今から30年前の今日にあたる1994年7月16日、タイで行われた試合結果です。
WBAバンタム級戦:
挑戦者ダオルン MP ペトロリアム(タイ)TKO初回終了 王者ジョン マイケル ジョンソン(米)
*この試合が行われる3ヶ月前に、ラスベガスのリングでバンタム級を背負っていくだろうと期待されていたジュニア ジョーンズ(米)を破り、シンデレラボーイの地位を手に入れたジョンソン。常夏のタイで、指名挑戦者のダオルンを相手に初防衛戦を行うことになりました。
世界王者としてはまだまだ未知数の部分が多いジョンソンが迎えたのは、すでに60戦(53勝5敗2引き分け)近くのキャリアを誇るダオルン。それだけの実戦を行いっていながら、日本人選手との対戦がゼロという意外な選手です。
(指名挑戦者として世界に挑んだダオルン)/ Photo: BoxRec
キャリアで大きく上回るダオルンの地元での試合ということもあり、王座交代劇も大いに予想されていた一戦でしたが、予想外の結末でジョンソンはタイトルを手放す事になりました。
サウスポー(左構え)のダオルンが、どっしりとしたボクシングでジョンソンを圧倒していきます。左右のパンチを効果的に当てていき、まるで王者のようなボクシングを展開していきます。しかし初回も2分を過ぎたあたりから、ジョンソンも徐々にではありますが有効打をお返ししていきます。
初回も残り25秒を切った時、タイ人のバッティングでジョンソンが右目じりをカットするというアクシデントが発生。その回を事なく終えたジョンソンは、インターバル中に傷の手当ても終え、次のラウンドに備えていました。しかし驚くことに、試合はそこで止められてしまいました。
(バッティングは約10秒後に起こります)/ Photo: YouTube
出血も止まり、傷の深さもそれほどでもありませんでした。ジョンソンが負傷した場面を見返しても、タイ人のバッティングで傷を被ったことは明らか。しかし裁定は、ジョンソンの傷はダオルンのパンチによるものとされ米国人にTKO負けが宣告されてしまいました!よくもまあ、こんな試合結果が認められたものです。
予期せぬというか、残念というか、兎にも角にも王座交代劇が起こったWBAバンタム級タイトル。その後、両者による再戦が義務付けられなかったのが不思議でなりません。
(予期せぬ形で短命王者に終わってしまったジョンソン)/ Photo: BoxRex