変形菌(粘菌)は、胞子になって風にのって飛んでいき、着陸した場所が好条件ならば発芽し、アメーバへ変身します。そのアメーバが土の中でどのように生活しているのか、未解明です。変形菌の分類は、子実体の形態情報を基に行われるので、土の中でどのような種類が存在するのかさえもわかっていません。
そんなベールに包まれた変形菌の土の中での生活をえぐり出そうという、加茂野晃子さん(非常勤研究員)の研究成果が公表されました。
前人未到の研究成果であり、加茂野さんの粘り強い努力ときめ細やかな検討の上に立った力作です。植生と変形菌群集組成との関連性についても、論じています。
Akiko Kamono, Jun Matsumoto, Hisaya Kojima and Manabu Fukui. Characterization of myxomycete communities in soil by reverse transcription polymerase chain reaction (RT-PCR)-based method. Soil Biology and Biochmeistry 41: 1324-1330. 2009.
doi:10.1016/j.soilbio.2009.04.001
<玄人向け説明>
変形菌のSSUrRNAをコードしているゲノムには、イントロンが入っていることがあり、土壌から抽出したDNAを基に特異的PCRを行ってみても、サイズの異なる増幅産物が得られてしまう。そこで、直接RNAをターゲットにした、群集解析の手法を確立することにした。