英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・用例研究 196 <關係副詞の省略; why>

2019-11-11 | 用例研究

[用例研究 196] 〈關係副詞の省略; why〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1999 King Features Syndicate Inc.)

 

1  I could use a little help shoveling that snow.

1  I’d like to, but it might interfere with my weight training.

2  But the reason you build muscle is so you can do things like shovel snow, right?

2  No, that’s not it...

3  The reason to build muscle is to look good.

 

[解説]

・could use: 助動詞を過去形にして婉曲に表現してゐます。これは假定法に通ずる用法で、「現在・現實」とは遠ざけて現實味をうすれさせ、直接的な物言ひを囘避することにより婉曲な依頼としてゐます。ここは「ちょつと手傳つてくれないかなあ/ちよつと手助けしてくれるとありがたいんだが」と遠慮がちに希望を傳へてゐるのかと思ひます。

・I’d like to, but~: 〈would/should like to-不定詞(~)〉で「~したいのですが」などと希望を「ていねい・遠慮がち」に表はします。ここでは to 以下が省略されてゐます(代不定詞)。補ふとすれば、例へば、I’d like to help you shovel the snow など。

・might interfere: may を過去形にして可能性を弱めてゐます。「差支へるかもしれないんだけど…」と言つてゐます。

・interfere with~: 「(物・事が)~を妨げる」

 

・the reason you build muscle: the reason の後に關係副詞 why(または that)が省略されてゐます。先行詞に reason があるときには why がしばしば省略されます。「君が筋肉を鍛へる(/増強する)理由」ほどの意味です。

□參考例文: why または that が省略されてゐる例です。

196.1     The reason I am going is that I want to.

                 私が行かうとしてゐるのは、行きたいからなんです。

・so you can~: 〈so that~can/may/will…〉のかたちで「目的」を表はす文體です。くだけた言ひ方では that が省略されることがあります。ここは助動詞が can ですから「君が~できるやうに」といふ意味を傳へてゐます。

□參考例文: 漫畫と同樣に that が省略されてゐる例です。

196.2    I'll give you my e-mail address so you can easily contact me.

                 容易に聯絡がとれるやうに、私のEメールアドレスを教へませう。

・~, right?: 「これで正しいの?」と疑問を呈して、相手に確認するため文尾に置いてゐます。[意味把握チェック]では「~だよね」?「さうだろ?」としてみました。

・that’s not it: 「さうぢやないよ」「(それは)違ひます」。That’s it!(「さうだ!」「それだ!」)は、相手の話や行動が核心をついてゐたときの嬉しさや驚嘆などを表はしますが、ここはその對になるやうな表現で、相手のことばに否定で返してゐます。

 

・The reason to build muscle: 不定詞句が名詞を修飾してゐます。「筋肉を増強する理由」。

 

 [意味把握チェック]

1 「あそこの雪かきをちよつと手傳つてくれるとありがたいんだが」

1 「やりたいんだけどね、ぼくのウェイト・トレーニングに差支へるかもしれないんで」

2 「でも君が筋肉を鍛へる(/増強する)理由は、雪かきのやうなことができるやうに、だよね(/、さうだろ)?」

2 「イヤ、さうぢやないよ...」

3 「筋肉を鍛へる(/増強する)理由はかっこよく見えること(/見榮え)なんだ」

 

[笑ひのポイント]

・Daisy が讀者に視線を投げかけてゐます。Alexander の「(手傳ひをうまく斷る)知惠」と本音について、登場人物の視線を通して何らかの思ひ・感懷を示すと共に讀者の共感を促してゐるのかと思ひます。ここでは「意外」「呆れ」「(淺知惠への)輕侮」といつた思ひでせうか。