2020年が終わり、2021年が始まろうとしています。
今年を振り返ってみると、1月末以降コロナ禍対応に終始した年でした。2月初旬にドイツ・ブレーメン大学を訪問できたことは奇跡的であったと言えます。それ以降、海外出張も国内出張も大きく制限され、未だに海外出張はできない状況にあります。
そんな中でも、微生物の系統分類進化のBergey’s Manual改訂版に貢献できたことは特筆すべきことでした。これは、渡邊美穂さんやドイツのJan Kuever博士との共同です。また、ロシアのAlexander Galushko博士と共同執筆できたことも感慨深いものがあります。
さらに、新たな系統の硫黄不均化細菌に関する論文を発表できたことも、大きな研究の進展であったと思います(Umezawa et al., 2020)。これは梅澤和寛さんの努力の賜物です。
当研究室では、自然界に存在する微生物を探索し、純粋培養する努力を重ねています。その牽引者である小島久弥さんは、今月発行された低温研ニュース(50号、2020年12月発行)で以下のことを述べております。
(小島久弥「培養による嫌気性ヒ素酸化細菌の探索」より)
「遺伝子配列としてだけ検出された正体不明の微生物の実体を捉えるには、結局のところ培養によって“発見”することが必要になります。これらを培養する試みにおいては、メタゲノムの情報が何らかのヒントをもたらすかもしれません。」
さらに、小島さんは嫌気性ヒ素酸化細菌の探索を通して「見つけたことの意義」を以下のように:
「基礎と応用のいずれの観点から見ても、本研究はほんの出発点と言うべき段階のものです。自然界におけるヒ素循環の全体像の把握も、微生物機能を利用したヒ素汚染対策の実用も、実現にはまだほど遠い状態です。しかし、その鍵となりうる微生物を発見し、純粋培養として様々な実験に利用できる状態にしたことには、大きな意義があると考えています。これを足掛かりとして、嫌気性ヒ素酸化細菌に関する研究が大きな展開を見せることを期待しております。そして、我々もその一端を担うべく探索を続けていきたいと考えています」
小島久弥さん、今年度より着任した渡邉友浩さん、そして学生の皆さんとともに、更なる研究の発展を目指して、不断の努力を続けてまいります。
さて、2021年はどんな年になりますでしょう?
皆様、良い年をお迎えください。
静かな大晦日の夜、札幌にて
福井 学
【主な出来事】
<1月>
・新年交礼会
・低温科学研究所 外部点検評価委員会
<2月>
・ドイツ ブレーメン大学出張
・修論発表会
・第35回北方圏国際シンポジウム
・春採湖調査
・北海道内で新型コロナウィルス感染拡大
<3月>
・修了式:修士課程望月純さん
<4月>
・緊急事態宣言
・入学式
・渡邉友浩さん(助教)着任
<5月>
・オンラインで研究室のセミナー開始
・尾瀬調査
<6月>
・共同研究共同研究拠点事業再開
<7月>
・ウクライナ スミ州立大学と部局間交流協定締結
<8月>
・厚岸湖調査
<9月>
・新潟大学災害・復興科学研究所と包括連携協定締結
<10月>
・中谷宇吉郎博士生誕120年記念オンラインイベント参加
<11月>
・オンライン研究集会「雪氷の生態学(14)温暖化による湿原生態系への影響」
<12月>
・Jackson Tsuji博士着任
・修士論文中間発表会
今年を振り返ってみると、1月末以降コロナ禍対応に終始した年でした。2月初旬にドイツ・ブレーメン大学を訪問できたことは奇跡的であったと言えます。それ以降、海外出張も国内出張も大きく制限され、未だに海外出張はできない状況にあります。
そんな中でも、微生物の系統分類進化のBergey’s Manual改訂版に貢献できたことは特筆すべきことでした。これは、渡邊美穂さんやドイツのJan Kuever博士との共同です。また、ロシアのAlexander Galushko博士と共同執筆できたことも感慨深いものがあります。
さらに、新たな系統の硫黄不均化細菌に関する論文を発表できたことも、大きな研究の進展であったと思います(Umezawa et al., 2020)。これは梅澤和寛さんの努力の賜物です。
当研究室では、自然界に存在する微生物を探索し、純粋培養する努力を重ねています。その牽引者である小島久弥さんは、今月発行された低温研ニュース(50号、2020年12月発行)で以下のことを述べております。
(小島久弥「培養による嫌気性ヒ素酸化細菌の探索」より)
「遺伝子配列としてだけ検出された正体不明の微生物の実体を捉えるには、結局のところ培養によって“発見”することが必要になります。これらを培養する試みにおいては、メタゲノムの情報が何らかのヒントをもたらすかもしれません。」
さらに、小島さんは嫌気性ヒ素酸化細菌の探索を通して「見つけたことの意義」を以下のように:
「基礎と応用のいずれの観点から見ても、本研究はほんの出発点と言うべき段階のものです。自然界におけるヒ素循環の全体像の把握も、微生物機能を利用したヒ素汚染対策の実用も、実現にはまだほど遠い状態です。しかし、その鍵となりうる微生物を発見し、純粋培養として様々な実験に利用できる状態にしたことには、大きな意義があると考えています。これを足掛かりとして、嫌気性ヒ素酸化細菌に関する研究が大きな展開を見せることを期待しております。そして、我々もその一端を担うべく探索を続けていきたいと考えています」
小島久弥さん、今年度より着任した渡邉友浩さん、そして学生の皆さんとともに、更なる研究の発展を目指して、不断の努力を続けてまいります。
さて、2021年はどんな年になりますでしょう?
皆様、良い年をお迎えください。
静かな大晦日の夜、札幌にて
福井 学
【主な出来事】
<1月>
・新年交礼会
・低温科学研究所 外部点検評価委員会
<2月>
・ドイツ ブレーメン大学出張
・修論発表会
・第35回北方圏国際シンポジウム
・春採湖調査
・北海道内で新型コロナウィルス感染拡大
<3月>
・修了式:修士課程望月純さん
<4月>
・緊急事態宣言
・入学式
・渡邉友浩さん(助教)着任
<5月>
・オンラインで研究室のセミナー開始
・尾瀬調査
<6月>
・共同研究共同研究拠点事業再開
<7月>
・ウクライナ スミ州立大学と部局間交流協定締結
<8月>
・厚岸湖調査
<9月>
・新潟大学災害・復興科学研究所と包括連携協定締結
<10月>
・中谷宇吉郎博士生誕120年記念オンラインイベント参加
<11月>
・オンライン研究集会「雪氷の生態学(14)温暖化による湿原生態系への影響」
<12月>
・Jackson Tsuji博士着任
・修士論文中間発表会