書名 「セッシュウ!世界を魅了した日本人スター・早川雪州」
著者 中川織江 出版社 講談社 出版年 2012
なかなか興味深い評伝である。ただなぜいま早川雪州だったのかが、いまひとつ伝わってこなかった。それだけスケールの大きな人物で、切り口がいくつもあるので、どのあたりに的を絞るかというのが、難しい男ではあると思う。ツルコという終生をともにして、映画俳優早川雪州のプロデューサーであった奥さんの足跡を丁寧に追っているのが、独自の視点といえるかもしれない。
自分も評伝を書いてきているので、気になってしまうのかもしれないが、節目節目のところがきちんと押さえておかないと、その人間のもつひだみたいなものが浮かんでこない。ツル子という奥さんの存在の大きさはわかったが、人間早川雪州、俳優早川雪州の全体の姿が見えてこないような気がした。なぜアメリカに渡ったのか、なぜ俳優の道を選んだのか、悪役としての日本人を演じることになにを感じていたのか、そのあたりのポイントが押さえられていないような気がした。
もう少し評価されるべき人物ではあると思うが、やはり彼が演じた映画から俳優早川雪州を描くのが、一番いいような気がする。
この本が生まれる背景には、澤田隆治が大きな存在でいるということを知っているからかもしれないが、澤田さんが早川雪州に寄せる想いは、この評伝だけでは伝わらないような気がする。
それとタイトル、もう少しなんとかならなかったのだろうか。
著者 中川織江 出版社 講談社 出版年 2012
なかなか興味深い評伝である。ただなぜいま早川雪州だったのかが、いまひとつ伝わってこなかった。それだけスケールの大きな人物で、切り口がいくつもあるので、どのあたりに的を絞るかというのが、難しい男ではあると思う。ツルコという終生をともにして、映画俳優早川雪州のプロデューサーであった奥さんの足跡を丁寧に追っているのが、独自の視点といえるかもしれない。
自分も評伝を書いてきているので、気になってしまうのかもしれないが、節目節目のところがきちんと押さえておかないと、その人間のもつひだみたいなものが浮かんでこない。ツル子という奥さんの存在の大きさはわかったが、人間早川雪州、俳優早川雪州の全体の姿が見えてこないような気がした。なぜアメリカに渡ったのか、なぜ俳優の道を選んだのか、悪役としての日本人を演じることになにを感じていたのか、そのあたりのポイントが押さえられていないような気がした。
もう少し評価されるべき人物ではあると思うが、やはり彼が演じた映画から俳優早川雪州を描くのが、一番いいような気がする。
この本が生まれる背景には、澤田隆治が大きな存在でいるということを知っているからかもしれないが、澤田さんが早川雪州に寄せる想いは、この評伝だけでは伝わらないような気がする。
それとタイトル、もう少しなんとかならなかったのだろうか。