福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

夏、週末札幌散歩

2017-07-29 23:27:14 | 日記
過ごしやすい札幌の夏。研究を行うには良い環境です。

新鮮かつ爽やかな空気。気分転換に散策に出かけました。未踏の地で「中の島」界隈へ。

地下鉄南北線中の島駅1番出口をおり、中の島通りを北へ約200m。寒地土木研究所発見。昭和12年設立とのこと。と言うことは、昭和16年設立の低温科学研究所よりも数年古い。



さらに約150m北へ。カレー屋を発見。未だ昼食を摂っていなかったので、入店。お店の方にお薦めをおききして、手仕込みハンバーグカレーを注文。給仕直前に店長さんが「ななつぼし」のごはんの上に熱々のルーをかけてくれます。



札幌ではスープカレーが流行っているのですが、ここのお店はルーカレー専門で、食材をじっくりと煮込んでコラーゲンたっぷり。



ハンバーグをスプーンで割れば、肉汁がジュワッと流れ出てルーと合流。濃厚なカレールーと調和して旨味が相乗効果。その後、何故かもたれない。これは、ルーを北海道産のタマネギとスペイン産のエクストラバージンオリーブオイルで仕上げているためなのでしょう。



なんだか幸せな気分にさせてくれる『エイトカリー(E-itoh Curry)』でした。辛さも1番から8番までお好みで注文でき、是非とも再訪したいお店です。ごちそうさまでした。

その後、腹ごなしに大通公園へ。花壇、テレビ塔、そして、丸井今井。ちょうど、『さっぽろ大通ビアガーデン』開催中(7月20日から8月15日まで)で大賑わいです。カレーを頂いた後と言うこともあり、喉が渇いていたのでビールを飲みたかったのですが。ちょっとした事情があり、断念。



大通からすすきの方面へ。ここは南1条通り。レトロな市電。三越の建物には、北海高校の甲子園出場を祝う懸垂幕。北海高校に活躍に期待。さてさて、旧友との再会の宴に向かいます!



札幌の夏。すこぶる快適です。この地でフロンティア精神をもって研究してみません?



視点を変えてみれば:生物資源探査

2017-07-27 14:42:31 | 研究室紹介
微生物生態学は急成長している研究分野です。私たちの研究グループは、自然界、特に寒冷圏での微生物の役割を解明することを目的としています。その過程で、多様な微生物を培養法により単離・記載し、生理生態学的機能を明らかにしています。

このことは、視点を変えてみると、「生物資源探査」でもあることに気付きます。

つい最近、地球上の生物資源探査に関して、バレンシア大学の研究者が興味深い視点を示してします。ご参考までに。

Tanner, Vialanova and Porcar. Bioprospecting challenges in unusual environments. Microbial Biotechnology 10: 671-673. 2017. DOI: 10.1111/1751-7915.12723 (オープンアクセスなので、無料でダウンロードできます)


上記での一例として、南極の赤雪から単離したHymenobacter nivis(ヒメノバクター ニビス)も紹介されています。


*. Hisaya Kojima, Miho Watanabe, Riho Tokizawa, Arisa Shinohara and Manabu Fukui. Hymenobacter nivis sp. nov., isolated from red snow in Antarctica. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 66: 4821-4825. 2016. DOI: 10.1099/ijsem.0.001435



大地の微生物:服部勉先生来所

2017-07-26 16:21:37 | 日記
笠原康裕さんの恩師である服部勉先生(東北大学名誉教授)が来所されました。



研究室の大学院生や博士研究員の皆さんとも研究討議。エネルギッシュな服部先生と大学院生たち。



渡邊美穂さんが発見した微生物を顕微鏡観察する服部先生。先生曰く、「顕微鏡がなくても微生物を観察できる時代がやって来るかもしれませんね」。



服部先生に熱く語る美穂さん。



研究室のメンバーにとって、刺激的な一日となりました。

1972年刊行の『大地の微生物』(服部勉著)には、こんなことが書かれています。



生物圏におけるこうした元素の循環は、人間や動植物がたえず外部から栄養を吸収して生活を続けていくために必要なばかりでなく、これらの生物の生活環境を維持するためにも、きわめて重要な意味をもっている。この循環のわずかなくるいも、地球上の生物の生活環境を大きく変え、これらの生物の生理的な状態に深刻な影響をもたらしであろう。この点からも、大地の微生物の重要性は再認識される必要があろう。


自然界の微生物に関して新たな描像を得ること。そのことによって物の見え方が変貌する。そんな不断の努力を重ねたいと、強く感じました。

バレンシア〜微生物ハンターの報酬〜

2017-07-14 17:47:20 | 学会
バレンシアの夏は暑い。湿度も高い。朝、ホテルを出て、最寄りの地下鉄駅Xativaへは徒歩20分。日射しも強く、くらっと。

