This was a concept of myself that I’d been lacking. I was an underdog; therefore, I had to control the pace ―― of everything. This was more than I learned in *English 4W, but the concept was applicable to my *Creative Writing ―― and to all my schoolwork, too. If my classmates could read our history assignment in an hour, I allowed myself two or three. If I couldn’t learn to spell, I would keep a list of my most frequently misspelled words ―― and I kept the list with me; I had it handy even for unannounced quizzes. Most of all, I rewrote everything: first drafts were like the first time you tried a new takedown ―― you needed to drill it, over and over again, before you even dreamed of trying it in a match. I began to take my lack of talent seriously.
*English 4W: 大学での文学関連の授業名(主に文学作品の読解や批評的分析を学ぶ授業である。)
*Creative Writing: 大学での文学関連の授業名(詩や小説などの創作を行う授業。のちに小説家となった筆者のように、作家志望の学生が受講することが多い。)
【設問】
4. コーチが筆者のレスラーとしての特徴を表すために用いた比喩表現で、著者の長所を引き出すことになった言葉を、段落[B]から1単語で抜き出しなさい。
5. 筆者はコーチからレスリングを通して何を学び、それを小説家になるためにどのように活かしたか。文章中の具体例に言及しながら記述しなさい。
9.1 This was a concept of myself that I’d been lacking.
[意味把握チェック] 9.1 これが、(それまで)私に缺けてゐた、自分自身についての理解(/解釋/見解)であつた。
【讀解のポイント-かたちからのアプロウチ】
・過去完了形: 〈had+過去分詞〉のかたちで、過去のある時までの「完了・結果」「經驗」「繼續」などの意味を傳へます。過去のさらに過去であることを示す「大過去」として用ゐられることもあります。ここでは had が縮約形になつてゐます。
9.2 I was an underdog; therefore, I had to control the pace ―― of everything.
[意味把握チェック] 9.2 私は弱い犬(/弱者/劣等者)なのであつた。それゆゑにペースを制禦しなければならなかつたのだ――それもあらゆることについて、だ。
9.3 This was more than I learned in *English 4W, but the concept was applicable to my *Creative Writing ―― and to all my schoolwork, too.
[意味把握チェック] 9.3 このことは私が English 4W (の科目)で學んだ以上のものであつたが、その(自己)認識は私が受けた Creative Writing に應用できた――すべての學業にも。
【讀解のポイント-かたちからのアプロウチ】
・擬似關係代名詞(than): learned の目的語がブランクになつてゐます。先行する more について than I learned in English 4W が説明するといふ文構造になつてゐますから、than が關係代名詞に似たはたらきを擔つてゐると解して than を「擬似關係代名詞」と呼ぶことがあります。「私が~で學んだ以上のもの(/こと)」といつた意味を傳へます。(※「擬似關係代名詞」については2012年8月22日付の拙稿に實際例の解説や例文(16.2.1)があります。畫面右の Back Numbers で該當の月・年をクリックし、Calendar で該當日をクリックしてご利用ください)
9.4 If my classmates could read our history assignment in an hour, I allowed myself two or three.
[意味把握チェック] 9.4 級友が歴史の(授業の前に、指定された分量の文章を讀んでおく)課題(/宿題)を1時間で讀めるとしたら、私は自身に2時間或は3時間を與へた(/かけることにした)。
9.5 If I couldn’t learn to spell, I would keep a list of my most frequently misspelled words ―― and I kept the list with me; I had it handy even for unannounced quizzes.
[意味把握チェック] 9.5 綴が覺えられなければ、綴を頻繁に間違へる語のリストを手許に置いておいた――そしてそれを携行しておき、豫告なしの小テストにも備へて役立て(られるやうにしておい)た。
9.6 Most of all, I rewrote everything: first drafts were like the first time you tried a new takedown ―― you needed to drill it, over and over again, before you even dreamed of trying it in a match.
[意味把握チェック] 9.6 何より、あらゆるものについて書き直しをした。最初の下書(/草稿)は、新しいテイクダウンを初めて試してみるやうなものであつた――それを試合で試してみることを夢みる(に到る)まででさへ、何度も繰り返して練習する必要があつたのだ。
【讀解のポイント-かたちからのアプロウチ】
・the first time について you tried a new takedown が説明を加へてゐると解することができます。關係副詞 when か that を補つて解するとわかりやすいかもしれません。
[語句]
9.6 |
most of all |
何よりも |
|
9.6 |
over and over (again) |
何度も(何度も繰り返して) |
9.7 I began to take my lack of talent seriously.
[意味把握チェック] 9.7 私は自分の才能不足(/素質が足らないこと)を眞劍に考へ(/受けとめ)始めたのである。
【設問】
4. コーチが筆者のレスラーとしての特徴を表すために用いた比喩表現で、著者の長所を引き出すことになった言葉を、段落[B]から1単語で抜き出しなさい。
【解答例】
underdog(※8.9)
5. 筆者はコーチからレスリングを通して何を学び、それを小説家になるためにどのように活かしたか。文章中の具体例に言及しながら記述しなさい。
【解答に含める内容例と(文番號)】
(筆者はコーチからレスリングを通して何を學び……)
・運動選手としての素質が不足してゐること(4.1)
・素質不足や短所を補ふ方法(4.2)
・(具體例)①レスリングにひたむきに打ち込み、研究しつくす(4.2)
②試合運びにおいて工夫する: 試合で接戰にしておく(6.1) 亂鬪を避ける(6.2) 技の組み合せ、ポジションの選擇、身體調節により試合ペースを制禦する(6.4) 反撃に仕方を工夫する(8.4-6)
(それを小説家になるためにどのように活かしたか……)
・自己についての理解(素質の不足)を全學業に適用する(9.3)
・(具體例)①課題を讀む際に他人の二三倍の時間をかける(9.4) ②綴を間違ひやすい語のリスト作成・携行する(9.5) ③何度も書き直す(9.6)
【解答例】(字數制限がなく、解答スペースもわかりませんので、簡潔に記しておきます)
レスリングにひたむきに取組み、研究するといつた努力と試合の運び方の工夫とによつて、素質の不足や短所を補ふことができるといふことを、筆者は(レスリングを通して)學んだ。筆者は(讀み書きの苦手を克服して)(小説家になるために)、課題の本を讀む際に他人より多くの時間をかける、綴を間違ひやすい語のリストを作成し携行する、推敲を繰り返すといつた努力と工夫をすることにより、レスリングを通して得た教訓を活かした。