福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

物理的隔離

2007-08-30 06:36:42 | 低温研のことごと

07083001改修工事に伴い、研究棟の西側と東側が物理的に隔離されました。また、新棟や実験棟への通路も同様に物理的に分断されました。

この物理的隔離効果は、短期間ですが、影響が大きいのではないでしょうか?これまでは、対面で議論したり、接したりして、所員間のコミュニケーションを密にすることが容易でした。

3ヶ月弱ですが、辛抱いたしましょう。


閉鎖

2007-08-29 10:47:03 | 低温研のことごと

07082902本日午前8時より、低温研研究棟の正面玄関が改修工事のため閉鎖されました。同時に、新棟や分析棟への連絡通路も閉鎖。






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07082901渡辺淳一の「流氷への旅」で紹介された、「全所員の名札」も撤去。撤去後の壁が露になって気がついたのですが、この壁側の部屋も、その昔、受付として使用していたのかもしれません。

現在、研究棟の東側半分を改修工事中です。しきりなしの工事音が響き渡ります。11月末になったら、正面玄関が再び開く予定です。その後、西側の改修工事が始まります。その時まで、歴史ある「全所員の名札」とはお別れです。


地球の果てで愛を叫ぶ

2007-08-28 07:12:18 | 南極

07082503ここは、南極リュッツオ?ホルム湾ラングホブデ。日本からはとてつもなく遠く、ここにたどり着くのは極めて困難。大陸氷河が迫り出し、青白い光を放している。

南極大陸で過ごす最後の晩。調査を共にして来たAさんが、日本にいるB子さんへの愛を叫んだ。

0708250407082505実るのか、実らないのか、私と高野さん(JARE47生物隊員)は、ずうっと、Aさんを見守り続け、応援してきました。

そして、8月25日(土)、お二人は東京・麻布で挙0708250107082502式。めまいがするほど暑い日、私と高野さんは、お二人の結婚披露パーティーに出席してきました。

私は、乾杯の挨拶を仰せつかっていましたので、前の晩からその直前まで、スピーチの内容を考え続けていました。

改めて、結婚とは何かを考えてみました。私自身、既に50歳を目前にし、「老い」を感じ始めました。そんな立場から見えてくるものは、「夫がいるから妻として、妻がいるから夫として、子がいるから親として生かされている」ということ。若い頃は、有り余る体力や熱情で苦難を乗り越えることができる。しかし、歳を重ねれば重ねるほど、特に45歳以降は、家族の存在が生きていく上でかけがえのないものであること。

若いお二人の乗った船(家庭)は、まだまだ脆弱かもしれない。これから押し寄せる苦難もどうか乗り越えて欲しいし、だからこそ、喜びもひとしお。揺るがない家庭を築くことが、仕事も充実させてくれるでしょう。

Aさん、B子さん、ご結婚おめでとうございます。南極観測で結ばれた愛。ずうっと応援してきましたので、我が身のように嬉しく思います。末永くお幸せに。


改修工事中の月例コンパ

2007-08-24 06:29:09 | 低温研のことごと

改修工事期間中、研究室のコンパはどうしましょう? いつも使っている、キッチンのある談話室が使えない!

昨晩は8月月例コンパ。この苦難を幹事さんはどのように解決するのでしょう?

07082301と言うことで、ふたを開けてみたら、やはり工夫を凝らした当研究室らしいコンパとなりました。

会場は、研究棟2階の講義室。キッチンが使えないので、カセットコンロで賄える、キムチ風味のモツ鍋。各種サラダ、冷や奴の麻婆そぼろのせ、茄子の炒め、ピラフ、カレーチャーハン、枝豆などなど。今回は、オードブル2セットを購入。

キッチンが使えなくても、立派な手作りコンパです。

0708230207082303今回は、Aさんの誕生月。キムチ風味のモツの入った三島鍋がバースデープレゼント。この三島鍋、用途が多様ですので、Aさんもご満悦!

