福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

職業病

2009-06-22 17:11:01 | 大学院時代をどう過ごすか

今朝、朝食準備中の時のこと。床に置いてあったものを取ろうとした瞬間、腰に電光のごとくズキッと痛みが走る。目の前は閃光。そうです、ギックリ腰です。ああああああ。年に1回はやってくる、厄介な病です。

南極観測尾瀬調査高山湖沼調査では、腰を酷使してしたにもかかわらず、ギックリ腰にならなかったのは幸いです。

しかし、苦い思いでもあります。琵琶湖調査の時のこと。調査船はっけん号に乗船し、琵琶湖の北湖、しかも水深が90mの早崎沖で湖底泥をエックマンバージ式採泥器で採取作業中にひどいギックリ腰になったことがあります。揺れる船上で90mの深さから泥をロープで引き上げるのですから、腰に負荷がかからないわけがありません。これも、ある種の職業病です。

その調査では、ほとんど役に立たないデクノボウ状態になってしまいました。幸い、パワフルな大学院生と一緒でしたので、残りの調査を彼がすべてやってくれました。

前にもご紹介しましたが、微生物の調査は試料採取後速やかに研究室に戻って、試料の処理をしなければなりません。さもないと、活発な微生物活動により、採取時の状態を保てないからです。現場の、その時の微生物の生態像を明らかにするためには、素早く、微生物活動を抑えて、核酸の抽出、pH、酸化還元電位、温度、酸素濃度、栄養塩濃度、有機物濃度、無機物濃度、微生物活性速度等を測定しなければなりません。

琵琶湖調査では、下船後、徒歩でJR大津駅へ向かい、JR在来線で京都駅、新幹線で新横浜駅、JR横浜線で橋本駅、京王線で南大沢駅、そして、徒歩で大学の研究室へ。とまあ、大変な道のりです。おまけに採取した底泥コア試料を冷やしながら持ち運ばなければなりません。さらに、追い討ちをかけるのは、横浜線に乗車する頃は、通勤ラッシュです。こんな時にギックリ腰を患ってしまったのなら、、、。想像してみてください。

今日から2名の大学院生が山梨県へ湖沼調査に出かけています。大学院生の調査は、研究室に無事に戻るまでは、心配で心配でたまりません。現場調査は、かなりハードですので、事故がなく、怪我のないように注意して欲しいものです。

大学院生のAさんとBさん、無事に帰ってきてくださいね!

あ、いたたたたああ。寝返りを打つことさえできない痛さです。ブログなんて書いていないで、ギックリ腰治癒につとめます。