福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

Moin, moin(モイン、モイン):懐かしき響き

2022-10-28 04:52:44 | 研究室紹介
モイン、モイン。北ドイツで挨拶に使われる言葉で、「おはよう」、「こんにちは」、そして「こんばんは」と。一日中で使えて、ドイツ語を習得していない外国人にとっても便利。



疲れた身体に「MOIN KAKAO」(ミルクココア)を注ぎ込む。ふと1990年代の自由ハンザ都市ブレーメンを思い出す。旧市街にバンホーテンのカフェがあり、かつてよく立ち寄ったものだ。今では、そのカフェはない。変わるもの、変わらないもの。時の流れを感じる。

未踏の地グリーンランド

2022-10-25 11:52:42 | 日記・エッセイ・コラム
低温科学研究所で働いていると、「グリーンランド」は日常的な地名である。未だかつて訪れたことのない地。

アラスカのポイントバローを抜けて北極海へ。そして、グリーランド上空。広がるフンボルト氷河。夕陽に赤く染まる氷河。コロナ禍でもグリーランドで氷床掘削調査を行った低温研研究者達を思い出しながら、ボーッと氷河を眺めていると、グリーンランド海へ。アイスランド上空、フェロー諸島、北海を通過すればヨーロッパ大陸。

<グリーンランド上空>

<グリーンランド上空>

<グリーンランド海>

<アムステルダム上空>

紅葉の尾瀬

2022-10-13 16:39:02 | 日記・エッセイ・コラム
ぐっと冷え込んだ尾瀬の朝。そして風が吹く度に身体も冷えてしまう。牛首周辺の紅葉が心を和ませる。紅葉の見頃はこれから。








尾瀬ロッジにて昼食。すいとんで冷え切った身体が芯から温まる。手作りの稲荷寿司が頗る美味。ふと、さだまさしの唄『恋愛症候群―その発病及び傾向と対策にかする一考察―』のフレーズを思い出してしまう。

 ♫夜中にいきなりいなりずしをどうしても喰べたくなる場合♫



紅葉の尾瀬

2022-10-13 16:39:02 | 日記・エッセイ・コラム
ぐっと冷え込んだ尾瀬の朝。そして風が吹く度に身体も冷えてしまう。牛首周辺の紅葉が心を和ませる。紅葉の見頃はこれから。








尾瀬ロッジにて昼食。すいとんで冷え切った身体が芯から温まる。手作りの稲荷寿司が頗る美味。ふと、さだまさしの唄『恋愛症候群―その発病及び傾向と対策にかする一考察―』のフレーズを思い出してしまう。

 ♫夜中にいきなりいなりずしをどうしても喰べたくなる場合♫



変形菌の世界:もはやローテクではあるが、しかし

2022-10-04 12:42:48 | 日記・エッセイ・コラム
パイオニア研究。加茂野晃子さんの変形菌生態研究はまさにパイオニアと言って良い。2001年度の卒業研究で始めた加茂野さん。当時、変形菌の分子系統データは僅かであった。野外から子実体を採取して、SSUrRNA遺伝子の塩基配列を決定し、データベース作りから始めた。5年間、丹念にデータベース作りをして、生態研究のための迅速な検出方法を開発: Kamono and Fukui. Rapid PCR-based method for detection and differentiation of Didymiaceae and Physaraceae (myxomycetes) in environmental samples. Journal of Microbiological Methods 67: 496-506. 2006.

今や次世代シーケンサーの時代。上記の手法はもはやローテクではあるものの、新たな研究の窓を開いたことは確かである。

最近出版された変形菌の学術専門書「Myxomycetes」では、随所に加茂野さんの論文が引用されており、6章のむすびにはこんなことが記述されている(Walker, Hoppe and Silliker, 2022)。

From the early environmental studies that utilized DGGE and TRFLP, we learned about the diversity of myxomycetes inhabiting soils (Kamono and Fukui, 2006) and the importance of wind dispersal of spore (Kamono et al., 2009a).

加茂野さんは地道に研究を進めてきただけに、後にこうして正当に評価されていることは喜ばしい。そして、今後の研究も期待したい。