福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

恩返し

2009-03-28 10:01:00 | 日記・エッセイ・コラム

09032801 東京は桜の季節。もうすでに春です。春らしい穏やかな日、目黒雅叙園にて、卒業生のTさんの結婚式。

1998年に東京都立大学で教員になって以来、いろいろな学生達と接してきました。最初の頃は戸惑いも多く、学生の皆さんにはご迷惑をおかけしたことと思います。特に、Tさんからは、大学の教員として何が重要かと言うことを教えていただきました。今まで、迷いながらも教員生活を何とか送って来れたのも、Tさんのおかげかもしれません。

09032802 その感謝と恩返しを込めて、Tさんの結婚式と披露宴へ。祝辞の最中、これまでのことが走馬灯のように思い起こされ、込み上げてくるものがありました。Tさんも新しい家庭や生命を育みながら、ご自身も妻として母親として育っていくのですね。ご多幸をお祈りしております。

09032803 久しぶりに卒業生の面々と再会。いつの日か、卒業生のご子弟が研究室に? うーむ、そんなわけないか。


心温まる泉、溢れ出す

2009-03-26 16:27:00 | 旅行記

今年度、日本微生物生態学会札幌大会を主催したため、恒例の研究室旅行を催行することができませんでした。どうしたものかと思案していたところ、研究室の追い出しコンパを定山渓温泉で行うことになりました。

卒業式当日、札幌の街中は歓送会で賑わい、コンパ会場を確保するのも困難です。例年ですと、2次会、3次会くらいまで、大方の研究室メンバーが参加しています。その2次会や3次会会場の確保や、移動も結構大変です。

以上の理由から、1泊2日で定山渓温泉『鹿の湯』で追いコン。贅沢のようですが、夕食と朝食付きで6,500円です。当研究室の追いコンの作法は、追い出される側が幹事です。

09032510 普段の食生活からは大きく乖離した夕食を楽しみ、記念品贈呈です。新社会人へ送るエールは、『名刺入れ』。社会人としてのご活躍、期待しております。

09032511 2次会は部屋に戻り、持ち込みのお酒を酌み交わす。汗をかいたら、ちょっと座を離れて、温泉へ。また部屋に戻り、思い出話に花を咲かせ、惜別のひと時を共有。昨年卒業したNさんから、お勤め先の見本品を送っていただき、試飲大会です。Nさん、とても美味しく頂きましたよ。ニフェーデービル!

09032601 あっという間に過ぎた一晩。心温まる追いコンでした。研究室のみなさん、これからも『ユイマール』でいきましょう!


学位記授与式

2009-03-25 05:48:31 | 教育

本日は、第二体育館にて、北海道大学修士学位記および博士学位記授与式。当研究室からは、博士として東岡由里子さん、修士として鶴谷安弘さんに学位記授与。修了、おめでとうございます。今後のご活躍、期待しております。

午後1時半から、国際南極大学プログラム修了式(『南極学カリキュラム修了証書』)。そして、午後2時から、大学院環境科学院の修了祝賀会。

夕方から、研究室の追い出しコンパ(追いコン)。

明日は、岩熊敏夫・環境科学院長の最終講義です。
 【題 目】「湖沼と湿原の生態学-フィールド研究の課題」
 【日 時】 3月26日(木)16:00~18:00
 【場 所】 地球環境科学研究院2階講堂


未来にむかって

2009-03-24 23:13:00 | 教育

09032401 明日は北大の卒業式です。もうすぐ4月を迎えようとしているのですが、窓の外は雪。春は、少しだけ足止めでしょうか?

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09032402Mirai_2 今日は朝から晩まで、学術交流会館でグローバルCOEリサーチアシスタントの成果発表会(口頭発表とポスター発表)。院生の皆さん、未来にむかって、進んでください!


十九歳の地図

2009-03-24 20:40:00 | 日記・エッセイ・コラム

留守電に入っていたCYさんの声を聞いていたら、ふと十九歳の頃を思い出しました。1979年。大学に入った頃、何を考え、何に向かって歩もうとしていたのか? 自分なりの地図は描いていたのだろうか?

その地図からは随分と逸脱した、途方もない道を歩んでしまったものです。あの頃描いた地図に沿って進んだ方が幸せだったかもしれない、と何度思ったことであろうか?

4月になれば、キャンパスにはそれぞれの地図を描いた新入生がやってくるんですね。

03 そう言えば、東海大学出版会から『分子でよむ環境汚染』(鈴木聡編著)が出版されます。この本では、十九歳の頃私が何を考えていたのかを紹介しています。CYさんには、あの頃を思い出しながら、是非とも読んで欲しいものです!


