キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

5月には山のワイン

2009年05月10日 | Weblog
イタリアとフランスの国境の山の中のワイン産地として知られていないヴァルスーサというところがあり、そこのワインを二種類取り扱っているのですがまったく売れません。知られていない上にかなり高いワインなので、売れる要素はすこぶる低く、他社でこの地区のワインを輸入販売しているところはありません。いってみればこのワインについては唯我独尊、他の何人も知りえない味わいを日本で一人楽しんでいるわけです。

渚亭の女将に頼み込んでアスパラガスのリゾットを作ってもらい、カーサロンシルという件のワインを合わせてみました。山のワインなので酸がとてもしっかりとしていて、初夏の陽気に合わせて冷やしておいたせいもあり、さわやかで素晴らしかったですね。ワインは洗練されていないラフな造りが身上で、高地の冷気が5月の汗ばむ陽気に送り込まれたようですがすがしく、複雑さが無いにもかかわらず、ある種の奥行きがワインを単調なものとせず、なんとも不思議な高貴さを湛えておりました。

ここの村の村長さん以下皆さんで歓待してくれたことを思い出すと、一人で密かに楽しんでいないで、いっぱい売って少しでも村の暮らしを豊かなものにして上げなければとは思うのですが、つまらない市場原理があの風景を毒するよりは、このままどうにか食える状態で行けるところまで行ったほうが豊かな生活を担保できるような気がしないでもなく、ワインの不思議な高貴さは、貧しいけれど豊かな生活にその源があるのだろうと推理しております。


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