Aさん、お誕生日おめでとうございます。

07082304コンパ後半のお楽しみ。毎回工夫を凝らした、Kさんのスウィーツが登場。今回は、クッキーです。Gさんもマシュマロヨーグルトを作って来てくれました。

改修工事という非常時ですが、こうして、昇華しています。

07082305今晩は、もうちょっと飲もうか!


四半世紀という時と原体験(原風景)

2007-08-22 05:10:17 | 日記・エッセイ・コラム

四半世紀という時の流れと重さ。その時間を経ても不変なもの。そんなことに思いをめぐらすことになった一日(昨日)。

約束の時間、約束の場所へ。胸をときめかせながら足早に向かう。四半世紀ぶりに会う、その人。どんな人生を歩んで来たのだろう、その人は?

070821その人は、大学時代のサークル(児童文化研究会)の友人である庄井良信さん(現在・北海道教育大札幌校)。四半世紀ぶりの庄井さんは、あの頃のまんま、優しくて情熱家。

これまでのお互いの人生の歩みを一通り紹介し合って、現在抱えている悩みや夢を話し合う。

それにしても、お互い、研究の道でなんとかやれている幸せを噛み締め合う。身の回りに研究者を志す人たちが多かった中で、幸運にもこうして大学にポストを得ている。まさに、綱渡りの人生。一歩でも踏み外せば、ここにこうして存在しないし、庄井さんとも札幌の地で出会うこともなかった。

庄井さんが私が学部の2年生の頃のエピソードを覚えてくれていた。それは、『道徳教育』の講義でのこと。あること(不条理なこと)で、講師の先生に私が激しく食って掛かったというのである。すっかり忘れていたこと。若気の至りということか。正義や信念を曲げずに激しく主張する私の姿勢は、この頃形成されたのであろうか? ついさっきまで、低温研で行われていた会議で、信念に従い、激しく主張していた我が身を振り返る。まだまだ、若いのかな?

大学時代、庄井さんと熱烈に活動していた児童劇や民話劇。その頃の情熱や信念は未だ変わらず、その時得た経験は原体験として現在の研究教育活動に深く根付いている。四半世紀ぶりに庄井さんと会って、そんなことに気付く良い機会となった。

庄井さんに感謝。


夏休み明け

2007-08-21 06:18:46 | 低温研のことごと

夏期特別休暇3日間と年次休暇3日間を合わせて、ちょっと長めの夏休みを取り、今週始め、札幌に戻りました。

夏休み期間中は、読書三昧で過ごす。とても贅沢な時間でした。

連日35℃を超える猛暑続きの本州を後にして、久しぶりの札幌はとても爽やか。特に、朝晩は秋の気配さえ、感じさせてくれます。

今週から、本格的に研究棟の改修工事が開始予定でしたが、ドンドンカンカンは来週からになる模様。それまで、静寂な環境が守られます。すこし、得をしたような気分ですが、この際たまった仕事をかた付けましょう。

来週末には、環境科学院の大学院入試。それが終われば、9月に入ります。

秋は、もうそこまで来ています。


どうにもとまらない

2007-08-09 06:44:14 | 低温研のことごと

今週の札幌はとても蒸し暑く、少し体を動かしただけで、汗が吹き出る状況です。早く、本来の北海道気候に戻って欲しいものです。

北海道大学の利点は、時々農場で穫れた野菜や果物を安価で購入できること。昨日は、1kgで210円のトマト。限定品でしたが、幸運にもゲットすることができました。昨夕20時半まで続いた会議の後、喉がカラカラになっていたので、思わず、冷やしていたトマトにかぶりつきました。適度な甘みと酸味、そして、適度な熟れ加減でしたので、マイウー(←これって、もう古いでしょうか?)。

