デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

江戸時代のロビンソン

2007-01-26 15:52:07 | 買った本・読んだ本
書名 「江戸時代のロビンソン-七つの漂流譚」
著者 岩尾龍太郎  出版社 弦書房  出版年 2006年 定価 1900円+税

朝日新聞の読書欄で見て、この本の存在を知ったのだが、正直あまり期待していなかった。よくある概説書の類ではと思ったのだが、実はなかなか読みごたえのある本であり、いろいろ発見も多かった一冊となった。漂流民に関心のある人には必読の書と言っていいだろう。
著者の岩尾氏は、専門が英文学、漂流民を専門に研究しているわけではなく、ロビンソン・クルーソーに関する著書や論文を書いているところがユニークで、逆にそこに漂流民を見る視点がぐっと広がりを見せているような気がする。ただ専門外だからと甘んずるのではなく、漂流民の一次史料をしっかりと、広範囲にわたって読んでいる。
ここでとりあげられているのは、著者がロビンソン型と呼んでいる無人島鳥島に漂着した三例、1696年の志布志浦から出帆し5人が全員帰国できた「志布志のロビンソン」、20年間も鳥島で暮らした遠州新居の「新居のロビンソン」、さらに13年間、そのうち1年半は単独で暮らしていた土佐の長平の「土佐のロビンソン」。ガリバー型として分類されている異国漂着の四例。光太夫の「北方のガリバー-大黒屋光太夫のパフォーマンス」、ルソン島に漂着した尾州大野村の「南方への漂流-大野村のガリバーたち」、ボルネオに漂着した唐泊の孫太郎の「博多のロビンソン-唐泊孫太郎ボルネオ漂流記」、そして著者が江戸時代の漂流記の最高傑作とする「船長日記」の尾張の重吉の「尾張のオデュセウス-船頭重吉の苦労と語り」の七つの漂流譚がおさめられている。わか若宮丸の漂流譚は入っていなかったのが、ちょっと残念ではあったが・・・。
それぞれそんな長い話しではないのだが、中味が濃いので、ひとつひとつ実に読みごたえがある。学問的な裏付けがなされているからなのだが、それだけでなく、著者の漂流民たちへの限りない共感が滲み出ているのも好感がもてた。
この本を読んであらためて、これだけ数々の苦難を乗りこえた庶民のことをまだ我々は知らな過ぎではないかと思う。山本勘助や坂本竜馬もいいが、国のためとか、君主のためでなく、こうして一生懸命に運命と闘った人たちがいることをいまの日本人は知るべきだとも思う。
「船長日記」を読み直すいいきっかけにもなった。

満足度 4




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「赤い月」

2007-01-26 01:00:06 | お仕事日誌
10時すぎに出社。昨日は、デラシネ連載中の長谷川濬の原稿をノリノリで書いていたのはいいが、調子に乗ってずいぶん黒糖焼酎「レント」を飲んでしまったので、完璧二日酔い。
来週火曜日に査証申請しなくてはならないリトルの春のメンバーの書類作成にほとんどかかりきり。4月にACCがプロデュースする加納真実のゴールデン街劇場のチラシをつくるために、加納君が来社。相変わらず見事なボケぶり。今日は3件の加納公演の注文があった。
今春からサーカス学校で教えることになっているウクライナの先生から電話。とてもハキハキしているのに好感を抱く。ちょっと会うのが楽しみ。
18時退社。夕飯を食べてから、満洲が舞台の「赤い月」を見る。たぶん全編中国ロケしているのだと思う。でもかなりヌルイ映画だっだ。常磐貴子演じるヒロインの前向きな生きかたを描きたいのだろうが、ちょっとピンボケだったのでは。
長谷川濬の最後の章を書き上げる。ほぼ終わり。本にしたいという想いを強くする。

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