留守電

2009-03-23 12:52:15 | 日記・エッセイ・コラム

生態学会から帰札。研究室の留守電を再生すると、大学時代の友人からの伝言。お嬢さんが北大に入学されたとのこと。おめでとうございます。卒業以来、音信がなかっただけに、とても懐かしく思うと同時に、長い、長~い時の流れ(26年)を実感。

CYさん、このままですとお返事ができないので、メールでも下さいな


学会誌

2009-03-19 01:34:00 | 学会

Er09031801 学会員ならば、定期的に学会誌が配布されてきます。日本生態学会の英文誌は、Ecological Research(ER)ですが、その編集運営には相当の労力がかかっています。学会誌は、学会活動の生命線であり、顔でもあります。河田編集委員長の献身的努力の甲斐があって、ERは相当の投稿数があり、1を超えるインパクトファクター(IF)になっているようです。

日本生態学会は、動物や植物の生態の研究者が多く、微生物関連は少なかったことは事実です。ですが、今大会では、微生物関連も数が増えているそうです

さてさて。いろいろと仕事を抱えているため、この1月より、日本微生物生態学会の副編集長の任から解放していただきました。後任は、北大・工学部の岡部 聡先生。私よりもはるかにパワフルな方です。学会誌Microbes and Environmentsは、南澤編集委員長のご努力に支えられています。敬服の至りです。当研究室の笠原先生は、今期も引き続き和文誌の編集を担当します。和文誌の編集の成否は、どんな企画をたてるかで決まるところがあり、まさにアイデア勝負。これからも笠原さんのアイデアに期待します!


殿と足軽

2009-03-18 20:20:00 | 学会

09031704 生態学徒は、とにかく議論好き。研究集会を終えて、居酒屋で議論の第2ラウンド。今回は初めて出会う人たちと大いに、かつ、有意義に議論。

09031705 第2ラウンド中に、美しい師弟関係を発見! 周りからは、「殿と足軽」と呼ばれているそうですが、ご両人は、とても息が合っている。羨ましいですね。彼らの今後の研究の発展に、カンパイ!


緑の町に舞い降りて

2009-03-17 22:56:39 | 学会

輝く五月の草原を
さざ波 はるかに渡ってゆく
飛行機の影と 雲の影
山すそ かけおりる
着陸間近のイヤホーンが
お天気知らせる ささやき
MORIOKAという その響きが
ロシア語みたいだった

(ユーミン作詞)

17日から21日まで、岩手県盛岡市で日本生態学会。当研究室からは下記の発表。

加茂野晃子、小島久弥、松本 淳、河村公隆、福井 学
「空気中における変形菌類の出現とその季節変化」

09031701 09031702 北上川にかかる開運橋。さだま(さだまさしのこと)によれば、この橋は、二度泣き橋とも呼ぶのだそうだ。盛岡に単身赴任することになったサラリーマンの赴任直後と次の転勤で盛岡を去る時の心境の変化を表現しているらしい。

09031703 モ・リ・オ・カ。なかなか味わいのある響き。


北方林の土壌による大気メタン吸収と林床植生

2009-03-14 16:59:04 | 研究

博士課程2年の堤 正純さんの研究が国際誌に掲載されました。

Tsutsumi M., Kojima H., Uemura S., Ono K., Sumida A., Hara T. and Fukui M. (2009) Structure and activity of soil-inhabiting methanotrophic communities in northern forest of Japan. Soil Biology and Biochemistry 41: 403-408

この研究は、低温研の生物環境部門寒冷域植物生理生態分野との共同研究です。研究内容は、下記の通りです。

メタンは強力な温室効果を持つガスであり、その大気中濃度は気候に対して大きく影響すると考えられている。森林土壌は大気中のメタンを吸収する働きを持っているが、これは土壌中に生息するメタン酸化細菌の活動によるものである。本研究では、植生の異なる地点で森林土壌のメタン吸収能力を測定し、そこにどのようなメタン酸化細菌が生息しているかを比較した。北海道大学雨龍研究林内の4地点において、大気から土壌へのメタン吸収速度を現場で測定した。その結果、林床のササを人為的に除去した区画において他地点より2倍程度高い吸収活性が認められた。実験室に持ち帰った土壌を用いた実験でも同様の結果が得られた。各地点の土壌中に生息するメタン酸化細菌を解析した結果、高木層の植生よりも林床植生の状態(ササの種類および有無)の方が、メタン酸化細菌との関わりが深いことが示唆された。従来、森林でのメタン吸収と植生の関係については専ら樹木に注目した研究がなされてきた。本研究の結果は、メタン吸収量を見積もる際に林床植生を考慮に入れることの必要性を示すものであり、地球規模でのメタン動態を正確に把握し、その気候への影響を予測する上でも重要なものと考えられる。

H211a

図1. 調査を行った4地点の様子。右端がササ除去区。

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H211b 図2. メタン吸収測定用チャンバー


あぶはちとらず

2009-03-13 15:12:05 | 大学院時代をどう過ごすか

欲張って二つのものを求めようとして、結局どちらも得ることなく終わること。

(新明解国語辞典第6版より)


若い頃は、あれもこれもやりたいもの。そして、あれもこれもやれると妄信してしまいがち。少し冷静になって考えてみる時があって良い。己は、今何にプライオリティをつけるのか? 虻蜂取らずにならないようにしたいもの。


チェンジング・マインド

2009-03-06 07:43:59 | 学問

090305cat 緊張を強いられるドイツでの公務を無事終え、自分自身へのご褒美として『チェンジング・ブルー』の著者とブレーメン郷土料理のレストランで会食。異分野の方と研究の議論が弾み、いろいろなアイデアが浮かんでくる。「ああ、そうだったのか!」と思うことが多い。とても刺激的で楽しいひと時を過ごす。『流氷への旅』を読むことを勧めてくれた、『チェンジング・ブルー』の著者に感謝。