地下鉄駅から至近距離に闘牛場。いかにもスペインらしい。



国際会議場への最寄り駅からも、徒歩20分くらい。会場到着時には、吹き出る汗が半端でないのです。雲一つない青空の下、日焼けでヒリヒリ。今回の会議では、日焼け防止クリームが配給。これまた初めての経験です。



『極限環境、アーキア、そしてバクテリア』のセッションでは、演者のお一人が小島久弥さんの研究成果が正当かつ丁寧に紹介されていました。これも彼の不断の努力の結果だと思います。



セッション終了後、会場を出るとメロディーさんが私のもとへ。日本語で、「コ•ジ•マ•セ•ン•セ•イ、スゴーイ!」と興奮した様子。研究室に居ると気がつかない小島さんの研究力の大きさを感じ取ったらしいです。これも、ある意味で「微生物半の報酬」なのかも知れません。



さて、これから札幌への帰途につきます。

バレンシアのアツい夏:FEMS2017

2017-07-12 03:58:29 | 学会
このところ札幌は気温が30℃をこえ、暑い日が続いています。所変わってスペインのバレンシアでは、36℃をこえる日もあり、雨も降らない快晴の日々。

7月9日より13日まで、バレンシアにてヨーロッパ微生物学連合の国際会議が開催されています。街の中心地から地下鉄で15分程度乗車し、最寄りの地下鉄駅から徒歩約10分で会場に到着。地中海の強い日射しで肌がヒリヒリするほどです。加えて、汗だくです。



会場内はエアコンが効いていますが、参加者も多く、かなりの熱気です。



私たちの研究室の大学院生メロディーさん(コロンビアからの国費留学生)の発表です。

Melody Cabrera Ospino, Hisaya Kojima, Tomohiro Watanabe, Tomoya Iwata and Manabu Fukui. Detection of the arxA gene encoding arsenite oxidase in various ecosystems by using newly designed PCR primers.

微生物による嫌気的ヒ素酸化に関する研究で、競合相手が多かったようです。



イタリア人研究者に説明するメロディーさん。彼女にとっては、エキサイティングな国際会議になったようです。



メロディーさん、コロンビアの大学での同僚と会場でバッタリ再会。



バレンシアのアツい夏。まだまだ続きます。

山岳調査、再び

2017-07-05 23:05:01 | フィールド
九州地方では大雨特別警報。一方、北海道は天候が好転し、気温が上昇中。と言うことは、山岳地帯では融雪が加速しているに違いありません。

前回の調査では、天候に恵まれませんでしたが、調査そのものは成功。今回、調査開始時は濃霧に覆われていましたが、徐々に視界が開けてきました。





寺島美亜さんは、すっかりフィールドサイエンティストです。





経験の浅いに大学院生Aにとってはハードと思われるトレッキングも、経験豊富な技術部森氏のガイドで難なくクリア。





調査も無事終了。さあ、昼食です。



たっぷり牛飯おにぎりで栄養補給。



今回の調査は大成功です。さあ、研究室へ戻って、解析を進めましょう!

<注>本調査地は国立公園内にあるため、環境省及び営林署の許可を得て調査を行なっています。

土壌呼吸

2017-07-04 14:04:46 | 教育
大学院環境科学院の実習の一つで、「土壌呼吸」の測定です。微生物による有機物分解速度を推定する、簡便な方法です。



低温科学研究所内の林で実習を実施。



測定開始直後の二酸化炭素濃度は、590ppm。さて、どのくらいの速度で二酸化酸素濃度が上昇するのか?



爽やかな風に吹かれての実習でした。


恒例バーベキューパーティー

2017-07-01 15:52:19 | 日記
生物環境部門恒例バーベキューパーティー。例年、夏至の週の金曜日に開催していましたが、天候に恵まれませんでした。そこで、今年は6月最終週の金曜日に開催することになりました。幸運なことに、快晴です。

さて、準備です。バーベキューコンロの組み立てです。



生物適応分野のA先生。手作りのオードブルを作って下さいました。たのしみです。



さあ、始めましょう。乾杯。



コンロの火加減もちょうどよく、お肉もいい加減に焼けています。



北海道らしく、ホタテもあります。



子供達も7名参加してくれました。



なんだか、トトロが出てきそうな雰囲気ですね。



燻されながらも熱く議論。こうして分野の異なる研究者と気さくに議論することにより、新たなアイデアが生まれ、思わぬ研究展開ができるかもしれません。



留学生のBさんは、南米オリジナルのソース『チミチュリ』を作ってくれました。コリアンダーの効いた程よい酸味のソースです。牛肉と合わせると、なかなかの美味です。



〆は、焼きそばです。



あっという間に日が暮れていき、花火大会。お子様達は、「今度はクリスマスパーティで、また遊ぼうね」と言ってお別れです。



お忙しい中、準備をしてくださった皆さん、ありがとうございました。