が出現するのだろうが、それは同時にかわいらしい花たちの息の根も止めてしまうことを意味する。


愛おしいほど小さく、いじらしいほどに命は短い。


雑草だらけの庭にも、愛くるしい優美さと芳香でしきりと訴えかけてくる。

「お願い、切らないで。も少しここにいさせて！」　

とでも言っているかのように。


荒くれだった心も、つい魅せられてしまう。


柔らかな春の陽射しも手伝って、しばらくはこのまま放置して愛でるのも道理かな、と感じさせてくれる。