4月1日はエイプルフール、ウクライナのオデッサではこの日は祝日です。何故か、オデッサはなによりもユーモアを愛する街だからです。この日はユモリーナというお祭りで、市民は愚者となり、街を練り歩きます。そしてこの日特別ステージでは、ユモリーナにあわせて開催されているコメディアーダというクラウンフマスティバルで入賞した人たちの特別パフォーマンスが演じられます。このフェスティバルに私も三度審査員として参加しました。素晴らしいフェスティバルで、この夢のような楽しい一時のことがいまでも忘れることができません。コロナ、そして戦争と、ユーモリナもコメディアーダも開催されていません。でもコメディアーダを主催してきた劇団マスキの人たちは、4月1日街の中心、デリバソフスカヤ通りへと向かいます。
劇団のディレクターであるボリス・バルスキイが地元オデッサの新聞のなかでインタビューに答えた記事を紹介します。
最後にボリスがきっとコメディアーダはまた戻ってくると語っているように、私たちもそれを信じて、4月7日クラウンパレードをします。平和を来ることを祈って。
"私たちはユーモリーナなしではやっていけない"。
劇団「マスキ」のディレクターで、 ウクライナ人民芸術家ボリス・バルスキーは、こう語る。
「オデッサはユーモア発祥の地であり、ユーモリーナなしでは生きていけません。4月1日、『マスキ』はコロナの間も街に繰り出し、デリバソフスカヤ通りを歩き、みんなと「ハグ」しました。今年も必ず出かけるつもりです」
「いま戦争の最中、野外でのガラ・コンサートはもちろん開催できません。しかし、それでも人々が「マスキ」のーの公演に足を運べるように、劇場はTik Tokで特別プロモーションを行っています。
他の都市や国では、私たちの公演のチケットを買う経済的余裕のある人が大勢います。しかし、私たちの劇場までは来れません。 オデッサは母親のようなものです(オデッサ・ママという歌があり有名)母親にとって、異国の子供など存在しません。彼女は誰でも受け入れます。私たちは今、家や仕事を失った多くの移民を受け入れています。彼らの多くは私たちの劇場に来たいと思っていますが、誰もがそうした経済的な手段を持っているわけではありません。そこで私たちは、このような人々を結びつけることにしました。チケットを購入できる人は、私たちに連絡してください。そしてそのチケットを、私たちの劇場に来たくてもその機会がない人たちにプレゼントします。すでに20枚のチケットが集まっています。4月1日の12時から15時まで、私たちはデリバソフスカヤ通りを歩き、私たちの劇場に招待し、公演チケットを渡します。そうすることでおそらく多くの人々を幸せにすることでしょう。
「戦時中も『マスク』のユーモアは変わらない。それは優しい(善良な)ユーモアだ。
今は "ブラック "なユーモアがないように注意しています。今はそういう時期じゃありません。ときどき「こういう時代だから、ジョークを言いまくるんだ」ということを耳にします。「そういう時代だとばかり強調するのです。例えば、こんな時代だから、女性は出産してはいけない、私たちが勝てば、出産できるとかです。これは非現実的です。若者の恋愛を禁じることが不可能なのと同じだ。どれだけ、何が、誰が運命づけられているのかは誰にもわからない。だからこそ一瞬一瞬を楽しむ。だからこそ、私たちにはやさしいユーモアが必要なのです。
当然、戦時中にコメディアーダをやっても参加者もゲストも来ません。そして今日、フェスティバルをやるお金もない。でもいつかはすべてが戻ってくるはずです」