福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

センタク

2007-04-21 01:28:00 | 下宿の思い出シリーズ

内地から遠い札幌の地で、親元から離れて大学院生として、一人暮らしを選択した場合、直ちに様々な障壁に出会います。食事に関しては、大学生協食堂や安価な弁当屋があるので、容易に解決します。しかし、、、、、、

昨日のエントリー「センパイはキビシ~」(←財津一郎風に声に出して読んでみてください)で思い出したのですが、台所もなく、風呂もない下宿生活で問題になるのが、衣類の洗濯です。

ドイツ・ブレーメンでの下宿生活では、下宿のおばさんのアルバース夫人が、親切にも私の衣類をセンタクしてくれました。ブレーメンでは、日本から持ちこんだ衣類が少なかったため、頻繁に洗濯する必要がありましたので、下宿のおばさんのご好意は身にしみました。

さて、院生時代の下宿生活では、洗濯をどうしていたのでしょう? 正直に申しますが、5年間の院生生活で一度も洗濯したことがありませんでした。どうも、私は、洗濯嫌いらしい。

基本的には、「キタキリスズメ」なので、日常生活はなんてことないのですが、実験が問題です。なにしろ研究材料が微生物(バクテリア)ですので、不潔にしていると、無菌操作中に、培地にコンタミ(雑菌などが混入すること。元来は、英語のコンタミネーションcontamination)する危険性が高まります。仕方ないので、衣類を1ヶ月まとめて、新潟の実家へ宅急便で送ることにしたのです。ありがたいことに、母親が洗濯してくれて、また、宅急便で送り返してくれるのです、季節の食べ物と一緒に(たとえば、笹団子とか)。

毎月、汚れた衣類を詰め込んだ段ボールを、下宿の近くのお米屋さんに持っていくのです。東京都目黒区八雲と言う、高級住宅地にあって、とても親近感のわくレトロなお米屋さんでした。ある日、例によってお米屋さんで宅急便の伝票を書いている時のこと。最後に、品名欄に「雑貨」と記入したところ、お米屋さんのおばさんが、「雑貨のわりに、軽い荷物だわね~。正直に、「衣類」って書いたら良いじゃない」と。すっかりばれていたのです。何しろ、下宿おばさんとお米屋さんのおばさんとは、ナガーイおつきあいがあったのです。

多弁なお米屋さんのおばさんには娘さんが2人いて、次女の方が家業を継いでおられました。お婿さんはがっしりした方で、無口なのですが、気の優しいおっちゃん。院生時代、60回以上も利用しているのに、お婿さんは、いつも「マイドー」の一言のみ。なんだか、ジブリ映画『魔女の宅急便』に出て来るグーチョキパン屋のオソノさんの旦那さんのようです。

衣類を自分で洗濯しないことに選択した院生時代も5年で終わり、めでたく、つくば(茨城県)の国立研究所に就職。思い切って全自動洗濯機を購入。洗濯そのものは良いのですが、乾燥が問題でした。つくばは風が強いので、ベランダに干していた洗濯物が吹き飛ばされてしまうのです。せっかく洗った衣類をまた洗濯と言うこともしばしば。

札幌ではどうかと言うと、部屋干しです。空気が乾燥しているため、一人分の洗濯物であれば、一日で乾いてしまいます。ただ、季節によっては、乾きが悪く、バクテリアが繁殖して臭いがすることも、たまーにあります。これを避ける意味で、現在、部屋干し用の洗濯石けんを使用しています。

札幌で暮らしている院生のみなさんは、センタクをどうされているのでしょうか? 手洗濯ですか? コインランドリーですか? 自前の全自動洗濯機ですか? 昆虫生化学グループの階段下に置いてある研究所の洗濯機を利用していますか?

それとも、キキとして宅急便ですか?