Ismeさて、新着のThe ISME Journal (Multidisciplinary Journal of Microbial Ecology;国際微生物生態学会の国際学術雑誌)をパラパラと眺めて思ったのですが、微生物生態学分野の研究の進展が甚だ早いこと。そして、研究のレベルは高くなっており、ちょっと研究しただけでは受理されないレベルになって来ていること。掲載された論文は、どれも、手間、暇、お金、労力等がかなりかかっています。

微生物生態学分野は、このように革新的に進歩を遂げていますし、この流れは、もうどうにもとまらない。うかうかしていると、学問の最先端から水をあけられそうです。

さあ、いつでも楽しい研究の 夢を見て
生きているのが 好きなのさ 
 (↑やっぱり、古すぎダヨネ~)
 


また逢う日まで

2007-08-07 06:48:52 | 低温研のことごと

見慣れたものが、目の前から無くなるのはさびしいもの。

低温科学研究所(低温研)の研究棟改修工事に伴い、数多くの見慣れたものが来年3月末までしばしのお別れです。

01_91研究棟で私が最も気に入っているものが、これ。2階の事務室の廊下の壁に設置されていた『北海道立体地図』です。3年前、辞令を頂く前の時間を、この立体地図の前で過ごしました。もとより、北海道の地理に詳しくなかったのですが、その後、廊下を通るたびにこの地図から北海道独特の地名を学びました。

みかん坊さん」によれば、「北海道に移り住んだその瞬間から北海道人!」なのだそうです。なるほど、その意味するところが、ようやくわかるようになりました。

02_53愛着深い低温研の『北海道立体地図』よ! また逢う日まで、逢える時まで、私たちも、仮住まいで凌ぎます!


さあ、やろうか!

2007-08-03 06:57:41 | 低温研のことごと

昨年も、一昨年も8月第一週目は、30℃を超える暑さでした。昨日、気温はさほど上がらなかったのですが、湿度が高く、午後からは土砂降りの雨に転じました。

そんななか、改修工事対象部署の仮住まいへのお引越作業。汗だくの作業です。ここ改修工事対象の研究棟はエアコンがありません。窓を開けて涼をとるしかないのですが、湿度の高さには勝てません。

07080101事務の方々が声を揃えて、「さっつう、さっつう」と呼んでいます。最初、私は何のことを言っているのかわからなかったのですが、札幌通運(さっぽろつううん)の略なのだそうです。これでまた、北海道人に一歩近づきました。

07080102物品等の移動で廊下は狭隘化し、めまぐるしく引越業者が行き交います。今週、来週と、引越作業が続きます。廊下は特に危険ですので、低温研の皆さんは事故に巻き込まれないように注意いたしましょう。

私たちの研究グループもお引越です。汗をかきかき、引越作業、さあ、やろうか!


外からの風

2007-08-01 06:46:16 | 教育

札幌は観光シーズン。朝早くから、クラーク像の前は観光客で賑わっています。

さて、出身校でない者がその学校の教員をしている。これは、どんな意味があるのでしょうか、特に、北大にとって? そんなことを考えていた矢先、パワフル鈴木教授から建学精神に関するメールを頂きました。

国立大学で唯一『建学 の精神』をもって他大学と一線を画してはじまった大学はどこでしょうか? もちろん、芝増上寺にできた札幌農学校です。ドイツ流学問に習う東大とは異なり、アメリカの大農主義を模して動物生産を中心とした「実学」教育と、語学、教練、哲学なども農学科目と同等に重視する全人教育が特徴です。

こうした建学当初の教育方針は、北大に残っているでしょうか?

かつて、WSクラークが札幌農学校にアメリカから赴任し、日本の高等教育に外から新しい風を吹き込みました。

記念写真を撮影している観光客の後ろで、未来を見つめているクラーク像が私に語りかけます、「福井さん。あなたはここ北大でどんな風を吹かせてくれるのですか?」と。

そう、私流のやり方で、「Girls and boys, be ambitious」。さあ、共に歩もう!

<追記>
本日、北大に赴任して、3年が経ちました。